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あにゃざ~・ゆにば~す☆彡  作者: ちゃっぴーと俺
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第10話 ポップコーンクライシス

 学園の廊下に、高らかな声が響いた。


「べ、別にあなたたちと仲良くしたいわけではありませんわ!」


 カトリーヌがびしっと扇子を突きつける。


「じゃあ何しに来たにゃ?」


 レヴィーが首を傾げた。


「それは……その……!」


 言葉に詰まる。


 ミーミアが横から小声で囁いた。


「お嬢様、“一緒にお昼食べませんこと?”です!」


「言えるわけありませんわー!!」


 顔を真っ赤にして叫ぶ。


 キャロルがため息をついた。


「今日も平常運転ね」


「ツン率高め」


 ピコも頷く。


「ふんっ!」


 カトリーヌは勢いよく背を向けた。


「もう知りませんわ!」


 そのまま去っていく。


 数秒後。


「……また失敗しましたわぁ」


 物陰でしゃがみ込むカトリーヌ。


 オーロラが優しく言う。


「少しずつでいいと思います」


「でもお嬢様、ちゃんと話しかけに行けました!」


「うぅ……」


 ミーミアも力いっぱい頷く。


「次はきっと成功ですー!」


 放課後。


 女子寮別館・地下。


「……誰もいませんわね?」


 カトリーヌがピコの実験室を覗き込む。


 謝ろうと思って来た。


 だが部屋は静かだった。


 その代わり。


 部屋の奥で、怪しく揺らめく空間が脈打っている。


「なんですの、これ……?」


 オーロラの顔が青ざめた。


「わけわかんないものに近づくのは危険です、お嬢様!」


「絶対危険です!!」


「でも気になりますわ!」


 カトリーヌはずんずん近づく。


「お嬢様ー!」


 オーロラの声に振り向いた瞬間。


 床に転がっていた謎のバネを踏んだ。


「きゃっ!?」


 さらに近くにあった半壊ほうきへ激突。


 ほうきが跳ねる。


 積み上がっていた箱が崩れる。


「にゃーーー!?」


 なぜか箱の中から煙が噴き出した。


「お嬢様危ない!!」


 オーロラが飛び込む。


「お助けしますー!!」


 ミーミアも飛び込む。


 そして三人まとめて、そのままゲートへ吸い込まれた。


「にゃあああああ!?」


「落ちますわーー!!」


「お嬢様ぁぁぁ!!」


 ぐるん、と景色が回る。


 どさどさどさっ。


 三人は草むらへ転がった。


「ふぎゃっ!」


「うにゃっ!」


「ぴにゃっ!」


「い、痛ったぁ……」


 カトリーヌが顔を上げる。


 そして固まった。


「……え?」


 空が違う。


 山が巨大。


 知らない匂い。


 知らない風。


「ど、どういうことですの!?」


「まさかにゃろう小説でよくある異世界転生ですー!?」


「ミーミア、よく部屋にこもってると思ってたらweb小説読んでたのね……

 って、そんなことより帰れますよねこれぇ!?」


 三人は完全にパニックだった。


 その時。


 地面がドシンと揺れる。


「ひっ」


 振り向く。


 そこには。


 巨大な鬼たちが立っていた。


 角。


 大きな体。


 丸太みたいな腕。


 ――しかし。


「耳の生えた人間!?」


「し、侵略者だぁ!?」


「隠れろぉぉぉ!!」


 鬼たちは一斉に逃げ出した。


「逃げましたわ!?」


「こっちが怖いんですけどー!?」


「ぷるぷるぷるぷる」


 その時だった。


「にゃーーー!!」


「待つにゃーー!!」


 元気な声が響く。


 振り返る。


 そこには。


 鬼の姿になったレヴィーたちがいた。


「鬼ごっこ最強にゃーー!!」


「レヴィーずるい!」


「ミラージュ安定動作確認中」


 鬼の子供たちと全力で遊んでいる。


「この声は……それに名前……

 あなたたち何してますの」


 カトリーヌが呆れた声を出した。


 三人が固まる。


「お嬢にゃ!?」


「なんでいるの!?」


「観測外事象」


 ミラージュ魔法が解除される。


 鬼たちがざわついた。


「耳なくなった!?」


「変身したぁ!?」


「怖いけどちょっとすごい!」


 だが鬼の子供たちは、すぐにレヴィーたちへ抱きついた。


「もっと遊ぼう!」


「鬼ごっこする!」


「尻尾ふわふわ!」


 気づけば、鬼たちの集落では宴会が始まっていた。


 巨大鍋。


 山盛り料理。


 豪快な笑い声。


「うまいにゃー!」


 レヴィーが骨付き肉を頬張る。


「食欲すご」


 キャロルが呆れる。


「このお団子おいしい」


 ピコはもぐもぐしていた。


 カトリーヌも少しだけ笑う。


「……悪くありませんわね」


 だが、その時。


「また人間が来たらどうする……?」


「今度は誰が連れてかれるか……」


 鬼たちの小さな会話が聞こえた。


 空気が少しだけ曇る。


 子供たちも、大人の会話が届いたのか怯えた顔をしていた。


 カトリーヌは静かに立ち上がる。


「……許せませんわ」


 握りしめた拳が震えていた。


「悪いことをしてないのに怯えて暮らすなんて!」


「でも俺たち弱いし……」


「人間怖いし……」


 その時。


 カトリーヌの脳裏に、クロウリー先生の授業が蘇った。


『対等な関係とは、

 力だけで決まるものではありません』


「……そうですわ」


 カトリーヌが扇子を開く。


「力が必要な時もありますわ」


「ですが、

 戦うだけが方法ではありませんの!」


 ビシッと扇子を突き出す。


「あなたたちは何が得意ですの!?」


「鍛冶……」


「家作るの……」


「畑耕すのも……」


 カトリーヌが、にやりと笑った。


「それですわ!」


「あなたたちの力は脅えるためのものじゃありません!」


「その技術を欲しがる人は必ずいますわ!!」


「おぉー!」


 レヴィーが目を輝かせる。


「珍しくまとも」


 キャロルが呟いた。


「失礼ですわ!!」


 数日後。


 鬼たちの鍛冶技術。


 建築技術。


 頑丈な農具。


 最初は、妖怪や獣人の商人たちが興味を示した。


「この鍬すごいぞ」


「丈夫だなぁ」


「橋の材料に良さそう」


 少しずつ。


 鬼たちは、“気が弱いだけの存在”ではなく、“必要とされる存在”へ変わっていく。


 そしてその評判は、やがて人間たちにも広がった。


 彼らを必要とするまとまりの力を前に、容易に手を出せなくなっていく。


 帰還前。


「ありがとうカトリーヌ様!」


 鬼の子供たちが抱きつく。


 カトリーヌは顔を赤くした。


「……べ、別に。

 理不尽がいやだっただけで、あなたたちのためにやったわけじゃありませんわ!」


「素直じゃないにゃー」


「テンプレ」


「様式美」


 カトリーヌの顔がさらに真っ赤になる。


「~~~~っ!!

 う、うるさいですわーーー!!」


 レヴィーたちは笑いながら逃げ出した。


 その後ろで。


 オーロラは優しく微笑む。


「……よかったですね、お嬢様」


 ミーミアも満面の笑みだった。


「お友達いっぱいですー!」


「だ、だから違いますわぁぁ!!」

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