3 作家の妄想
その後、私たちはなんとか森を抜け、近くの街(?)へとたどり着いた。
まずは情報収集の為に冒険者ギルドへ向かう。これもお約束だ。
でもね、お腹が空いてるのでまずは腹ごしらえだわ。
いい匂いのする食堂に入り、
「オススメを二人前、飲み物もお願い!」
ひと目も気にせずひたすら二人で食べた。
お腹いっぱいになり落ち着いた頃ーー
「ねえしおり、これからどうするの? 私は早く日本に帰りたいんだけど」
食堂の片隅で、アキが不安そうにデザートのパフェ(異世界風)をスプーンですくいながら言った。
私はフッ、と前髪をかき上げる。
「アキ、ラノベの世界において、帰還の方法を知っているのは大抵『魔王』か『世界の最深部にいる神』よ。つまり、私たちは嫌でもこの世界を攻略しなきゃいけないはずよ」
「うわぁ、めんどくさい……」
「決まってるじゃない。まずは夜中にギルドの裏手で、悪徳貴族に絡まれているエルフの美少女を助けるのよ! これが王道の奴隷解放ルートよ!」
「勝手にマッチングアプリみたいなノリでイベント探さないで!」
ラノベ作家の「知識と妄想力」、そして一般人の「最強の反射神経」。
およそ噛み合っていないようで、実は最強かもしれない二人の異世界ライフが、今ここに幕を開けたのだった。




