第19話 ポケットの中でビスケットを割ったら増えるっていったよねぇ?!
ピコの工房。
「つまり!」
キャロルがばんっと机を叩いた。
「異世界の技術を使えば、
モルドレット対策できるかもしれないってこと!」
「おおー!」
レヴィーが拍手する。
「宇宙船とかすごかったにゃ!」
「未来技術」
ピコも頷いた。
「異世界の文明レベルには、
かなり差異がある」
「つまり、
強い道具とかあるかもしれませんわね!」
カトリーヌも乗り気だった。
「これは調査ですわ!」
「遊びじゃないよー?」
ミーミアが笑う。
「……たぶん」
オーロラがぼそっと言った。
ぴかり。
虹色の光が広がる。
「しゅっぱーつ!」
六人は勢いよく飛び込んだ。
「きらきらにゃぁぁぁ!!」
最初の異世界で、レヴィーが目を輝かせる。
そこは、服と装飾文化が発達した世界だった。
建物はカラフル。
行き交う人々も、全員おしゃれ。
「すごいですわ……!」
カトリーヌの目が完全に輝いていた。
「服が光ってますわよ!?」
「この帽子かわいいー!」
「未来素材」
ピコが服を引っ張る。
「伸縮率が高い」
「着替えるにゃ!!」
数分後。
「どうにゃ!?」
レヴィーはスポーティな近未来服。
動くたびにラインが光る。
「似合ってる!」
キャロルは、ふわふわした白いワンピース。
「お姫様みたいですわ!」
「えへへ……」
ピコはゴーグル付きの機械服。
「研究者感ありますわね……」
「機能性重視」
カトリーヌは。
「どうですの!?」
超豪華ドレスだった。
「つよそう」
「褒め方雑ですわ!?」
オーロラはシンプルな黒コート。
「かっこいい……」
「……動きやすい」
ミーミアは。
「じゃーん!」
盛りに盛っていた。
「情報量が多いにゃ!」
わいわい。
きゃっきゃ。
数十分後。
「……で、
何しに来たんだっけ?」
全員止まった。
「あ」
次にやってきたのは、超未来都市。
空飛ぶ車。
自動清掃ロボ。
巨大ホログラム。
「未来すぎるにゃ!!」
「これなら対モルドレット装備とかありそう!」
キャロルが目を輝かせる。
その時。
「試供品、
ご自由にお試しください」
店員ロボが、謎の機械を差し出した。
「武器っぽいにゃ!」
「やめたほうが――」
ピコが言い終わる前に。
「えーい!」
レヴィーが押した。
ぶおおおおおっ!!
「にゃぁぁぁぁぁ!?」
強風。
商品棚が吹き飛ぶ。
「緊急停止!
緊急停止!」
「逃げますわよーーー!!」
六人は全力疾走した。
最後にたどり着いたのは、のどかな世界だった。
お菓子の屋台が並んでいる。
「ビスケットですって」
キャロルが袋を手に取る。
「ポケットの中で割ると増えるらしい」
「夢のお菓子にゃ!!」
レヴィーが飛びついた。
「ほんとに増えるの?」
「試す」
ピコがぽきっと割る。
すると。
ぽん。
「増えた」
「「「おおーーー!?」」」
さらに割る。
ぽぽん。
「増えてるにゃぁぁぁ!!」
「無限おやつですわ!」
六人は大盛り上がりだった。
マギーア帰還後。
「今日も楽しい世界だったにゃー!」
「……毎回そう」
オーロラがぽつりと呟く。
「私たち、
行きたい場所に飛んでるのかも」
「楽しい場所限定にゃ?」
「たぶん」
「結局、
役立ちそうなもの見つからなかったにゃ……」
レヴィーがへにゃっとなる。
「でも楽しかったですわ!」
「調査成功?」
「絶対違う」
オーロラが即答した。
その時。
「……ん?」
ピコがポケットを見る。
もぞもぞ。
「まだ増えてる」
「え?」
次の瞬間。
ぼふっ!!
大量のビスケットが、ポケットから雪崩れ落ちた。
「「「にゃーーー!?」」」
机。
床。
棚。
工房が、ビスケットまみれになる。
「止まらないにゃぁぁぁ!!」
「誰か食べてくださいましーーー!?」
「増殖速度上昇中」
「なんで冷静なのピコちゃん!?」
今日も工房は、平和だった。




