第11話 とけないシャーベットは最強じゃん?!
南海岸リゾートビーチ。
「海にゃーーーーーっ!!」
レヴィーが真っ先に砂浜へ飛び出した。
白い砂浜。
透き通る青い海。
照りつける夏の日差し。
南国風の建物が並ぶ、マギーア屈指のリゾートビーチだった。
「走ると転びますわよー!」
カトリーヌも楽しそうに後を追う。
「お嬢様も走ってますー!」
「わたくしは優雅に走ってますの!」
「暑い」
ピコはすでに日陰を探していた。
「まだ来たばっかだけど」
キャロルが呆れる。
次の瞬間。
「にゃっ!?」
レヴィーが波へ突っ込んだ。
「しょっぱーーい!!」
「海だからに決まってるでしょ」
キャロルがため息をつく。
「にゃははは!
水鉄砲勝負にゃー!!」
レヴィーが魔法陣を展開する。
空中に水が集まり、一瞬で猫型の水鉄砲が形成された。
「ずるいですわ!
わたくしも作りますわよ!」
カトリーヌも魔法を発動。
だが。
ぼふっ。
巨大なシャワー砲になった。
「でかっ」
「火力重視」
「水圧やばそうですー!」
「くらいなさーい!!」
ドバァァァァッ!!
「にゃあああああ!?!?」
レヴィーが吹き飛んだ。
「お嬢様それ水鉄砲じゃないです!!」
オーロラがツッコむ。
「勝てばいいんですのー!」
数秒後。
「目に入ったにゃー!!」
「レヴィーが先に撃ったんですわ!」
「子供」
「子供ですね」
キャロルとオーロラが同時に呟いた。
少し離れた場所。
パラソルの下では、クロウリー先生がぐったりしていた。
「なんで休日まで引率なのよぉ……」
「お疲れ様です」
隣ではパーシヴァルが海を見ている。
じーっ。
「……何見てるんです?」
「子供たちを」
「言い方ぁ!!」
クロウリー先生が即ツッコむ。
「いや違います」
「まだ何も言ってませんけど!?」
パーシヴァルは真顔のままだった。
「安全確認です」
「その双眼鏡で?」
「遠距離確認用です」
「余計ダメっぽいんですけど!?」
その時。
近くを通った女性客たちがひそひそ話す。
「……あの人」
「ずっと子供見てない?」
「えっ……」
「違います」
パーシヴァル即否定。
「誰も本人に聞いてないんですけど!?」
クロウリー先生が頭を抱えた。
「次はスイカ割りにゃーー!!」
レヴィーが棒を掲げる。
「普通にやってもつまらないですわ!」
カトリーヌが魔法陣を展開。
砂浜に大量の幻影スイカが現れた。
「どれが本物ですのー!?」
「増やしすぎ」
「本人も分かってませんねこれ」
さらにピコが魔法を追加する。
スイカたちがぴょこぴょこ動き始めた。
「逃げたにゃーー!?」
「スイカが逃げてますー!!」
レヴィーが全力ダッシュ。
棒を振り下ろす。
ゴッ。
「あっ」
割れた。
スイカではなく、カトリーヌの作った砂のお城が。
「にゃあああああ!!」
「わたくしのお城がぁぁぁ!!」
カトリーヌが崩れ落ちる。
「今度こそ完璧に作りますわ!」
カトリーヌが本気モードになる。
魔法で砂を圧縮。
塔が伸びる。
橋が架かる。
噴水まで生成された。
「無駄にクオリティ高い」
キャロルが引いていた。
レヴィーも負けじと魔法を使う。
「こっちは巨大猫城にゃ!!」
どーん。
謎に巨大な猫顔の城が完成した。
「怖い」
「夜見たら泣くやつ」
「芸術的ですー!」
午後。
遊び疲れた六人は、浜辺に並んで座っていた。
波の音。
潮風。
遠くで鳴く海鳥。
「異世界も楽しいですけど」
オーロラが静かに言う。
「こういうのも楽しいですわね」
「うん」
キャロルも頷く。
「なんか、
自分たちの世界って感じするにゃ」
レヴィーが空を見る。
「落ち着く」
ピコも小さく呟いた。
そこへ。
「君たち」
パーシヴァルが歩いてくる。
「にゃ?」
「なんですの?」
パーシヴァルは六人を順番に見渡した。
「魔導ほうきレースに興味はあるか?」
「あるにゃ!!」
レヴィー即答。
「来週、
子供部門のチーム戦がある」
「チーム戦?」
キャロルが首を傾げる。
「五人編成。
補欠一人まで登録可能だ」
ミーミアがぱっと手を挙げた。
「補欠やりますー!!」
「早いですわ!?」
パーシヴァルが少し笑う。
「見てみたいんだ。
君たちが飛ぶところを」
レヴィーたちの目が輝く。
「出るにゃーーー!!」
夏の空へ、元気な声が響いた。




