9)学校の卒業試験
あっという間に冬休みになり、騎士団の入団試験が近づいてきた。
毎日、魔法の練習をしたおかげで、だいぶ力の加減ができるようになった。
たくさん木を切り倒してしまったら、後で、なぜこんなに木が切れているのかと調査されるかもしれない。
そんなことになったら面倒なので、しっかりと制御しながら魔法の練習をした。
剣の稽古も、急に腕が上がると、びっくりされるだろうから、屋敷の騎士たちと打ち合いをするときは、魔法は一切使わなかった。
おかげで、相変わらず生傷が絶えない。
「ティナは、いつも傷だらけだね。そういうのが好きなの?」
そんな傷だらけの私を見て、首をかしげながらパヴォが言った。
「そんなわけないでしょう。まぁ、このくらいは、いつものことだから、大丈夫よ!」
パヴォは心配してくれたのね、そう思った私は安心してもらおうと自信満々に答えた。
「やっぱり好きなのかな。自分で治せばいいのに……」
パヴォはブツブツとつぶやいていた。
☆☆☆☆☆
冬休みが終わると、あとは学校の卒業試験まで勉強に集中した。
卒業試験に合格しないと、騎士団の入団試験を受けることができない。
勉強は、まぁ、普通にできるほうだと思う。
ただ、好きな科目は満点や上位なのだが、そうじゃない科目は、平均点ギリギリだったりする。
とくに歴史は、授業がつまらなかった。
だって、先生が教科書をただ、ダラダラ、ブツブツと読むだけだったから、すぐ眠気に襲われていた。
でも、前世の記憶が戻ってからは、この国の歴史が気になりだしたので、興味が湧いて、一生懸命勉強した。
前世の記憶では、神様たちと一緒に暮らしていたはずなのだが、教科書の歴史にそのことは、載っていなかった。
ラーナ神の信仰を大事にしていた王族の一人が、ラーナ神のお告げを受け、私たちが住むカルーナ王国を建国したとなっている。
「どんなお告げをうけたんですか? どうやって建国したんですか?」
気になって先生に尋ねてみたけど、そこまでの記述は残っていないらしい。
神様たちと一緒に暮らしていたというのは、子供たちに読み聞かせするような絵本のおとぎ話になっている。
どうして神様たちは、この世界からいなくなってしまったんだろう……
教科書では、その辺のことは分からなかった。
私の前世の記憶も、パヴォの記憶も、まだ曖昧だし……まぁ、そのうち思い出すかもね。
そんなことを考えながらも、建国後の歴史は、しっかりと勉強したおかげで、卒業試験は、なんと満点だった!
その他の科目も、無事合格点を上回り、卒業試験に合格した。
「パヴォ、卒業試験は無事合格したわよ。さぁ、次は、騎士団の入団試験よ!」
「よく頑張ったね。これで、毎日うーんうーんって唸っているティナを見ないで済むんだね。よかった~」
「そんなに唸っていたかしら」
「うん、ティナ、唸るたびにお菓子を食べていたから、お菓子を食べたくて唸っているのかなぁと思ってた」
「そ、そんなわけないでしょう」
道理で、机に置いておいたお菓子がすぐになくなっていたはずだわ。
まずいわね、最近なんだか体がちょっと重くなっている気がしたのよ。
「さぁ、しっかり体を動かして、騎士団の入団試験に合格するわよ!」




