エピローグ
王都のギルドに戻ったところで、ランスは憔悴しきった顔で、応接間のソファに座っていた。
二人掛け用のソファなのに、ランスの右にはユーリイが、左にはヴィオがいてぎゅうぎゅう詰めだ。
ダリウスだけは、離れたソファに一人で悠々と座っている。
「それで、スタンピードはその一級の二方によって収束してもらえたんだな」
ランスの状況を無視して、ジョナサンが言った。
「うむ、問題なかろう。このように、キングの素材も回収してきているからな」
「確かにこりゃ、普通のミノタウロスより数倍ご立派なツノだ」
ダリウスとジョナサンの会話を遠くに聞きながら、ランスはため息も出なかった。
帰り道でも、一悶着あった。
口笛で招き寄せたダリウスの騎竜に、ユーリイとランスの貸し騎竜も繋がっていて、そこは問題なかったのだが。
ヴィオをランスの騎竜にタンデムさせようとしたら、ユーリイがそれなら自分とランスが一緒に乗ると言い出し、そこでまた言い合いになったからだ。
「いや、全くありがたいことだ。ギルドを代表して、礼を言わせてもらう。それと、報奨金の他に礼金も出させてもらう。……後で受付に、パーティー名を知らせておいてくれ。振り込みをさせてもらうから」
「では、失礼します」
大事にされているというよりは、むしろタンクとナイトに連行されるみたいな気分で、ランスは応接間を出た。
「ところでな、ユーリイ」
廊下を歩きながら、ダリウスが言った。
「なんですか?」
「私はそのヴィオランというタンクを、パーティーに加えるべきだと提案する」
「はあっ? なんでですかっ?」
「俺も賛同しかねる! むしろ俺のパーティーにランスを招きたい!」
「おまえら、廊下ででかい声出すな」
があがあと言い返してくるユーリイとヴィオに、ダリウスはニヤニヤ顔を返した。
「ユーリイ。今回、確かに私たちは奴らを易々と殲滅した。だがきみも、〝ランスが死んでいたかもしれない〟と発言しただろう? ランスの身を守ったのは、間違いなくそちらのヴィオラン殿だ」
ダリウスの言葉に、ユーリイはぐっと黙り込み、ヴィオはしたり顔になる。
「我々が戦っている場で、ランスのガードをきっちり勤めてくれる者が必要なのだ。わかるかね? このパーティーにとって、ランスの安全が最優先なのだよ!」
「ああ、俺は何があっても絶対に、ランスの安全は守る」
「でも、ランスのラバーは僕です。僕とランスは、もう割りない仲なんです。護衛はしても手は出さないでくださいね!」
「どっから出てきた、その変な言葉」
「なんだと! 貴様、一級の威光を使ってランスを手籠めにしたとっ!」
「おまえもなんでそーいう言葉遣いになってるかな?」
「はっはっはっ、ランス、モテモテだな」
「蚊帳の外で楽しそうだな、ダリウス!」
背の高いユーリイと、肩幅の広いヴィオに挟まれ、ランスはげんなりと──ようやく絞り出したため息を吐いた。
§
その後、ギルドにパーティー名〝YLVD〟が申請されたが、裏では「ランス大好き同盟」と呼ばれることとなった。
終わり。




