全知全能と数種のゴーレム
素材は魔力に満ち満ちた土も含めてそこら中にあったので、ゴーレムを作ることは難しくなかった。それも、全知全能のアシストありならば尚のことだ。
「……う、うーん」
興が乗って、何種類もゴーレムを作ってしまった。全知全能さんに手伝って貰ったお陰でそこまで時間はかからなかったが、ちょっとやり過ぎてしまった感は否めない。
「先ずは……眼晶球」
ちょっとしょぼい所から言うと、監視用のゴーレムだ。おっきな目の魔物を利用して作っていて、雲の上まで簡単に飛べて、数キロ先でも視認することが出来る。一気に十五体くらい作っておいたので、襲撃の察知や、戦闘中でも情報を得ることに活躍してくれるだろう。
一応、隠蔽能力が高いので敵にバレてぶち壊されたりする危険性みたいなのは低くなっている筈だ。それに、この島に所属する他のゴーレムに情報を共有もしてくれるので色々と便利だ。
後は、そこそこの魔術士ならば接続して情報を引き出すことも出来るだろう。まだ、主の登録のようなものは済ませていないので、僕以外でも言うことは聞かせられる状態になっている。流石にロックは向こう側でかけてくれるだろう。こっちの魔術士は全体的にレベルが高いみたいだから、きっと大丈夫、な筈だ。
「次に、岩模竜」
一見するとただの巨大な岩のように見えるそれは、竜であった。いや、竜の素材を用いたゴーレムだ。物凄く硬そうな岩の鱗を纏った竜が沢山居たんだけど、その魔物を主に使っているんだ。
何体分かを纏めて使っているだけあって、とっても大きい。大地を操作することが出来て、地中にも潜れる。動きは鈍いけど、地割れを起こして敵を埋めたり、壁を作って仲間を守ったりすることが出来る。あ、でも地中を潜ってるときは結構早く移動できるよ。
「そして、菌糸体……!」
島の地下全体に広がっている、菌糸状のゴーレムだ。これは結構、やってみたくても機会が無かったアイデアだけあった奴だ。でも、漸く使う機会が来た。
菌糸のように地下に広がっているこのゴーレムは、島全体の動きそのものを監視することが出来る。振動、魔力、熱源を探知し、あの目型のゴーレム……クリスタルボールさんと連携してある程度の視界も得られる。
そうして島全体の動向を監視し、必要に応じて自身の体の一部を槍のようにして突き刺し、または触手のようにして拘束し、壁を生成して仲間を守る。全てのゴーレムに共通していることだけど、誰かを助けるという能力を常に持っているゴーレムになっている。
ルーシェさんだって、ずっとこの島に居るか分からないからね。寧ろ、ルーシェさんがこの島に留まらずとも安心出来るくらいにはしておきたい。いや、流石に覚醒していたバルティカーに勝てるクラスのは無理かもしれないけど。でも、撤退の時間くらいは稼げるようには出来るだろう。
「これが、最後だ」
竜騎兵。黒龍や黒緑色の竜を含めた、幾つかのドラゴン素材を掛け合わせて作ったのがこのゴーレムだ。と言っても、ドラゴンの形は取っていない。リザードマンというか、竜人というか、そんな見た目である。
ただ、どこか機械的に見えるのも僕のこだわりである。魔力で成形した金属を利用しているので、完全なる生体素材だけという訳ではない。
実のところ、このゴーレムというのはルーシェさんをモチーフに……というか、あの圧倒的な強さにちょっと憧れつつ作っている。なので、このゴーレムだけは個としての能力に特化した剣士型だ。
「へい、ラゴーン」
名前は今付けたけど、ドラゴンをもじっただけだ。僕が呼びかけるとメタリックな鎧を纏った竜人とでも呼ぶべき見た目をしたゴーレムが動き出し、僕の方をじっと見た。残念ながら、彼は喋ることは出来ない。
「お試しってことで、これでも斬ってみなよ」
僕はそう言うと、適当に地面を変形させて球形の岩のようにしてラゴーンさんの前に置いた。実際には土を圧縮したものだけど、魔力が豊富なのを活かして更に強くしてるから岩よりも硬い筈だ。
「……」
ラゴーンがその手に持った大剣を持ち上げ……そして、振り下ろした。幾つもの強化用の魔術が発動し、そして魔力によって強化された一撃は岩を砕くだけに収まらず、地面にまで巨大な亀裂を作り上げた。そして、その先に合った小高い丘までも叩き割ってしまった。
「お、おぉ……」
凄まじい威力。だが、恐ろしいのはこれでラゴーンは全力全開で動いている訳では無いと言うことだ。今の状態は、謂わば単なる戦闘態勢のようなものであって、強敵と戦う際の本気とは違う。本気を出せば、ここから数倍は強くなってくれるだろう。学習能力もあるので、成長すればきっともっとだ。
……しかし、色々とやり過ぎてしまったか。僕の悪い癖である。
「でも、練習にはなったね」
作りたかった幾つかのゴーレムを作れたので、正直言って練習にはなったし、僕個人としては悪くなかった。いや、きっと皆の役には立つ筈だけれどね。メッセージだけ残して、僕はここを去ることにしよう。




