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赤 3
「ねえ、フォーは今日、何したい?」
「思い付かないよ」
事実、毎日のようにアナと遊んでいるため、思い付く限りのことはもうしていた。
「そんなの駄目」
アナは真っ白な眉を寄せて、ずれた白いずきんをかぶり直した。
「じゃあ、膝枕して」
アナは微笑むと、僕に膝を差し出した。
僕はそれが嬉しくて、彼女に微笑みかえす。
「ありがとう」
僕は、華奢な膝に頭を乗せて彼女の微笑みを目に焼き付けると、ゆっくり目を閉じた。
アナとの出会い以来、毎日といっていいほど祖母の見舞いに行く僕に、母は気まずそうに言葉をかける。母の目には漠然とした困惑が見えた。
確実に母はアナの存在を知っている。僕に持たせるバスケットには、いつしか子どもが好みそうなビスケットや、クッキーなどが入っている。
明らかな戒めを見せたのは祖母の方だった。アナがいないとき、祖母は、僕が彼女に近付き過ぎるのを制すような目で僕を見るのだ。祖母は多くを語ろとしない。けれど、日増しにそれは露骨になった。
アナが他とは違う容姿をしているから、ではなさそうだ。祖母は時おり、孫である僕以上に、慈しむ目をアナに向けるのだ。
アナーー。やっと見つけたのにーー。
僕は恐れている。自分よりも愛しいアナが離れて行くことを。




