第十五話 「選択」
私は、魔法で足元に風を起こし、素早く移動する。ウサギのように。
「ハアッ ハアッ」
息が切れ、今にも倒れそうな脚を引きずる。
やっとこさ、聖域へたどり着いた。
驚くべきものを見た。
赤髪の男が今にも聖杯を手に収めようとしている。
ヴァンが倒れている。胸元に大きな風穴を開けて...
そして、数人の騎士をその目に認む。どこかで理性の糸がプチッと切れた音がした。
次の瞬間には、私はリーダー格らしき男に魔法をぶっぱなしていた。
「岩嵐!!」
人間の頭ほどの大きさに岩の雨が騎士どもにうちつけた。
一人は脚がもげ、一人は肩を砕かれたらしい。
赤髪の騎士は間一髪避けたようだ。
「フーッ、フーッ」
息が荒くなる。獣みたいだ。魔力の揺らぎを感じた。
「何者だ?...何であろうと、我々に牙を剥く者は容赦はしないようにしている。」
赤髪が何か言った様だが、何も聞こえない、聞いちゃいない。
「泥!」
地面に手を突き叫ぶ、赤髪の足元が次第に泥沼で満たされ、おぼつかなくなる。
この隙だ。
「風流!!」
急加速、一気呵成に赤髪の懐へ飛び込む。
「チィ! 来るか!小娘!」
(神聖なる決闘を汚しおって!)
ここで初めて、赤髪は自分の命が危機に晒されていることに気付いたようだった。
(今の私の魔力では、遠距離から、あの甲冑は破れない...)
スズカは気付いていた。甲冑が放つ微細な魔力に。
スズカは預かり知らぬことであったが、デアフリンガーの装備していた鎧は一般に「魔法鎧」と呼ばれる。鉄の数倍の耐久があり、対魔法においては右に出る鎧はない。一式で家が何軒建つかわからないほどの価値を持つ、一点ものである。
この鎧がデアフリンガーの強さの一つだった。
(なら...近づくだけ!!)
この、いつ死を経験することになるかも分からぬ戦闘で、スズカの脳髄は驚くほどに冷めきっていた。
「土槍!!」
地面から何本もの土の槍が突出する。これをデアフリンガーはのけ反ってかわす。
(コイツ...なかなかの遣い手だ..!)
デアフリンガーの幾多の戦場を駆けた戦闘感覚が警鐘をかき鳴らす。
(コイツはここで、殺さねば!)
後進に負の遺産を残すわけにはいかない。少女の背後には、片足を喪失し、涙目でサードル侯の治療を受ける騎士の姿があった。
全盛期をとうに過ぎたといえ、古今無双の武者と恐れられた、デアフリンガーを十代中頃の少女が脅かす。それ自体、特異であり、異常だった。
デアフリンガーの身体から途方もない覇気が、怒気が、あふれでる。
「断!!」
にわかに、一足長、距離をとった、デアフリンガーが上から大振りの巨大な一撃を放つ、
「風流!」
風を巻き起こし、避ける。間一髪だった。跡を振り返り見れば、大地が大きく抉れている。回避できなければ、今頃スズカはもの言わぬ肉塊になっていただろう。
(あの装甲を破って魔法を撃ち込むには...ゼロ距離からの発動以外あり得ない。)
ヴァンの姿が目にはいる。泥と傷に覆われた、無惨な姿...。
(ヴァンは、闘った。全力でもって。命を賭けて...)
なら...
(私も、賭けよう、命を。)
「風流!!」
ありったけの力を込め、加速し、デアフリンガーに突っ込んで行く。
(来るか!!!)
デアフリンガーが構える
速度を、緩めない
(まだ、まだ)
もう目と鼻の先に迫っている。
...今!!!
寸前で宙返りしデアフリンガーの背後へせまる。
「薙!!」
閃光のような速さでデアフリンガーの剣が迫る。
下へ屈み避けようとするも、
「ああぁあぁ!!」
左手の感覚がない、鮮血が宙を舞い、手首から先が浮いている。
(斬られた!)
苦痛に悶えながらも、速度は最高潮へ。
スズカはデアフリンガーの懐へ入り、
デアフリンガーはそれを認知した。
(ここで決める!)
(仇をとる!)
それぞれの想いが交錯し、
両者の奥義が炸裂する―
「貫徹!!」
光の速さで繰り出された剣戟がスズカを襲い、
「風神!!!!!!!!」
嵐のような猛々しさをもった圧縮された空気が、熱量が、ドリルのような鋭さで、デアフリンガーの胴を侵した。
こんにちは、こんばんは。
それとも、おはようございます?
読んで下さるあなたに、最大の感謝を!
さて、実は今、私は大きな人生の選択を迫られています。
スズカ同様ですね。
文章力が未熟で、拙い表現となってしまいましたが、スズカは森でサヴァイブするのに慣れてしまって、普通の神経をしていないんです。
スズカがバーサーカーみたいになってしまいましたが、どうかご容赦下さい。
ところで、評価はもう、つけてくれましたか?
え、まだつけていない?
なんと、私の力不足ですね...
でしたら、この機会にどうか、評価、
お願いします!




