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アルマリンは誰の手に?  作者: ぱんどーる


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6/12

6 10年過ごしてみた感想

10歳になったアルマリンです。


オギャーと産声を上げた時からの記憶がある私が、この10年の感想を言うならば、「あっという間」のひと言。


日本で昭和、平成、令和と生きてきた脳があっただけで、もちろんチートなんてものはない。料理くらいはアドバイスができたけど、日本であたり前に使っていた家電をこちらで再現してみよう、なんて考えは全くの皆無。完成された商品を買っていただけの人間だ。レンジやスマホが動く原理も材料も何も分からない。


私に前世の記憶があると知っているのは限られた人だけ。その人達とは気兼ねなく話をすることができた。そんな中で私の何気ない話を拾い、私の知らない所で再現しようと試行錯誤している人が3名。その事を最近知ったのだが、遠慮せず最初から私に聞いてくれれば良かったのにね。時間は有限ですよ?


ま、大したアドバイスはできないと思うけど。

ん? まさか向こうもそう思っていたとか・・・?


5歳くらいまでは、考える脳が他の同世代に比べれば発達していても、体は年相応だった。うまく言葉が出ない、話せるようになっても、舌っ足らずでカミカミ。行動範囲は狭いのに、体はすぐに疲れて、眠くなってしまうから、思い通りに行かなくて歯痒い思いをしていたが、女神ディーテ様が私の心を覗き、代わりに言葉にしてくれた。スゴすぎる。


10年で何よりも楽しかったのは、魔法!

憧れもあったし、興味津々だったし、実際に使えるようになった時は、感動して泣いた。ひとりひとりに泣きながら自慢してまわりながら初歩の魔法を披露して、笑われた。

本当にこの能力はとっても便利。



私が生まれてから周囲で起きた事を時系列にすると、女神様の復活に驚いて逃げ出したマリアンナが王宮に助けを求めた事件が、最初で最大の騒動かも。


あ、母とは呼ばない。オギャーと生まれた時に顔を見ただけで、その後の面識は一切なかったからね。


マリアンナは生まれ育った隣国リボーンではなく、嫁いだこちらの国アシュランの王宮へ行き、学年は下だったが学園で交流があって、魅了を使わずとも自分に好意の目を向けていた王太子に泣きついた。


なんとこの王太子、惚れた弱みからか、迷わずマリアンナに手を差し伸べ、徹底的に隠し、守った。その上、子供まで作った。


出産間近になり、どうしても産婆や世話をしてくれる人手が必要になって、手配に動いた事がきっかけで事態が明らかになった。


それはもう大騒ぎ。


公爵家出身の王太子妃がこの事件の数日前に3人目になる王子を出産していた。誰がどうみても王太子が有責で、離縁を望まれてもおかしくない状況で、王太子夫妻の間に3人の王子がいたことは良かったと口に出して言っていいのか悩むが、陛下も王太子も兄弟がいなかった事もあって、とにかく幸いだった。


マリアンナとハイヤーは、書類上はまだ婚姻している状態であったし、王太子にも妻も子供もいた。


正に前代未聞の出来事だった。


マリアンナと王太子の間に産まれた子供は男子で、第3王子と数日違いの同い年。子を処分しようにも親の身分が両方王族。何よりマリアンナの魔力を受け継いでしまった事が、皆の頭を悩ませた。この国アシュランで魔法が使える者はほぼいない。きちんと教育すれば使える存在になるのでは? と陛下の頭にもよぎってしまった。王太子への叱責も声がだんだんと弱くなってしまっていた。王妃も王太子へ扇子を投げ、声を荒げ、子供はすぐに殺しなさいと目を吊り上げて喚いていたのだが、魔力があると聞いて、怒りを静めて口を閉じてしまった。


王太子妃は、周囲の様子に呆れ、怒りが爆発しそうだったが、長年の教育の賜物で表情には出さず、身内を呼び寄せ家族会議を行った。



出した結論は、継続。



仮面夫婦上等。

もはや国内だけではなく、近隣諸国にまでこのスキャンダルは届いてしまっている状態だ。ならばこちらに非はないのだから、仲の悪さがバレても構わないスタンスをとる。


ゆらゆら揺れている頼りにならない王家で権力を保つために妃として残る。スキャンダルを逆手にとり、さらに可能な限り権力を広げる。なにより己が生んだ3人の王子を守り、必ず王に据える。


その為には両親も兄夫婦も協力を惜しまないと約束してくれた。すぐに駆けつけてくれた身内に安堵し感謝した。話を聞いてもらい進む道を決断できた。自分に寄り添ってくれた身内の前では、まだ出るのか? とのちに振り返った時、笑えるくらいに涙を流した。気持ちを全部吐き出してすっきりした。

あとは迷わず進むだけ。


門まで身内を見送った後、覚悟を決めた王太子妃が城を見上げた姿は、誰よりも王族らしい姿だった。


マリアンナとハイヤーは離縁。

マリアンナと王太子の間にもうけた男児は王太子夫妻の第4子として育てる。

隣国リボーンへマリアンナの件、女神様の封印が解かれた件を報告したが、マリアンナの返還は不要とすぐに返事があった。

女神様によって魔力を封じられ、返還不要のマリアンナは自分の状況を知る間もなく、あっという間に王太子妃の手の者によって亡くなった。


隣国の王族達はマリアンナがどうなったかなんて事より、女神様復活の話に驚愕し、不安になり、それぞれが自分の身を案じている状態だった。


ま、ただじゃ済まされないよね。

でも女神様は優しい方だからなぁ。

ぬるくしないで欲しいなぁ。



そんなことよりもっ!!

( あ、女神様ごめんなさい )



マリアンナにそっくりな私は、まだ会ったこともない王太子妃様にめっちゃ嫌われてるし、王宮と辺境は遠く離れているのに嫌がらせもされてめっちゃ困ってる!

どうにかして!


理不尽すぎるよぅ。






なあ?

俺の出番がない方が理不尽すぎるだろ?

10年、ずっとそばにいるんだぞ?

生まれ時からの婚約者だぞ?



嘆くフェルの声が聞こえたような気がした。




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