第九十五話 記憶と夢
「その法典を手に入れて...あれ...?」
ことが不思議だ。
我が名はゲルガンマその人
ガルドシュースより分離されし存在だが、目が次に開いたとき...
確か海賊と対峙をしていた
(どこだここ...?)
ならば今はどこだ、どう言うことだしか出ない。
以前もこんな不思議な転送三つ巴な戦いであったが、これは一体。
既視感、陰謀か。
しかし、此度は案内にも共に悩む人もいない
さすれば今一番いいのはこの地の人々の記憶に残る死んだものを呼び出す...あるいは
「来い、鷲の団団長」
じゃりん
あっ、やはり、人を呼び出せた。
エバンドルの地を我が物にして結合させたと言うべきか。
彼が世界を作り人を閉じ込めるもの。
(我は人を作り、世界に入れる。)
「...誰だ?」
このじゃらじゃらする飾り、肌にくっつくような服装呼び戻すことができたのか、記憶にあったができてしまった。
「おい、事情を解説しろ。誰だか言えばいいまずは」
そうしてしばらく話すとやつからいろいろと聞いた
(なるほど...つまり俺、ガルドシュースはおそらく子爵に近い強さで....公爵から伯爵、子爵に男爵のと帝皇の貴族の位があって....)
「で、ゲルガンマ、言ったが何をする、もしかしてこれが実力の判断になるんじゃ」
「なっ」
パン!
「無礼者め!我には敬語を使え!掌打で済んだだけ感謝しろ!」
何やつよ、こいつ。
何を頰を押さえたまま、呆然と見上げる。
まるで掌打の衝撃が鋭いから耳鳴りがしばらく残るように振る舞うか。
たかだが掌だぞ
「やはりおかしいぞ、鷲のやつめ」
肌に密着するような、どこか異国めいた装束。
それだけで、この男がもしかするとこの地の住人ではないか
「無礼者どこから生まれた。」
「……敬語を使え、だと?」
呟いたそれに、男はにやりと笑った。
続けて唇の端が不自然に歪み、瞳が熱を帯びている。
「うおおッふ……いっっってぇえ!!なにその反射、はぁ?……あ〜、もうやっぱ好きぃ♡その感覚が堪らん!もぉ〜殺したくな〜い、けどあんたやっぱ殺す♡……っ♡」
流石にか一瞬、言葉を失った。
確かにこれは記憶にあったが、青気抜けたばかり少年の体を主体にしてはいささか、いささか、いささか。
「は..?」
召喚したはずの存在が、いきなりそんな嬌声を上げたのだ。しかも自分が殴った直後に、その痛みを悦びに変えている。
「……な、な、なにを言っている」
男は自分の頰を撫で、震える声で続けた。
「はっ……やっぱり幼いきみの反撃は格別だね。痛くて、熱くて、頭の中が真っ白になる……たまらぬ。でも、ちゃんと分かってるよ。こちらは完全に、あんたの支配下だ」
「む」
ゲルガンマは眉をひそめた。召喚の感触は確かだ。この男━━ハヒュ・バと名乗ってきた敵だった存在は、自分の意志で呼び出した。
それの記憶に実在し、確かにあるが、敵ゆえ深くは知らない存在。
もはや夢でみた人物ほどしか出会いをしていない。
彼は果たしてこの地の人々の記憶と夢を介して現れた者だろうか。
ただ、鷲の団の団長として知る彼にこれ以上聞いてもおそらくは同じ
なぜならば、この呼び出しは能力のひとつの使い道にすぎず結局は誰かの形を借りて傀儡を読んだだけである。
ただ誰かの形さえあれば再現しやすいだけであり、別に誰かを蘇らせた類いの術でもなんでもないのだ。
ならば気になる、自らを謀る暴虐者と称する男を誰か知るだろうか。
ゲルガンマは気になっていた。彼はあくまでもガルシドュースにあった記憶を頼りにこうしてゲルガンマを名乗っているが、別に古代から蘇る存在ではない。
その実態は、お前の予想を大きく裏切るものだ。
「名乗れ。正確に」
質問の目的はなんだろうか、もしかしたら相手と自分には似ている部分があったかもしれん。その気持ちが隠れているかもしれない。
