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ぬらりひょん

俺が本棚の埃取りをしていると、いつの間にか禿げ頭で着物を着た老人が店内にいた。


「いらっしゃいませ」


「やあ、こんばんは」


「こんばんは」


「少し本を探していてね。良ければ手伝ってもらえると嬉しいんだが……」


「どんな本をお探しですか?」


「実は私、ぬらりひょんと言って、妖怪の総大将とか言われてるんですな」


「はい」


「私なんて、人の家に勝手に入って寛ぐしかないのに総大将ですよ。おかしいでしょう?」


「確かに、何か強い能力とかではないですね」


「でしょう。最近、55代目ぬらりひょんを襲名いたしまして、妖怪のリーダーの資質というか、そんなことを考えていたのですよ」


「つまり、良いリーダーになるための本をお探しだということでしょうか?」


「はい、その通りです」


「わかりました。一緒に探しましょう」


 俺とぬらりひょんは本の海の中に飛び込んだ。




 十分も経たないうちに俺は一冊の本を見つけた。




『頼られるリーダーになるには』




 真葛秋人という若手社長が書いた本だ。


「これとかどうですかね? 若くして会社の社長になった方の本です」


「おお、まさにそれです! ありがとうございました」




「ありがとうございました」


 ぬらりひょんを見送った後、俺は思った。


 妖怪の総大将って襲名制なんだ……。

真葛秋人はカクヨムで連載している「先輩と俺」「gift」に登場します。

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