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あにゃざ~・ゆにば~す☆彡  作者: ちゃっぴーと俺
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第9話 2人用タルトレットはいかが?

 女子寮別館・地下。


 ピコの実験室には、怪しい装置がまたひとつ増えていた。


「完成したにゃ……!」


 レヴィーが得意げに両手を広げる。


 目の前では、魔法陣と試作装置が静かに光っていた。


「ミラージュ魔法・試験版」


 ピコが淡々と説明する。


「他人に自分たちの姿を、

 周囲の種族に合わせて錯覚させる」


「つまり?」


「目立たなくなる」


「最強にゃ!!」


 レヴィーが飛び跳ねた。


 キャロルはじとっと目を細める。


「本当に初めて使うんだよね?」


「理論上は問題ない」


「実験は初」


「それ一番危ないやつにゃ」


 レヴィーはバッグを持ち上げる。


「これ、今日のおやつにタルトレット持っていくにゃ!」


「食べる暇あると思う?」


「あるにゃ!」


 装置が起動する。


 光が収束し、視界が揺れた。


 静かな振動。


 金属の匂い。


 薄暗い空間。


「……ここどこにゃ?」


 レヴィーが周囲を見回す。


 そこは巨大な倉庫のような場所だった。


 だが、明らかにマギーアではない。


「空気が薄い」


 キャロルが呟く。


「魔力反応ほぼゼロ」


 ピコも静かに分析した。


 その時。


「……誰だ」


 暗がりから声がした。


 そこにいたのは、一人の青年だった。


 膝を抱え、壁にもたれている。


 疲れた目。


 しかし真面目そうな顔立ち。


「ここは宇宙船の中だ」


 青年は静かに言った。


「もうすぐ発射される」


「宇宙船……?」


 レヴィーの目が輝く。


「星に行くやつにゃ!?」


「そういう認識でいい」


 青年は事情を語り始めた。


 代々対立してきた二つの家。


 一方は宇宙へ移住する側。


 一方は地球へ残る側。


 彼は宇宙側の家に属していた。


 だが――。


「地球に残る彼女がいる」


 青年は小さく呟く。


「両想いにゃ?」


「……たぶん」


「たぶんは弱い」


 レヴィーが即答した。


「でも、もう時間がない」


 青年は俯く。


「船は出る。

 俺は行かなきゃいけない」


 倉庫に静かな空気が落ちる。


「それ恋にゃ」


 レヴィーが断言した。


「データ的には未確定」


 キャロルが腕を組む。


「でも可能性は高い」


 ピコも小さく頷いた。


「ならやるにゃ!!」


「いや、待ってくれ」


「待たないにゃ!」


「分析完了。行動開始」


「勢いだけで動いてない?」


 三人は完全にやる気だった。


 青年は困惑したまま立ち上がる。


「いや、俺まだ整理が――」


「整理してる間に終わるにゃ!」


 その時。


 警報が鳴り響いた。


 赤い光が通路を照らす。


『発射準備完了』


 機械音声が響いた。


「今ならまだ間に合うにゃ!」


 レヴィーが青年の背中を叩く。


「うっ」


「告白は勢い」


「成功率上昇には感情出力が重要」


「責任取れよお前ら!?」


 通信回線が開く。


 画面の向こう。


 そこには、一人の少女がいた。


「3年待ってくれ!」


 青年が叫ぶ。


 少女は目を見開く。


 数秒の沈黙。


 それから。


「……うん」


 小さく、でも確かに頷いた。


 ブゥゥゥン……


 低い振動音。


 船体が大きく揺れる。


「え?」


 レヴィーたちの足元が浮いた。


「待ってにゃ!? 今!?」


「発射してる!!」


「想定外の時間!!」


 青年は地上側の通信コンポーネントへ戻っていた。


 そしてレヴィーたちは。


 青年の会話を気を利かせて聞かないよう、ワープゲート近くにあった宇宙船側へ戻っていた。


 ――致命的な位置のズレだった。


「「「にゃあああああ!!」」」


 視界が傾く。


 窓の向こうで、地球がゆっくり遠ざかっていく。


 宇宙。


 本当に宇宙だった。


 どれくらい時間が経ったのか。


 三人がたどり着いたのは、見渡す限り荒れた惑星だった。


 砂埃。


 強い風。


 遠くには巨大な機械群。


 どうやら、これからテラフォーミングされる星らしい。


「なんでこうなったにゃぁ!!」


 レヴィーが叫ぶ。


「いつもの」


 キャロルが即答した。


「不可抗力」


 ピコも頷く。


 レヴィーは肩から下げたバッグをごそごそ探る。


 そして。


「あ」


「どうしたの?」


「タルトレット潰れてるにゃ……」


 袋の中では、タルトレットが無惨にぺしゃんこになっていた。


 数秒の沈黙。


「タルトレットどころじゃないにゃ!!」

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