どちらも死んだものを形取り、別の物質でできたものゆえの存在だから。
しかしハヒュ・バは酷い扱いを受けてもなお飾りをじゃらじゃらと鳴らし、腰をくねらせるようにして呑気にその調子を維持する
「俺はハヒュ・バ。かつては鷲の団を率いた団長。禁足地に踏み入ったせいで死んだよん。本当は歴史に名を残し...はずなのに……今は、おまえの召喚に応じて、こんな姿で出てきた。ふふっ……支配されるの、嫌いじゃな....いわけねぇだろうがぁ!」
「ふん」
ゲルガンマは腕を組んだ、ガルドシュースから分離したばかりの己の感覚が、まだ定まらない。
本来ならばこんな状況などないはず、しかし実際、起こったしまった。
ガルシドュースはもはや今の現世にはいない。
神術を扱い、やがては自然、つまり世界そのものに影響するものがいく、その次なる到達点。“神域”にガルシドュースはいる。
敵対していた吸血鬼が呼び出したものによるせいだった。
それはその一族の猛者たる長老たちの屍を借りて作り上げた神域もどき、神域ではないが、数のおかげで限りなく神域に近く、また神域を持たないものすらも呼べるもの。やつがそれに力を借りてはそこへと本体のガルシドュースは閉じ込められている。
そしてゲルガンマが生まれた。
目を開けたときから、ここがどこなのかも分からず、とりあえずこの地の人々の記憶に残る死者を呼び出してみた。結果が、この有様だ。またもや謎の場所へと行くはめに。
(おそらく、何かの突破のために外へと放り投げられたはず、しかし現状自分に何ができるだろうか。)
「もっと説明しろ、お前の口から有意義な言葉はまだない。つまりだ、ここはどこだ。俺はなぜここにいる」
ハヒュ・バは悦びに濡れた瞳でゲルガンマを見上げた。
痛みを与えられた直後なのに、態度は完全に服従のそれだった。何かが、彼の意志を強く縛っているのだろう。ゲルガンマがガルシドュースに戻りたがるように。
「まずは……人々の記憶と、歴史の残滓が混ざり合った狭間だよ。エバンドルが作り上げたのは、それを死ぬ前に知りたかった。死んだ者、忘れられた者、伝説になった者を、夢や記憶の糸を辿って呼び出せる場所。今おまえは無意識に、しかし体内にある偉大な血統のおかげでそれを使った。」
「血統...龍のことか。」
「そうだとは思う、そして俺はこの地の誰かの夢の中に入り込んでいたところを、引っ張られたんだ」
彼は自分の首筋を撫で、くすぐったそうに身をよじった。
「夢の中にいる...つまり俺をまだ知りながらその力を使ったものはいる..エバンドルと同じ力を使ってなのかは知らない。」
「敵がまだ消えていない可能性があると...腐敗の母か、はたまたは例の子爵の追っ手...いや法務部か...誰だ」
「どちらにせよ帝国の貴族位階で言えば、公爵、伯爵、子爵、男爵……と続くから、数は多い、俺のように貴族を目指せば問題は多く減る。」
「数か...」
(数ね...いや俺は確か第二境である、それで子爵なら...肉体を血肉から完璧に神力にしたら..伯爵かな...?)
「おまえの本体、ガルドシュースは子爵に近い実力を持っていたはず。その位階は。質と量、戦場での実績が、そのままとしてもらえる。何かの貢献をして、大量の富でもやり領土でも見つければ簡単に買える...わけでもないが...」
ゲルガンマは静かに頷いた。
「実力だけではない...領土か、ならばこの土地を支配すればいいではないか、少なくとも海賊が蔓延る場所はいいはずがない、持ち主なき場に決まったいる。」
ヒュンと指を上げて指す。そんなゲルガンマ
「しかし、おまえは変態か」
ハヒュ・バは嬉しそうに息を弾ませた。
「うふふっ……否定しないよ。女が好きだ、男も好きだ。けど殺すのが好き。傭兵はみんな快楽優先で利己だから。」
(殺そうかな....)
