第十二話 「卒業」
スズカとヴァンはにらみ合っている。
と、スズカが
「風流!!」
で飛び上がる。蜂のように。
すかさず、ヴァンが大剣を構えながら、「風」で横へ避ける。
私はそれを待っていた。
「泥!」
ヴァンの前では見せたことのない、地と水の複合魔法。
ヴァンは思わず、足をとられ...
体勢を崩す!
今しかない!
時が止まったかのようだ。
浮遊感のなか、私がとっさに選んだのは...
「石嵐!」
これもこっそり、特訓した成果だ。
拳大の石が、ヴァンを襲う。
ヴァンは弾く。
一つ、二つ...
しかし、三つ目を弾けなかった。
ついに、ゆったりと、ヴァンは倒れた。
「やった...!」
「勝ったあああぁ!!」
達成感が身体中を駆け巡る。アドレナリンが脳内でドッと出る気分だ。
「まさか...してやられてしまったな...」
ヴァンも悔しそうな声色だ。けれど...少し嬉しそうだ。
ほどなく、私が勝利に酔いしれていると...ヴァンが何かを持ってやってきた。
「おめでとう。スズカ。早めの成人のプレゼントと思ってくれ。」
そう言って渡されたのは、
青い、金の刺繍がはいった丈夫そうなローブと、大きな宝石が先端についた杖だった。
そういえば、この世界は十五歳が成人の国家が多いんだっけ。
ヴァン曰く
「魔法師がいつまでも、杖なしではな。杖は魔法師の象徴となるものだ。」
受け取る。
ずっしりと重い。一メートルくらいの長さだ。
先端の若草色の宝石は魔石といい、魔力を統制し、増幅する効果があつらしい。
「それは、私の昔の仲間が使っていたものだ。お古で悪いな。しかし、思い出のこもった杖だ。大切にしてくれ、いつまでも死蔵していては可哀想だ。」
ということだ。
ちなみに、私はお古とか、あんまり気にしないタイプだ。前世でもよく古着屋にいっては、一、二世代前に流行った服を買っていた。
ローブの方は、高位の魔法師を表すものらしい。とても高そうでビビる。
そうだ、お礼を...
「ありが...」
「私に教えられることは、もうない。スズカ、お前は私の永い生涯において最高の魔法師だ。」
え...。
「このまま研鑽を積めば、賢者と呼ばれるように、なれるかもしらん。」
............。
「...だから...この森から出なさい。君の才覚は天賦のものだ。」
........................。
「...どこかで、大切なものを見つけて...それを守りなさい。君にはその力がある。」
「私は...この森から出ることは出来ない。それが呪いだ。誰かが私を殺すそのときまで...」
「だが...見守ることはできる。辛くなったら...いつでも帰ってきていい。だから...」
そうだ、最初に出会ったとき、彼は言っていたじゃないか。
いつか別れが来るとは分かっていた。
けれど...
「わかった...」
「出発は明日だ。酒は冷えた内に飲め。まずは、東に少し行ったところに、ジイト村がある。そこから、ヨウスの町に行けば、仕事の一つすぐ見つかるさ。」
「スズカは優秀だから、王都に行ってもいいかもしれん。」
「...うん。」
ゆっくり、けれど確かに頷いてしまった。
別れは辛かった。けれど、またこの森に来ればヴァンが出迎えてくれる。
優しいヴァンがいつも見守っていてくれる。
隣で悩みを聞いてくれる。
私はそう言い聞かせた。
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