第九話 「ヴァンの決意」
ヴァン視点
最近は、人の子に魔法の訓練を積ませている。
スズカ...あの子は非凡な才覚を持っている。自分では気づいていないようだが...。
魔法だ。魔法が抜群に上手い。
一般に、一人前の魔法師を育て上げるのに、十年はかかる。
それをあの子は、独学でやっていた。
まだ、初級の簡単なものしか教えていないが...この分なら私を越えてしまう日はきっと遠くない。
そうなれば、益々惜しい。この呪われた森にいつまでの囚われていてほしくない。
...二年だ。二年であの子を上級魔法師にする。
上級魔法師なんて、百年前でさえ、引っ張りだこ。高給取りの職業の一つだった。
百年あれば、人口も増える。町は栄える。需要はきっと増えている。
いまの世間の事情は知らんが、貴族の護衛、家庭教師、軍に拾ってもらったていい。いざとなれば冒険者をやれば、食い扶持くらい稼げる。
だから...あの子には。
私の失った、捨ててしまった。明るい未来を持ってほしい。
適度に稼げて、楽しいことがあって、人と関係を築いて、家庭を持って...。
笑って、生きていてほしい。
だから。いつか、森から出させよう。仮に、あの子がそれを望まなかったとしても。
力ずくでもだ。
いつか、それが自分自身の為であったことを、見つけてほしい。
...私の自己満足ではあるが...。それが最善であると...私は決意する。
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