↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「R15って、どこまでせめていいの?」って聞くだけのBLコメディ【本編☆10話☆完結まで執筆済】  作者: かみながあき


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/9

Battle.04 「花でも映しときゃいいんじゃねえの?」

 そこに花があるから。

 

 

 気持ちの良い朝の光が、レース生地のカーテン越しに室内を照らし始めた頃。

 決まった時間に目が覚める騎士としては優秀な男は、まぶたを開いた先に最愛の若葉のような髪色を見つけて、微睡のような笑みを浮かべた。

 

「へっ。最高かよ……」

 

 常ならば、休日といってもすっぱりと起き上がって自主鍛錬の支度をするところだが。

 初めての共寝の朝を惜しむ心には勝てず、華奢な身体を抱き寄せるようにして、ブレイドは再びマットに沈んだ。

 

「くそかわぁ……。寮なんかじゃなくて、家買って、毎日オレの腕んなかで眠らせてえな……」

 

 無意識に胸元にすり寄っていたイージスは、ブレイドの重いひとりごとに反応して、ぴくりと小さく肩を跳ねさせた。

 やがてまぶたが小刻みに動き、震えるまつげの奥からとろりとしたヒスイが顔を現した。

 

 

「おはよ、イージス。起こしちまったか?」

 

 ぼんやりと揺れる、深いのに透明感のある緑色は。

 ブレイドのオレンジがかった赤とかち合うと、何度か大きくまたたいた。

 

「んぇ……? なんで、起きたらブレイドがいる……の…………っ! に゙ゃっ!?」

 

 尾を踏まれた猫のような鳴き声を上げたイージスに、ブレイドはますます笑みを深めた。

 そして、やはり的確に今のイージスにとっての地雷を最適解に踏み抜いていくそのスタイルに、きっと三人くらいはシビれて憧れるであろう。

 

「思い出したか? ははっ! きのー、すっげえ星まみれだったな!」

 

「ぶ……ブレイドのあほぉぉ…………。なんで、そんなに普通の顔してるんだよぉ……」

 

 思わず被ったシーツから顔を半分だけ覗かせながら、上機嫌に昨夜の感想を述べるブレイドをじっと睨みつけるイージス。

 脳内に『かわいい』という文字の弾幕をスクロールさせながら、ブレイドは睨み付ける瞳から目を逸らさずに呆けた声でつぶやいた。

 

「普通ぅ? 浮かれた顔してるって言われんのかと思った」

 

「いっ、いつも、浮かれてるじゃないか……! 少なくとも、僕の……前では……」

 

 自分で言いながら途中で照れ始めるイージスは、そのチョロさが『流星群★彡による現在の星不足』を招いた原因の一端でもあるので、ぜひとも反省してもらいたいものである。

 

「あー。たしかに。そんじゃいつも通りかもな?」

 

「うぅぅ……。解せぬぅうぅ……」

 

 ブレイドにも"照れ"を感染させようとしたが上手くいかずに、自身だけがドツボにハマってしまったイージスは、かろうじて見えていた顔の上半分までもシーツに埋まってしまった。

 

「なあ、寝起きの顔。もっと見てえから、隠すのやめろよ」

 

「やめっ…………ゔ……。痛い……。むり、全身筋肉痛みたくなってる……」

 

 遮蔽物を排除しようと引っ張ってくるブレイドに抵抗しようとしたイージス、なんでかは知らんが全身痛めているようで、情けない半泣きの声をもらした。

 なんでかは知らんけど。

 

「マジかぁ……。それってやっぱ、オレのせい? だよなあ……」

 

「…………なんで嬉しそうなんだよっ」

 

「えぇ? んなの、うれしいからじゃね?」

 

 何ともいえないアレな感じの空気が漂いそうな予感に、世界が深刻な星不足を覚悟しかけたその時。

 日当たりのよい飾り棚に置かれた一輪挿しのマーガレットが、ようやく朝の光を受けて、奥ゆかしくもその存在を主張した。

 

「僕が苦しんでるとこ見て喜んでるなんて、サイテーなんだけど……?」

 

「まあそう怒んなって! 筋肉痛? だったら、マシになるマッサージでもしてやるから。なっ?」

 

「ん……。ありがたい、けど。本当に信じていいのかなぁ……? 健全なマッサージ、なんだよね?」

 

「逆に健全じゃねえマッサージって、なんなんだ? 別に痛めつけようってワケじゃねーんだけど……」

 

