第二十話 「地霊について」
あのランドとやらが持っていた『追憶の鏡』を使えば...彼と会えるかもしれない。いや、会話といった方が正しいらしいが、そう聞いたら断る理由などないだろう。
彼には、直に感謝を伝えたい。
家に戻る道すがら、その地霊ってヤツについて聞いておく。
「そもそも、地霊ってなんですか?なんで討伐を?」
優男は
「地霊とは...でっかい亀です。たぶん500メートルくらいはあるんじゃないかな。
まわりには眷族の亀がいて...そっちは10メートルないかだから、騎士たちで対処可能です。
地霊の能力は雷を周囲200メートル任意の場所に同時多発で落とせる。あとは、地震と衝撃波...足で踏みつけてくる...それくらいですね。」
「...めちゃめちゃヤバいじゃん。」
「いやー、意外とそうでもないかな。雷は避雷の魔法で避けれるし、近づきすぎなければ踏み潰されないよ。」
「ヤバいのは衝撃波かな。地震はそれほど強力じゃない。ただ避雷の魔法は魔法師が近くにいないと発動できないから、騎士が近づけないんだよね。」
「なるほど...」
少し思案していると、
「そういえば、まだお名前を聞いていなかったですね。」
「私はランドです。」
ちょっと考えて、
「私はスズカです。」
「スズカさんですか。このあたりでは珍しい名前ですね。」
そりゃあそうだ。日本人の名前をつけるヤツなんてそうそういないだろう。
「森の賢者殿に会えて光栄ですよ。遅ればせながら。」
「あの...その『森の賢者』って何ですか?別にそんな大層な者じゃないんですけど。」
「ここらで有名な話ですよ。」
ランドの話では、荒ぶる森に踏み込んだ者は濃い霧に遭って二度と帰らないことが多い。しかし、70年ほど前から謎の魔法師が迷いこんだ村人を助けるようになった。その魔法の凄まじさから、森の賢者なんて大層なものに昇華されてしまったらしい。
マジか。私そんなすごいもんになってたんだ。
そんな話をしていたら、家に着いてしまった。そろそろ夕食の時間だ。お腹が減ったな。干し肉の在庫はまだあったかな?空豆を炒ったヤツが残っていたらいいんだけど...
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何はともあれ、彼女...スズカさんが協力してくれるようで何よりだ。第一目標は達成だな。第二目標の名将デアフリンガーから助言をもらうのは出来なかった。まあ、これはもとより望み薄だったからいいんだけどね。お偉いさんから怒られることもないだろう。
個人的には、80年も前の人間に現代の悩み事を相談するってのは、違うと思うんだけどなあ。騎士たちの勝手も違うだろうし、魔法も急激に発展した。
お偉いさんはかのデアフリンガーならこんな窮地も救ってくれる!、と言っていたけれど...それはそれだ。
あ、寝る前に報告書をまとめた方がいいかな.........いいか。今度にしようっと。
そうして、ランドは眠りについた...




