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アルマリンは誰の手に?  作者: ぱんどーる


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5 アルマリン、前世を振り返る

「オギャーっ、オギャー!?  オギャア??」


自分の口から出た言葉に驚いて涙が止まり、冷静になった。

思うように動かないことにイライラしながらも、集中してどうにか重い瞼をあげた。手足も全くいうことを聞いてくれない。


ゆっくりと瞬きを繰り返しても視界はクリアにならず、ほんの少しだけぼやけてはいるが、目の錯覚とは思えない、色とりどりの髪色の人達が私を見ていた。


あー、転生??


そこまで物語に夢中にはならなかったが、そういう作品が主流だったなと思う。



私は氷河期世代生まれだった事は覚えている。


良い成績だから良い会社に就職できるとは限らない時代。どうにか事務職で内定をもらい入社したが、本社から私の部署まで交通費が現金で50円支払われるほどに離れたプレハブ小屋での仕事だった。小屋と本社を往復して100円。なんだかんだで本社に行かなければならない事が多く、毎日最低300円はもらってた。


仕事内容が思っていたのと違うから、人間関係が上手くいかないから辞めたいと思っても辞めることが良く思われない時代。勤続年数を自慢していた時代。でもどうしても耐えられず、学校の元担任に相談したら、お前の行動一つで来年から求人がもらえなくなるから、辞めるなと怒りながらもお願いされた時代。その後、毎日のように元担任から連絡があり、相談相手を間違えたとかなり後悔した。


今は退職代行サービスまであるもんなぁ。


10年後にやってきたゆとり世代が凄く羨ましかった。

学校も会社も週休二日制。この頃はノストラダムスの大予言が絶対当たると信じていて、どうせ死ぬならやりたい事をやろうとはっちゃけていた。


Z世代やα世代に憧れはなかったなぁ。

SNS、スマホ、AI ・・・。色々とついていけなかったし、私の年齢的にも流行りに必死についていこうとも思わなくなっていた。この頃になると、覚えるのにとてつもなく時間がかかるのに、忘れるのがめっちゃ早すぎて、やる気が出なくなっていたのかも。新しい言葉を覚えたつもりが、いつもどこかを間違えていて、ニアピンばかりだなと笑われた。

職場で、俺ら世代が老後のあんたら世代を養っていくようなもんなんだからと言われてからは、この世代には小言を言わず大人しくして、話をふられたら会話をするようにしていた。


昔に比べたら、胸を張って自慢できるほど、他国が羨ましがるほど、安全で安心な日本じゃなくなった。


晩婚だったけど、年下の良い人に出会えた。子供には恵まれなかったが、テレビをつければ物価高騰や、コロナ、詐欺のニュースばかり。外に出れば防犯カメラが至る処にあって監視されてるような気がしていたし、職場ではたくさんの種類のハラスメントだらけで巻き込まれないためには口を閉じているのが一番なんて思ってしまう世の中で、子供はいなくても良かったのかもしれない。


自分がまだ幼い頃の、醤油がきれちゃったから隣の青木さんちで借りてきて~。旅行で家を空けるのでよろしくお願いしますね~。何てやりとりが懐かしいと思い出せる。


こんな感じで前世の思い出が、頭にばーっと浮かんできたけど、死因や何歳で死亡したかはさっぱりわからない。


旦那さんは、大丈夫かな?

私自身も特に容姿が良いとかはなく、いたって平凡な人間だったが、旦那さんも見た目が良いとか、お金持ちでもなかった。 マジメに働き、年に1度はのんびりと旅行に行って、休日は共通の趣味だったゲームをやって、アニメをみたりしてたな。若い頃に出会えていたら良かったなと思えるくらい、普通な生活だっけど幸せだった。


探偵アニメのあの方は誰だったのか、あの海賊の夢はなんだったのか、何年も休載している漫画の結末はどうなったのかと気になっていたものは思い出せるが、今の私は何かの物語の誰かになっているのだろうか? 転生モノはある程度手にしたことはあるが、広く浅くだった。


そんな私にお似合いなのは、モブキャラやサポートキャラだろう。


揉めるのが面倒だから口を閉じる事を選ぶ私は、断罪なんてできないし、されても断罪返しなんてできない。物語を盛り上げる配役には全く向いていない人間だ。


まだ今の自分の容姿も確認できていない状態だけど、できれば普通に暮らしていきたい。


だが、


状況的に生みの親であろうと思われる女性が、鬼の形相で私をにらみつけている。


あのにらみ方は、私を望んではいなかったということだよね?


はー。生まれたばかりなのに、すでに前途多難と予想される。


はー。誰か適役な方と交代してほしい・・・。

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