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貉

「いらっしゃいませ~」


 もふもふのお客様がご来店した。


「お前、俺のこと狸って思っただろ!」


「あ、いえ、ちょっと違いますよね?」


「狸に似ているが少し違う。彼は貉(むじな)。鳴き真似が得意だ」


 店の奥から綾さんが言う。


「化けるのが得意なんだ。何でも言ってくれ。上手に化けてみせるさ」


「じゃあ芥川龍之介でお願いします」


「芥川龍之介? そいつは、どんな顔をしてるんだ?」


俺はスマホで芥川龍之介の写真を見せる。


「おっ、けっこうな美男子だね。……ほいっと」


 貉は写真そっくりの芥川龍之介に化けた。


「すごい! 写真撮っていいですか?」


「いいよ」


 俺は芥川龍之介(化け貉)とのツーショットを手に入れた。


「それで、どんな本をお探しですか?」


「間違い探しの本さ」


「子ども用と大人用ありますが、どちらになさいますか?」


「子ども達に遊んでほしいから子ども用だな」


「はい、どうぞ。300円になります」


「はい」


「ありがとうございました」


 貉の子ども達が間違い探しを楽しんでくれると良い。



文学少年なレン君、良かったですね。

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