ゲルガンマは額に手を当てた。
召喚した存在が、これほどまでに歪んでいるとは思わなかった。だが、支配下にあるのは確かだ、そして記憶にあった力を少しでもあればかなりの戦力である。
今、利用しない手はない。
「余計なことはするな、雑種。」
ハヒュ・バは即座に背筋を伸ばし、仕えたように頭を下げた。相変わらずにじゃらじゃらと飾りが鳴る。
「はい、ええ、きみ。」
「ほざけ、我を崇めて祀れ。呼び方は....うーむわからん。」
「おお、ならば俺が知る限りでは……ガルドシュースは、相当な大男さ。しかし分離したおまえの姿は彼と違う少年....」
「あぁ...そう言えばそうだ、まるでリドゥのような感覚だが...髪色のせいだろうか。」
「ふぅ〜ん、知り合いに似ている...いずれにしてこの場は、海に近い。歴代の大英雄にちなんで海妖の子」
パン
「黙れ、そうだな、帝皇とか皇帝でもいるならば、こっちは神、帝皇、神帝皇、神帝さ」
彼は顔を上げ、熱を帯びた視線をゲルガンマに向けた。
「仰むがままに我が皇、其方が誓うように謀る暴君、敵を謀り、欺き、必要なら暴虐を尽くすことを目指します。」
「分かった。だが、勝手な行動は許さん。俺の、我が命令以外は動くな」
ハヒュ・バは嬉しそうに身を震わせ、やはり飾りをじゃらじゃらと鳴らした。もはや騒音を越えた爆音に近しい
震えるだけでこれだけなることはない。まるで特筆すべき技だった。
「了解」
「ところでこの場所は、何人いるか見てくれないか、お前は確か陰とか速かったはずだ...行けるか」
「リョウカイ」
(大丈夫か...ふざけてるが....)
ところ変わり、ハヒュ・バが静かに探索する中、感知をしては仲間に呼び戻された男が一人いた
ラアンドリウスである。
二人は互いを知ることもないため、ハヒュ・バは彼をみてはすぐに通り過ぎた。
しかし何かを感じたラアンドリウスはいた。
この島では全てのものが何かの方法で探索をできていたが、ラアンドリウスは比較的受動的だった。しかし、その受動さも感じるものはあった。
「セオリク...何か感じないか?」
「おい、またかよラアンドリウス、音を聞き分ける俺が何も気づいていないんだぞ。妄想が治らないなら、セオリクがなんといっても俺はもう同行したくないぞ。」
「いや、そう言うわけではない...ただ気配が...」
(血と肉ではない...何かか。それにあの忌まわしい船長の気配も...一体...これは)
「やめよ、法務部が誇りの士よ、騎士に誓いして行こうとする場はあるか。否か。我の名前に託し、友を集めて、真相を知ろうぞ。」
セオリクがそう言うと返事はきた
「....法務部ってこっちのこと?」
訝しんだ顔だった/
「お前言葉わかりにくいぞ」
「うむ、しかしこれは起源でありながら、呪われしこともあるのだ。我が魔法の邪悪なる存在」
「話しずらしすぎだろ。まぁいいやとりあえずお前の仲間集めてのはわかったが、もっと現時点で現実的なのないの?空がやばくて鳥がいると思えば陸ではみんなバラバラになるわ。水もいけん。」
「厄災...厄災ありては...」
「私も少しいいか」
セオリクたちの言葉を遮ることにした。
「ラアンドリウス...?」
「実は厄災...この島での出来ことを少し知っているかもしれん、傭兵らが多く集まる理由も...」
(傭兵、布教者、財宝、神)
たくさんの要素がこの島にあるとして、どれも同じとは言えない要素。
それをまとめるとしたらただひとつ。
「それは...この島で」
「この島で...?」
「神が蘇るかもしれない」
神、遺跡の数々、異教、それを今、共有された。
ジョン・フォンのように利害での交易関係でなければ、共に行こうと誓った相手でもない。
(...顔からして信じにくいだろうけど..でも)
「嘘じゃない、私は...助けてくれた君たちに話そうと思った。」
「おいおい、セオリク、あんたこいつの知識を見計らっての策か、戯けと思ったが、さすが本物の騎士」
「否」
「...ん?」
「騎士が務めにすぎん」
「なんだこいつ。」




