Battle.07 「クソガキのたわごとなんです許してください!」
ばぶぅ……。
謹啓
星涼しの候、観測者様におかれましては、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
日頃は格別のご厚情を賜り、心より御礼申し上げます。
先日は早まった解釈による終末宣言や度重なる失態をお目溢し頂きまして、誠にありがとうございました。
ご配慮に深く感謝申し上げます。
末筆ではございますが、観測者様のますますのご健勝とご多幸を心よりお祈り申し上げます。
恐々謹言
王国歴◇◇◇年◇月◇日 地の文 ログ
……さて。始末書の提出(命乞い)も済んだところで、前回の過ちを挽回せねばなるまい。
緑のナスビは、今はいい。
次の標的は……破滅の申し子ブレイドこと、赤ナスビである。
モルフィアにはもう期待はするまいと冷ややかに演算し、"地の文"が現状の最善手として協力を仰いだのは――
時を司る大精霊、クロノスだった。
これだけは先に提示しておこう。
【 当方に落ち度は無かった 】
さしもの赤ナスも、物理的に退行してしまえば、エクスカリバーもせいぜい児戯で活躍するだけのオモチャのショートソードになってしまうのだ。
大型流星群を引き起こすような事態に陥るはずもなし。
これほど画期的かつ効果的な策があろうものか。
「やべえええ! チ★コが縮んだあああっ!」
「あり得ないくらいに背が縮んでることの方を、言及しようね?」
星(★彡)の消費量が増したのはどういうことか。
もはやエコモードでどうにか凌ぐしかない、絶体絶命の背水の陣。
なんでなんでなんで?
当方なにも悪いことしてないのにどうしてこんなギリギリでいつも生きていたいようなヒリつくデッドレースに投じられなきゃならないの?
「イージスぅぅ……! オレのチ★コが……ガキんちょサイズに……」
「うん。全体的にガキんちょだよ? ちゃんと見ようね?」
朝からチュンチュン小鳥が歌うのに合わせて、寝起きドッキリ『起きたら幼児化!? 〜泣いて謝るまでは戻しまセン〜』的なバラエティ味に富んだ愉快な観測をお届けするはずが……。
どうしてこうも、上手くいかないのか……。
「こんなんじゃ★★すんのかも分かんねえし、★ックス出来ねえ…………。詰んだ……」
「キミはそれしか頭にないのか……? はぁ……。こないだのモルフィア様の件に続いて、ブレイドまでこんなおかしなことになるなんて…………何かの思惑を感じる……」
おのれブレイドォォォ……この世界を破壊し尽くす悪魔め!
『あらぁ? 随分と面白いコトになってるじゃなぁい? それにしてもログちゃん、思念がうるさいワよ』
役に立たないどころか火種にガソリンをぶち込んでくれた夢魔が現れて、あたりの空気が一部だけ冷めていく。
『誰が無能よっ! アレは相手が悪かっただけじゃないの。アタシのせいじゃないワ』
野太い声のオネエにしか喩えようがないが、曲がりなりにも高位存在であるからして、人間には視認出来ない状態で地の文の領域へと干渉してくるモルフィア。
「ねえブレイド……? 異変があるのは身体の大きさだけ?」
「どうだろーな? たぶん……まんまガキの頃に戻ったみてぇな感じだから、あんま筋肉もついてねーなこれ……」
今はそれどころではないので、謝罪でないなら即刻立ち去って欲しいものである。
『なによ。元はと言えば、ログちゃんの情報収集不足が原因じゃナイの。アタシのこと知り尽くしてるコにぶつけるなんて、最初から上手くいくはずなんてなかったのよ!』
そもそも無能による『ブレイドの擬態』が十分で無かったが故に秒バレを引き起こしたということをあえて指摘はせずに、おクソガキさん代表の赤ナスビ(小)に焦点を当てることにした地の文なのであった。
『まっ! 可愛くないコね……! 自我も生まれたてのバブちゃんのクセにっ……』
「それにしてもキミ……。こんなに可愛かったんだねぇ……」
「うわっ、なんだよイージス。お前から抱きついてくるなんて、めずらしいな……。えっ、ガキのほうが好きなの?」
「そっ、そんなワケあるかっ! ……もうっ、言動は少しも可愛くならないんだな……」
……。
そうですね、当方、自我も生まれたての無垢な地の文ゆえに、いかなる責任も負いかねますことを宣言いたします。
そして夢魔は散れ。帰れ。呼ぶまで二度と来るな。
おじいちゃんせんせい、この異物を回収してください。ぴえん。
『っ!? ちょっとおぉ〜っ! おじいちゃん呼ぶのは卑怯よぉ〜!? 覚えてなさ――』
