表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/3

赤 2

ーーおばあちゃん、貴方の顔を見ると喜ぶから。

そう言った母は、自分に葡萄酒とケーキを持たせて、最近寝たきりの祖母の見舞いを頼んだ。

何故か祖母の家は村から離れた村の中にある。道が整備されているとはいえ、自分は随分歩かなければならなかった。

祖母の家を前に、扉を叩こうとしたとき、庭にある“何か”に気付いた。

木に寄りかかる、真っ白な布に包まれたそれは、以前はなかったものだ。

自分はしゃがむと、花壇に植えられた大きな花の隙間から、それ様子を注意深く見る。

真っ白な頭巾の下には、真っ白な髪と肌。唯一の色は小さな唇の淡紅色だった。

人ーー自分より少し幼く見える眠った少女。

木の幹の焦茶、芽生えたばかりの草の緑、柔らかな風になびく花花の淡い色。その中にある異様な白さはどこか美しく、儚かった。

胸がざわめく。

「こっちにおいでよ」

少女はゆっくり目を開けた。覗く真っ赤なーー瞳。

あまりの衝撃に、思わず口が開く。今までに無い動揺に、更に動揺する。

真っ赤な瞳を持つ真っ白な美少女は、何も反応を示さない自分に、怪訝そうに小首をかしげながらも、その顔に小さな笑みをうかべていた。

自分は立ち上がると、恐る恐る少女に近づいていく。

少女はより一層笑みを深めて、彼女の隣を、真っ白な服の袖で隠れた手で叩いた。

「おばあちゃんに用事?」

彼女の隣に腰を下ろすと、彼女は可愛らしい声で自分に尋ねた。

近くで見る少女に胸がうるさい。そんな自分が滑稽で愛しかった。

「うん。君は誰?」

「私はアナ。おばあちゃんとはーーお友達かな?わかんないや」

アナという少女はくすくすと笑った。

「貴方は誰?貴方もおばあちゃんのお友達?」

「いや、ーー僕は、フォー。おばあちゃんの孫だよ。」

自然と笑みがうかんだ。

「フォー、フォーね。いつもおばあちゃんからお話を聞いてるの。美しくて、賢い自慢の孫息子だってね」

アナは満面の笑みをうかべる。

「私、ずっとフォーとお友達になりたいと思っていたの。ねえ、私とお友達になってくれる?」

“友達”という言葉がどこか嬉しく、悲しくもあった。

「うん。いいよ」



この日から、アナと過ごす時間が何よりも特別なものになった。そして、不思議と誰かを虐げることはなくなった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