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ある日、僕は全知全能になった。  作者: 暁月ライト


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全知全能と見張り

 あっという間に倒し終えてしまった僕だけど、ここからどうしようかというのは悩みどころであった。ここは一応人通りの多くない道ではあるが、ずっと放置していれば誰かに見られることもあるかも知れない。


「……取り敢えず、連絡しようか」


 僕は小さく息を吐き、ユモン経由で紫苑ちゃんに連絡することを決めた。前回の拉致された奴らの時にも頼ったように、今回も何とかしてくれるだろう。多分。他力本願で情けない限りだが、僕が色々やろうとして空回るよりはマシな筈だ。


 という訳で、僕に出来ることは……誰かに見られる前にこの場を離れることくらいだろうか。


「レプリ、戻っておいて」


 僕は最初の五体以外のレプリを全て元の場所に戻させて、核は魔力に還しておいた。


「……誰か居る?」


 足早にその場を去ろうとしていた僕だったが、隠れている気配に気付いてそう問いかけた。すると、僕の視線を向けた先の物陰から一人の男が現れた。


「おっと、そう睨まないで下さい。私ですよ」


 青の僅かに混じった黒い髪、胡散臭い喋り方に細い目。ついこの間に会った男……三嶌 礼だ。


「えっと、何の用ですか?」


「特には」


 三嶌の返答に、僕は顔を顰めた。


「じゃあ、何でここに居るんですかね……」


「見ていただけですよ。これと言って用がある訳ではありませんが、前にも伝えた通り、最も狙われやすいのは貴方だと考えていたのでね」


「まぁ、忠告が役に立ったことは感謝しますけど」


 お陰で、と言うべきかは分からないけど、ゴーレムを用意しておけたし、心の準備もまぁ出来ていたのは事実だ。


「ストーカーされてたって思うと、あんまり良い気分はしないですよ」


「ふふ、そうでしょうね。それに関してはお詫び申し上げます」


 お詫び申し上げられても、なんて返すべきか分からないんだけど。


「……兎に角、ストーカー的なことはもう止めて下さいね?」


「おや、一応私は貴方のことを守ってあげることも出来たんですがね」


「でも、見てただけじゃないですか」


「えぇ、今回は必要そうにも見えなかったので。余計な真似は控えさせて頂きました」


 まぁ、確かに必要なかったっちゃ無かったけどさ。


「どっちかって言うと、守るなら僕より家族の方を守って欲しいですけどね」


「確かに、こんな状況に置かれているにしては……貴方の家族は、余りにも無防備と言えますよねぇ」


 実際の所は、僕の力でしっかり守ってるし、襲われたら分かるようにしてるんだけどね。ただ、僕の力が発動して変なところにバレたくないんだ。力が発動せずに守れるなら、それに越したことは無いんだ。


「それについては、考えておきますが……彼らに関しては、一体どうするおつもりで?」


「……僕は、正直君の素性が良く分かってないんだよ。君に何でも話すつもりは無いよ」


 忠告を受けたことへの感謝もあるが、それはそれとして素直に味方として見ることは出来ない。何というか、流石に怪し過ぎる。


「ふむ、そうですか……それは仕方ありませんね。大方、仲間に報告して処理を頼むのではと思いましたが」


「……」


 分かってるんじゃんか。一々聞いて来るとは、性格の悪い奴だ。


「私のおススメとしては、彼らの首を斬り落として他の敵にでも送り付けてやることですね。やはり、敵対組織に自分達の容赦のなさをアピールすることは大事ですよ」


「やらないよ。僕は平和主義だからさ」


「こんな死屍累々の光景を作り出しておいて、ですか?」


「いや、誰も死んでないからね。別に」


 見た目的には、そんな感じに見えるかも知れないけど。ちゃんとレプリには殺さない程度にと指示を出していたからね。


「そうですか……では、私が誰にも見つからないように見張って置いてやりましょう」


「それは、ありがたいけど……良いの?」


「えぇ、勝手に背を追っていたお詫びとでも思って頂ければ」


「……じゃあ、お願いして良い?」


 僕が聞くと、三嶌は微笑みを浮かべてこくりと頷いた。


「えぇ、勿論。無償でお引き受けしますとも」


「……うん、ありがとう」


 どうにも胡散臭さの払拭できない相手であったが、見張りを置いておけば問題は無いだろう。考えられる三嶌の狙いとしては、倒れている奴らから情報を聞き出したり、逆に彼らを逃がそうとしたり、若しくは殺してしまってさっき言っていたように死体を利用するといったくらいだろう。

 だが、どれも監視を置いて行けば未然に防げる筈である。僕は去った後に小っちゃいゴーレムを作ってこっそりと見張らせておくことに決めた。


「じゃあね」


「えぇ、お任せください」


 これで万全だろうと信じ、背を向けて去って行く僕を見て……三嶌はただ笑みを浮かべていた。

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