アレな感じの高位精霊が、最古参の同僚に回収されたことにより、事態はようやく落ち着いたかに見えた。
「やべぇ……。イージスに全身包まれてんの、新鮮すぎて……なんか目覚めそう……」
「何おかしなこと言ってんの……? まさか心まで幼児退行してきてるとかある?」
猫から人間……ではなくナスに戻った緑ナスビが、外見だけは穢れなき幼いものに見える赤ナスビ(小)を胸にいだいて、妙に恍惚とした表情を浮かべているではないか。
フォーカスを外している間に何がどうなったというのか。
「いや……。わかんねぇ、けど。無性に★っぱいが★★てえ……!」
「ぎゃわーっ!? どこに顔突っ込もうとしてんだ!? やめっ、やめなさいっ……! ブレイドッ、それはもう一発アウトだから!!!?」
おクソガキッズの意味不明な言動と星の消費量については遺憾の意であるが、わずかな希望が見え隠れしている。
小さな肩を掴んでナスガキの暴走を押し留めたイージスは、もしや盾としての本分を思い出したのであろうか。
「ダメか? いけんじゃねぇの? だってオレ、いまガキだし」
「……っ、ダメだよ。小さいからこそ余計ダメなことだって、あるんだ」
全体の縮小化により相対的に大きくなった赤の瞳をじっと見つめて、イージスが諭すように告げる。
ここへきてまさかの本陣への出戻りに、胸を熱くせざるを得ない。
「そんなことってあるかよ……っ、ちくしょうっ……」
「ほら、ブレイド。諦めて健全な遊びをしよう? せっかく子供に戻ったんなら、その姿でしか出来ないことだってきっとあるよ」
ふくふくとした頬に手を伸ばし、慰めるように指の背で撫でさすりながら、穏やかな声音で語りかけるイージスは。
まるで気落ちする幼児をなだめる保育士のような――
「……ひらめいた! ままごとしようぜイージス! お前がママになるんだよぉ!」
おクソガキの挙動が臨界点を突破しそうです。
危険を感知しました。
観測者様方は今すぐに退避してください。
繰り返します。
危険を感知しました。
「ばっ……! バッカじゃないのぉお……!? いくら見た目が可愛くても、さすがに引くんだけど……」
「なっ、やろうぜ。いいだろ?」
「ええぇ……」
観測者様方は今すぐに退避してください。
これより緊急時避難準備区域以外の領域に、臨時措置を行います。
「ママぁ……。★っぱい……」
「ん゙ん゙っ……! やめて、下衆なのに可愛くて、頭おかしくなる……」
いとも容易くショタの波動に陥落した緑色が所詮は裏切りのナスだったことを再確認し、地の文は一度限りの突貫対処法を行使せざるを得なかった。
界隈からお借りした黒い海苔を召喚いたします。
無事に次回の観測でお会いできることを願っております。
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地の文あらためログです。
名前は覚えて頂かなくて結構です。
観測者様におかれましては、無事に海苔タイフーンから避難なさっていたことと思われますが、ご無事でしたでしょうか。
事前のアナウンスは徹底させて頂きましたので、当方はいかなる責も負わぬものという認識でよろしいですか?よろしいですね。
また、大精霊たちの生態や詳細などにつきましては、当方にはご説明をさせて頂くための情報を開示する権限がございませんので、お答えできかねますことをご承知おき下さい。
世界には、まだ知らないことが無限にありますゆえ。
とだけ。
バブちゃんなどという不名誉な蔑称を、観測者様はどうか使われませんよう、お願い申し上げます。
当方のことは、ぜひ親しみを込めて、『地の文』あるいは『地の文さん』などとお呼びください。
いえ、お呼び頂かなくて結構です。
それでは結びに、自信作であるテンプレートを設置してご挨拶に返させて頂きます。
皆様より賜りました星(★彡)のお陰で、本日も世界に秩序が保たれたことを、心より御礼申し上げます。
上記の感謝声明に覚えのない方は、ぜひ次弾の為の募星活動にご協力ください。
つきましては、お手元の│支援する《評価ボタン》というフォームに触れていただき、観測者様の"お気持ち"を表現してもらえると、世界が大変助かります。
【あなたの星(★彡)で救える世界があります】
【 ↓↓地の文を憐れんだ方は、お賽銭を↓↓ 】
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