表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あにゃざ~・ゆにば~す☆彡  作者: ちゃっぴーと俺
2/24

第2話 イチゴがないならショートケーキに何のせる?

 午前授業中。


 教室にはクロウリー先生の声が響いていた。


 ……が。


「……」


 そわそわ。


「……」


 きょろきょろ。


「……」


 にやにや。


「レヴィーさん」


 クロウリー先生の低い声が飛ぶ。


「にゃっ!?」


「さっきから落ち着きなさすぎです」


「そんなことないし!」


「黒板一回も見てませんけど?」


「……」


 図星だった。


 レヴィーの頭の中は、完全に“異世界”でいっぱいだった。


(早く行きたーーーい!!)


「レヴィーさん」


「は、はいっ!」


「今から魔法理論の問題を解いてもらいます」


「う゛にゃっ?!」


 ざわつく教室。


 キャロルは巻き込まれないよう、そっと視線を逸らした。


「炎属性魔法と風属性魔法を同時接触させた場合に発生する――」


「爆発!!」


「雑ぅっ!!」


 クロウリー先生が頭を抱える。


 教室のあちこちから笑い声が漏れた。


 その時だった。


「ふふん」


 高笑いが響く。


「授業中に浮かれるとは、ずいぶん余裕がありませんのね?」


 カトリーヌだった。


 金色の毛並みをふわりとなびかせ、優雅に振り返る。


 左右にはオーロラとミーミア。


「その程度の精神力では、魔導ほうきレースでも二流止まりですわよ?」


「にゃんだとー!?」


 レヴィーが勢いよく立ち上がる。


「この前の校内レースも、運だけで勝ったようなものですわ!」


「運じゃないし! 実力だし!」


 ミーミアも勢いよく立ち上がった。


「さすがお嬢様! おっしゃるとおりです!」


 オーロラも慌てて席を立つ。


「ミーミア座って! カトリーヌ様も煽らないでください!」


「オーロラ! わたくしは事実を言っているだけですわ!」


 カトリーヌの言葉に、ふんふんとうなずくミーミア。


「増えてるーーー!!」


 クロウリー先生のこめかみに青筋が浮かんだ。


「4人とも座りにゃさぁぁぁぁい!!!」


 教室中に怒声が響き渡った。


 放課後。


 3人は街へ出ていた。


「というわけで!」


 キャロルがメモ帳を広げる。


「異世界探検の準備をします」


「おおー!」


 レヴィーが拳を上げる。


「たしかに準備は必要」


 ピコもちょこんと腕を上げつつ頷いた。


 キャロルは真面目な顔になる。


「向こうの世界に魔力がある保証はないの」


「えっ」


「もし魔法が使えなかったら?」


「……あっ」


 レヴィーが固まり、ピコもハッとした顔になる。


「つまり、魔法抜きでも使える道具が必要」


「「にゃるほど!」」


 3人は決意を新たに、意気揚々とアウトドアショップへ入っていった。


「これ便利そー!」


 レヴィーが手に取ったのは、自動点火式ランタン。


 ピコが説明書を見る。


「魔石駆動」


「ダメじゃん!」


 キャロルが即ツッコミした。


「じゃあこのロープ!」


「魔力伸縮式」


「ダメ!」


「この水筒!」


「自動浄化に魔石使ってる」


「文明が全部魔力頼りーーー!!」


 レヴィーが叫ぶ。


 店員のカエル族のおじさんが苦笑した。


「お嬢ちゃんたち、登山でも行くのかい?」


「まあそんな感じ!」


「夏山なら北ルートはやめときな。最近盗賊団が出るって噂だ」


「盗賊団?」


 キャロルが反応する。


 その時だった。


 店の外を、黒いローブ姿が横切った。


 ローブには蛇の紋章。


 ちらりと覗いた鋭い目。


 不気味な空気。


 先頭を歩く細身の人物が、一瞬だけこちらを見る。


 黄色い瞳に、細く裂けた黒の瞳孔。


「……?」


 レヴィーが首を傾げた。


 だがその人物は、何事もなかったように視線を戻し、そのまま路地裏へ消えていく。


「レヴィ?」


「んー……なんでもない!」


 キャロルは少しだけ気にしながらも、再び買い物へ戻った。


 夕方。


 女子寮別館・地下。


 ピコの実験室。


 机の上には、大量の道具が並んでいた。


「結果」


 ピコが言う。


「ほぼ全部魔力必要」


「意味ないじゃーん!」


 レヴィーが机に突っ伏した。


 キャロルは腕を組む。


「やっぱり未知の世界へ行くなら、ちゃんと調査しながら進まないと……」


 すると。


 ピコが机の下をごそごそ漁り始めた。


「……できた」


 取り出したのは、手のひらサイズの透明な筒だった。


 中では青白い光がゆらゆら揺れている。


「なにそれ?」


「携帯型魔力バッテリー」


「おおーっ!?」


 レヴィーの耳がぴんっと立つ。


 ピコはちょっとだけドヤ顔した。


「魔力を保存して持ち運べる」


「天才じゃんピコにゃん!」


「えへん」


 キャロルも感心したように筒を見る。


「これなら、向こうで魔力が薄くても多少は魔法使えるかも」


 レヴィーは再びゲートへ目を向けた。


 ゆらゆら揺れる異世界への穴。


 その向こうには、まだ見たこともない世界が広がっている。


 何があるのか。


 どんな景色が待っているのか。


 想像するだけで胸が高鳴った。


「絶対、面白い旅になるよ」


 キャロルは小さくため息をつく。


「……もう止めても行くんでしょ?」


「もちろん!」


「はぁ……」


 でもその顔は、少しだけ楽しそうだった。


 ピコも静かに頷く。


「準備、まだ必要」


「よーし! 明日こそ探検だー!」


 レヴィーの声が地下室に響く。


 怪しく揺れるゲートは、まるで3人を待っているように静かに輝いていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