 ギシリとベッドの軋む音がして、膝立ちになったブレイドの赤茶の髪が映り込んだが、その奥に佇むマーガレットの白がなんと映えることか。

 可憐な花びらが――

 

「んっ…………やぁ……! 痛い……」

 

「ウソだろ!? この程度で痛いって……? うーん、じゃあこんな感じならどうだ?」

 

 …………ゥオッホン。

 小さく可憐な花びらが、毛糸の飾り玉のような愛らしい黄色から広がるさまは、見るものの心を和ませるような不思議な魅力がある。

 

「ぁ、あ……。それはそれで、ヤだぁ……」

 

「痛くはねぇよな?」

 

「う……うん。でも…………っ、ブレイドの手が熱くて…………ふぅ……」

 

 細長く繊細な純白の花びらが、中心にあるおひさまの色を取り囲むように、放射状に広がる姿は。

 まるで全てを計算され尽くしたかのような、美しささえも兼ね備えている……。

 

「なんかダメだったか? 手ぇ熱いほうがきもちいって、仲間内では無駄に人気なんだぜ? まぁ夏はお払い箱になるんだけどさ……」

 

「んっ、ふ…………確かに、イイかも……? ていうか、騎士団でお互いにやりあってんの……? はぁ…………プロにやってもらえばよくない……?」

 

 突然にマッサージ店と化した室内の空気も。

 この『真実の愛』という花言葉を与えられた清廉な美の前には、どこか澄んだように感じられるというものだ。

 

「それもそうなんだけど。なんつーか……交流の一環? みたいな? それキッカケで仲良くなった訓練生時代からのツレもいるんだよなぁ」

 

「ふぅ……♡ そうなんだ……。ね、ねぇ。足はもういいから、腰のあたり、そのあったかい手のひらで……撫でてくれない……?」

 

 規則正しい配列の花びらは、約21枚の奇数枚で構成されていると言われており、花占いをするのに適したバランスを持っているらしい。

 大役を担うこのマーガレットには、そんな最後を迎えさせることなど、おそらくありはしないのだが。

 

「これでいいか? それにしても細っせぇなぁ……。こんな★★でオレの★★★★に耐えられるわけなかったんだよな。ごめんな、イージス……」

 

「っ、バッ…………バカ! しおらしいような声でっ……とんでもないこと言うなよ……!」

 

 もしも花占いをするのであれば、どうか「この阿呆ふたりが裁かれる日は明日なのか」と問うてみてほしい。

 

 ただでさえ"ど定番"の『マッサージをしているだけなのに声が紛らわしい』という状況に、星★彡まで持ち込んだブレイドには、果たしてどのような天罰がお似合いなのであろうか。

 

 

 

 

 地の文は、本編外ゆえに幾分か気を抜いて、多大なる貢献をしてくれた本日のMVPこと白いマーガレットに思いを馳せていた。

 中継用のエレメントデバイスが起動していることに気付くのが遅れたなどということでは、断じてない。

 

 ありがとう、マーガレット。

 ありがとう、窮地を脱する星(★彡)をくれた名も知らぬ観測者の方。

 そして――

 許すまじ、崩壊勢力に加担する│裏切り者《 イージス 》と、│破滅の申し子《 ブレイド 》よ。

 

 観測者様方におかれましては、花占いの芳しい結果に限り、ご報告のほどよろしくお願いいたします。

 

 さて。

 前回に引き続き、同じ文言で芸がないと思われるのも大変に不本意ではあるのですが。

 それよりも、『定型化』した方が直感的に分かりやすいのではないかというある種のひらめきにより、あえてそのようにさせて頂いたと事前に申し上げておきます。

 

 皆様より賜りました星(★彡)のお陰で、本日も世界に秩序が保たれたことを、心より御礼申し上げます。

 

 上記の感謝声明に覚えのない方は、ぜひ次弾の為の募星活動にご協力ください。

 

 つきましては、お手元の│支援する《評価ボタン》というフォームに触れていただき、観測者様の"お気持ち"を表現してもらえると、世界が大変助かります。

 

【あなたの星(★彡)で救える世界があります】

 

 デカデカとした立て看板を描写した地の文は、業務外なのに押し付けられた後書きの場での仕事を終えて、本来の業務に必要な雑事に戻っていった。

 膨大なデータベースの中から、命綱である星の残数を割り出し、漠然とした不安に駆られながら――

 

 

__

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。