第十七話 「それから」
あれから数日がたち...
私は15歳になった。
この世界では15歳が成人らしいので、これで晴れて大人の仲間入りだ。しかし、私の心は晴れなかった。ヴァンの死から数日。そんな日数で悲しみが癒えるほど、私は薄情じゃない。
「ねえ、ヴァン?あなたは森から出ろって言ってたけれど...」
ヴァンの遺した鎧に寄りかかりながら囁く。
私はまだ、森から出ていない。出る気もない。なんでだろう...。この森から出たら、いまの生活から一変するだろう。美味しいものを食べて、服を着て、いろんな楽しいことが待っているだろう。けれど...そのとき、私はヴァンのことなど考えていないだろう。忘れ去ってしまう。彼との記憶を留めている人は、もう私ぐらいしかいない。
私は、ヴァンという人が確かに生きていた証を残しておきたい。だから私はこの森から出ない。
それでもいい。それが、私の選んだ道であるから。
あれから、騎士団のような集団が来たことはない。それでも、近隣の村から山菜採りに来た村民が迷い込むことはあったが。そのときは「変声魔法」で声をしわがれた老齢の男性の声にして森の外まで送り届けてやった。怪我をしていることも多く、魔物が襲ってくることもあった。大規模魔法で吹っ飛ばすことにしている。これが抑止力になることを祈っておく。
そんなこんなで魔法の訓練やらをやっていると、悲しみは時間が解決してくれそうになった。根本的な解決では決してないが...
少なくともいきなり泣くことはなくなったと思う。
そして......四季は巡り...
序章はおわり




