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ある日、僕は全知全能になった。  作者: 暁月ライト


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全知全能と戦地の跡

 アレから暫く様子を見て、そして戻って来た僕はルーシェさんの居なくなった島で良さそうな素材を探しながら歩き回っていた。

 というのも、ルーシェさんは小さな舟を漕ぎ出してこの島から消えてしまったのだ。島から去って行った人達を呼び戻しに行ったのか、それとも何かあった時の為にと助けに行ったのか。どちらかは分からないが、明らかに疲弊していて最初のような力を扱えていなかったのは確かだ。

 もしかすると、あの魔気を全開で使用する技を使うと、暫くはまともに動けなくなってしまうのかも知れない。だとしても、舟を漕いで行くくらいの余力はあったみたいだけど。


「とーりあえずー……」


 僕はぐるりと戦場の跡を見回して、そして良い素材を探してみた。正直言って、そこらにゴロゴロと良い感じの素材自体は転がっている。だが、折角ならば最強の素材で泥のゴーレムは作りたい。それと、ごちゃ混ぜにして泥のようになっても価値を発揮できる素材……つまり、魔術的に価値の高い素材である程に好ましい訳だ。


「……臭いが酷いなぁ、ホントに」


 死体だらけのその荒地を歩き回っていると、当然ながら最悪の臭いが鼻を突く。こんなに酷い匂いは、今までに無いかもしれない。ただ、冒険者をやったりする上である程度は死臭にも慣れたのでギリギリ耐えられる。うん、ギリギリだけど。


「お」


 そこで、僕は黒龍の死体を見つけた。僕が燃やしてしまったものは灰も残らなかったので、ルーシェさんが斬って倒したものだ。ホントにありがとう、ルーシェさん。


「取り敢えず、丸ごと持って帰っちゃおうね」


 この感じで、使えそうな魔物の死体はそのまま持ち帰ってしまおうと思う。どこのどの素材が使えるかは、持ち帰った後で確認したら良いしね。


「おおっ、このドラゴン……!」


 黒緑色をした、あの巨大なドラゴンである。最後の方に真打のように出してきただけあって、黒龍よりもかな~り強そうであった。尤も、そのドラゴンさんでさえもルーシェさんには一太刀で斬り伏せられてしまったのだが。


「ふんふん……あ、この獅子みたいなのも強そう」


 なんか、生前は燃えてた気がするけど今は冷えた死体と化している赤い獅子の魔物である。後は、グリフォンみたいな奴に、蛇みたいな奴に……よりどりみどりだ。ちゃんと使い切れるかな。余ったらラクリオにでも渡してあげようか。


「ふぅ……今日も、寝るの遅くなるかもなぁ」


 いやいや、今日は早く寝ないとね。いっつも遅くまで起きて作業なんてしてたら、体がおかしくなってしまう。学生の身分で夜型人間に変身してしまったら事である。




 そうやって、沢山の素材を採取した僕は流石にそろそろ帰ろうかとも思っていた訳だけど……途中で驚いたのは、というより安堵したのは人間の死体が一つとして転がっていないことだった。

 もしかしたら、食われてしまったという可能性もあるとは思うけど……多分、相手の考えを見るに、そもそもルーシェさんを倒すことだけを目標としていただろうから、寧ろ島の人間は人質くらいの認識だったのかな。


「……うん」


 ちょっと、ここから帰ってしまうことも寧ろ恐ろしい感じもする。ここの方が明らかに恐ろしい空間なのに、そこから日常に帰ってしまうことの方が恐ろしく感じてしまうのは何故だろうか。


「そうだ」


 これだけの魔物の死体を、素材を持ち帰ってしまうことは島の人達というか、彼らにはちょっと悪いなぁって気持ちもあったんだ。それを解消する為に、丁度良いやり方があった。


「折角、丁度良い場所に居る訳だしね……」


 地面には大量の魔力が染み込んで凄いことになってるし、使える素材も文字通りそこら中に転がっている。


「時間が経てば、また襲いに来るだろうしね……」


 指揮官ぽい雰囲気を出していたバルティカーであったが、暫くすればまた別の指揮官がより強固な軍勢を用いてこの島を襲撃するだろう。


「良し、僕が島の守護神を作ってやる」


 ちょっと大きく出過ぎたね。でも、折角オポッサムとしてここに居るんだし、普段は作れないようなちょっと雑に全知全能で補助しつつのゴーレムを作ってみよう。と言っても、馬鹿げた性能の奴を作るつもりは無いけれど。別に、僕でも本来は時間をかければ作れる程度のゴーレムを簡単に作るというだけだ。


「素材分くらいは……ちょっとでも、役に立たないとね」


 因みに、この島に山ほど居たレプリ達は勿論地面に還している。環境配慮エコ機能、意外と役に立っていて僕は嬉しい。

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