4)セレスティーナの前世
パスヴェトのことは、聖獣って分かったので、今度は私のことね。
『洗礼式』のときに、頭の中に駆け巡った光景。
そして、パスヴェトと話しているうちに、思い出したこと。
私の前世の記憶。
「パスヴェト。私の前世は、王女だったのね。そして、あなたは、私の護衛だった」
「そうだね。僕は、いつもティナのそばにいたよね」
「私の名前は……フェルティナね。それに前世もティナって呼ばれていた」
そっか、前世も同じ愛称だったから、なんか違和感がないのね。
「そっか、今もティナなんだね」
二人で(?)顔を合わせて微笑んだ。
「さっき『洗礼式』で見えた光景では、私は戦っていたわ。
そして、魔法を使っていた……私って魔法使いだったのね」
今の私は、魔法適性なしだが、前世の私は魔法を使えた。
「魔法使いだったというか、今も魔法を使えるよね」
「えっ? 私は、生まれたときの検査で、魔法適性が無かったわよ」
「あー、僕もそうだけど、恐らく前世の記憶が戻ったときに、力も戻ったんだと思うよ」
そうなの? 今も魔法が使えるの?
ま、まぁ、その辺は後で確認してもいいか。
「そもそも、大魔女だし……」
パスヴェトがゴニョゴニョと何か言っていた。
それよりも、まだ、気になることがある。
☆☆☆☆☆
思い出した光景。。。
おとぎ話の本に出てくるような、古代の建物。
動物の頭に、おとぎ話に出てくる神さまのような人間の体。
ハヤブサ、ライオン、ジャッカル、黒い犬のような頭の戦士たちが剣を振るっている。
他にも、山羊、ダチョウ、黒い猫の頭の人たちがいる。
そして私は、魔法を使っている?
「絶対に大丈夫! 私は信じる!!」
私がそう叫ぶと、私の手から光が放たれ、周りの戦士たちを覆った。
その瞬間、眩い光が弾け、戦士たちの凄惨な傷が瞬時に癒えた。
爆発的な力が戦士たちの全身に宿り、魔獣のごとく素早い動きになり、群がる敵を容赦なく打ち砕いていく。
そして、さらに神々しい光が放たれた……
☆☆☆☆☆
「そう、私は、戦っていたわ。魔法を使って、たくさんの戦士たちと一緒に魔獣を叩きのめしていた」
まるで、おとぎ話に出てくる伝説の王女。
「そして、私が最後に魔法を放ったとき……あれっ?」
そこからの光景が……見えない。
「ハッキリとは、分からないけど、私の魔法が発動しなくて……」
私は、ゆっくりと、その時の記憶を思い出していた。
でも、その後の記憶は、靄がかかったようでハッキリとしない。
ただ、なんだか悲しい気持ちになっていたことだけは、感じとれた。
「その後のことは、ハッキリしないけど……
ただ、とても悲しかったように思うわ」
そんな私の言葉を聞いてパスヴェトは、ちょっと考えこんだ。
「僕も、まだ、記憶を全部思い出したわけではないんだ。
そうだね、ティナの魔法が、発動しなかったかもしれないね……」
少し、言葉を選びながら話しているような気がした。
とにかく、二人とも自分が何者だったかは思い出したけど、
前世の記憶を全部思い出せたわけでは無いみたい。
「そうね、まだ、思い出したばかりだから、また徐々に思い出すかもしれないわね」
「うん、また何かの拍子に思い出すかも。そのときに、また記憶を擦り合わせたらいいんじゃないかな」
確かに、一気にいろいろなことが起きたから、頭が疲れ切った感じがする。
魔法のことも気になるし、これから徐々に対応していこう。
「じゃあ、家に一緒に帰ろうか」




