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あにゃざ~・ゆにば~す☆彡  作者: ちゃっぴーと俺
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第13話 食べてもなくならないシュレディンガーのプリン

「また失敗?」


 呆れた声が飛ぶ。


「失敗ではないよ!

 これは“想定外の成功”!」


 少女が胸を張る。


 次の瞬間。


 ぼふんっ!!


 煙が研究室いっぱいに広がった。


「げほっ、げほっ!」


「だから危ないって言ったのに」


 机の上には、焼け焦げたプリン。


「……プリンが爆発した」


「プリンで済んでよかったよ」


 少女は頬を膨らませた。


「むぅ。

 次こそ絶対成功させる」


 壁一面の魔法式。


 積み上がった本。


 散乱する魔道具。


 研究室は足の踏み場もない。


「それ、

 何作ってるの?」


 少女は、にやりと笑った。


「世界の向こう側へ行く扉!」


「術式構築は私!

 理論完成はマーリン担当!」


「役割逆でも成立しそうで嫌だなぁ……」


 少女はけらけら笑う。


「でもこれが完成したら、

 まだ見ぬ世界に行けるんだよ!」


 数か月後。


 巨大な魔法陣が輝く。


 何重もの術式。


 暴走する魔力。


「ほんとにやるの?」


「もちろん!」


 少女は迷わなかった。


 杖を掲げる。


「繋がれ――異界!」


 光が弾ける。


 空間が裂けた。


 その向こうに、見たこともない景色が広がる。


「……成功した」


 静寂。


 次の瞬間。


「成功したぁぁぁぁぁーーーっ!!!」


 少女が飛び跳ねた。


「うるさっ」


「歴史的快挙だよ!?」


 少女は満面の笑みを浮かべる。


「ねぇ!

 一緒に行こう!!」


 異世界の空。


 見たこともない街。


 笑い声。


「マーリンまた変なもの食べてる」


「研究のためだよ!」


 巨大な竜。


 吹雪の世界。


 空飛ぶ列車。


「危ない!!」


「うわぁぁぁぁ!?」


 たくさんの景色。


 たくさんの世界。


 たくさんの冒険。


 そして。


 一人の誰か。


「君ならきっと出来る」


「……いやだ」


 若いマーリンが震える。


「置いていかないで」


 崩れていく空。


 壊れていくゲート。


 誰かが、小さな箱を押し付けた。


「これを――」


「待って!!

 まだ方法が――!」


 光。


 轟音。


 叫び声。


 そして。


 ぷつりと、世界との繋がりが切れた。


「――学園長」


 マーリンがゆっくり目を開ける。


「……パーシヴァルかい」


 窓の外は夜だった。


 いつの間にか、うたた寝していたらしい。


 パーシヴァルが静かに告げる。


「学園内に侵入者です」


 マーリンの表情が変わる。


 学園内。


 廊下の壁が砕けている。


 魔法の焦げ跡。


 倒れた警備員たち。


「ごほっ……

 申し訳ありません……」


 警備担当の教師が苦しそうに言う。


「相手は?」


 パーシヴァルが問う。


「複数名……

 かなり手慣れていました」


「こちらも応戦はしましたが、

 逃走されました」


 マーリンが静かに尋ねる。


「特徴は?」


 教師が息を整える。


「黒い蛇の紋章を……」


 その瞬間。


 空気が変わった。


 マーリンは、ゆっくり視線を落とす。


 机の上。


 古びた小箱。


 長い年月、ずっと大切に保管されてきたもの。


 そっと触れる。


 脳裏に、昔の声が蘇る。


『きっとまた会えるよ』


 マーリンは静かに目を閉じた。


「……待っていてくれ」


 窓の外では、夜風が静かに吹いていた。

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