第20話 アップルパイだと思って食べたらミートパイだったときのショックが君にはわかるか?
とあるアジト。
「今回こそだ」
男は机を叩いた。
黒いローブ。
蛇の紋章。
モルドレット。
「今回こそ、
マーリンの秘宝をいただく」
「おおーっ!!」
子分たちが盛り上がる。
「念入りに調査しましたぜ親分!」
「警備ルートも把握済み!」
「逃走経路も完璧!」
「ふはははは!」
モルドレットは高笑いした。
「完璧な作戦だ!」
だが。
「親分」
「なんだ」
「前もそう言ってませんでした?」
しん。
「…………」
「…………」
「……言ったかもしれん」
回想・その1。
「宝をいただくぞ!」
勢いよく開けた宝箱。
中身。
大量の干し芋。
「なぜだぁぁぁ!?」
回想・その2。
「潜入成功!」
「今日から掃除担当ねー」
「はい……」
三日間、普通に掃除させられた。
回想・その3。
「ついに奪取成功!!」
箱を開ける。
中身。
アップルパイ。
「やったぜ親分!」
「勝利の味ですぜ!」
食べる。
「……ミートパイだこれ」
「「「うわぁぁぁぁぁ!!」」」
現在。
「アップルパイの口だったんだぞ!!」
モルドレットが机を叩いた。
「ショックがわかるか!?」
「わかりますぜ親分!!」
「甘い気分だったのに肉でしたからね!!」
「しかも熱かった!」
「舌やけどした!」
子分たちもなぜか盛り上がる。
「だが今回は違う」
モルドレットがびしっと指を突きつけた。
「世界最強の魔法使いが大事に秘匿してるお宝だ。
絶対価値があるに決まってる!
そいつを奪って売っぱらってウッハウハだ!!」
「ヤッホーい!」
「さすがおやぶん!!」
「わけまえ入ったら彼女に告白するんだ!」
机の上には、学園の見取り図。
巡回時間。
警備経路。
そして。
「例のガキどもについても調べた」
空気が少し変わる。
「あの猫耳三人組ですか」
「最近六人になってません?」
「増えた」
「なんで増えるんです?」
「知らん」
モルドレットは頭を抱えた。
「白っぽいのが二人」
「金髪っぽいのも二人」
「追跡メモが途中から、
誰が誰だかわからん!」
「お嬢っぽいの増えたのが悪いですぜ!」
「しかもやたら集まる!」
「パンケーキ食ってた!」
「服着替えて騒いでた!」
「なんなんだあいつらは!」
モルドレットは机に突っ伏した。
「子供のくせに、
毎回面倒を起こしおって……」
「しかも妙に運がいい」
「いや、
悪いのはこっちか……?」
「弱気ですぜ親分」
「うるさい」
モルドレットは椅子にもたれた。
ふと。
視線が棚へ向く。
そこに置かれていたのは。
ガラス瓶。
中には、丸い飴玉のようなもの。
「親分、それは?」
モルドレットがにやりと笑う。
「マタタビボンボンだ」
「おおっ!!」
「ケットシー特効!」
「ガキだろうがなんだろうが、
弱点はある」
瓶を軽く振る。
ころころ。
「次こそ、
あの六人を出し抜く」
モルドレットの目が怪しく光った。
「待っていろよ、
猫耳ども……!」
その頃。
「くしゅんっ!」
レヴィーが突然くしゃみをした。
「風邪ですの?」
「誰かレヴィの噂してるにゃ……」
完全に当たっていた。




