5)セレスティーナと黒猫
雪がチラチラ降っている中、ずっと外にいたので、結構寒くなってきた。
パスヴェトとの話もひと段落したところだし、我が家に一緒に帰ることを提案した。
「一緒に帰ってもいいの? 嬉しいな。また、ティナのそばにずっといられるんだね」
一緒に帰るのが当たり前のように思い、何も考えずに言っていたことに気がついた。
「フフ! そうね、また一緒にいられるわね。そうか、家族にも紹介しないとね」
んん? でも、前世とか、魔法とか、聖獣とか……話したら、絶対頭がおかしくなったとか思われるわよね。
「ねっ! さっき思い出したこととか、魔法が使えることや聖獣だってことは、二人の秘密ね。
パスヴェトが聖獣だって分かったら、どこかに連れていかれてしまうかもしれないし。
二人とも、まだ記憶があいまいだし」
それに、今、魔法適性があるとかバレたら、ずっと目指していた騎士になろうと思っているのに、困るわ。
「そうだね。僕もせっかくティナのところに戻れたのに、どこかへ連れていかれたら、嫌だよ」
「よし! まずは、名前ね。パスヴェトだと、古代の神様のひとりと同じ名前だから……そうだ! 『パヴォ』はどう?」
「いいね! なんか、おしゃれな感じがする。僕にピッタリ!」
パスヴェトこと、『パヴォ』は嬉しそうにジャンプして、ベンチの上から飛び降りた。
おしゃれかどうかは、よく分からないけど、呼びやすいかなと思ったのよ。
まぁ、本人が気に入ってくれたみたいだから、いいわね。
「じゃあ、行きましょうか、パヴォ!」
「うん、行こう!」
☆☆☆☆☆
すっかり体が冷え切っていたが、歩いているうちにポカポカと温まってきた。
パヴォに私の家族の話をしているうちに、家が見えてきた。
「今、話していたように、私は5人家族の末子」
「ティナがどんな家族と一緒に暮らしているのか、会うのが楽しみだよ」
屋敷の門に着くと、長年働いている門番が話しかけてきた。
「セレスティーナお嬢ちゃん、『洗礼式』は、無事に終わったのかい?」
「ええ、ちゃんと終わったわよ。ほら、見てちょうだい!」
私は、首にかけていたペンタクルを見せた。
「おお、ついにお嬢ちゃんも、成人の儀が終わったんだね。
いつも走り回っていた子がねぇ……おめでとう!」
感無量な顔をしながら、微笑んでいた。
「私も大人の仲間入りよ!」
大人になったものの、残念ながら、あまり強調できない(?)胸を、頑張って張りながら言った。
微笑んだまま、何も言わない門番に、ちょっとどういうことかしらと思いつつ、そのまま門を通った。
「お嬢ちゃん、黒猫が後ろにくっついて来ているよ」
門番が私の後にいたパヴォに気がついた。
「えぇ、『洗礼式』に行く途中で会ったんだけど、仲良くなったから、連れてきたの」
「そうかい、今日の特別な日に出会うなんて、きっとお嬢ちゃんにとって、いい猫なんだろうな」
「私もそう思うわ!」
そう、『洗礼式』の日に出会って、前世の記憶を思い出すきっかけになった。
門を入って行き、玄関が見えてきた。
「さあ、我が家にようこそ、パヴォ!」




