全知全能と新たなるゴーレム
結局、それから無事に家に辿り着いた僕は、やはりゴーレム作りに没頭することにした。最近はあんまりゲームも出来て無いな。なんか、向こうもバイトが忙しいとかなのか知らないけど、絵空も誘って来ないしね。丁度良いと言えば丁度良いんだけども。誘いを断るのは、ちょっとだけ忍びないから。
「んー……」
ただ、とは言え晩御飯の時間もあるから、このままレツゴ―って訳にはいかない。晩御飯までは自分の部屋で色々と考えたり調べたりする時間にさせて貰うとしよう。
「えーっと、どうしよっかなぁ……うん、成長性のあるゴーレムの方にしよう」
と言っても、恒久的に自己を強化していく系では無くて、飽くまで戦闘中に時間が経つ毎に有利になっていくタイプの成長性である。知能というか、ホムンクルスのように人格まで乗せるつもりも無い。成長性を作る上で一番簡単なのは魂を作ることなんだけど、それをするのには覚悟がいるから今のところやるつもりは無い。
「どういう系にしよっかな」
異世界とは違って、こっちにはフィジカルだけで敵をぶっ倒しに来るような魔物やらは居ない訳だ。つまり、魔術士との対面が主に想定される。対策するべきは魔術系に絞られるという訳だ。銃撃とかもあるだろうが、ある程度真面目に作っておけば有効打になることは無い筈だ。
兎に角、魔術に耐性を持たせて……若しくは、ラックみたいに魔力を吸収する機構を作っても良いね。ラックはどっちかって言うと魔術を無効化する目的であの黒石を張っ付けていたけど、今回のゴーレムはどちらかと言えば相手の魔術から吸収した魔力を利用することに重点を置いたゴーレムにしたいと思う。
「兼ねてより考えてはいたあのゴーレムにしようかな……」
そうと決まれば、やはり色々と調べなければならないことはある。コンクリートやらアスファルトやらの組成についても調べないといけないし、そこら辺をごっちゃにして利用できる術式を用意しないといけない。
「はー、現代科学は偉大でございますな」
僕はスマホをスワイプして開くと、ベッドの上でゴロゴロと転がりながら調べものを始めた。
それから、晩御飯の時間を迎えた僕はスマホでの調べ物を止めて一階に下りて行き、ハンバーグを美味しく頂いていた。
「そういえば、アンタ最近大人しいわよね。良くゲームで叫んでたのに」
「叫んでないよ。ただ、僕は友達と楽しくゲームしてるだけだから」
「それで良く叫んでるじゃない?」
「偶にだよ」
お姉ちゃんの卑劣な印象操作に抗おうとする僕だったが、柚乃もお母さんもどこか冷めた目で見ていた。おかしい、本当に偶にしか大声は出してない筈なのに。それに、さしもの僕も暴言を叫ぶまではしていない。
「そもそも、最近は友達とあんまりゲームしてないんでしょ? 声も全然聞こえてこないし」
「ん、まぁ、そうだね」
柚乃の言葉に僕は肯定する。ていうか、そこまで察されてたんだね。部屋が隣同士だからしょうがないけど、ちょっと恥ずかしい。
「代わりに、偶にひとりごとは聞こえるけど」
「良いじゃん、ひとりごとくらいは」
ひとりごとまで聞かれてたんかい。流石にユモンと話す時は気を遣ってたけど、ひとりごとまでは気を遣って無かった。
「……ま、慎ましく過ごしなさい」
「余計なお世話だなぁ」
話を纏めるように言ったお母さんの言葉に、僕は溜息を返す。でも、ハンバーグは美味しいので頭の隅には留めておくことにしておいた。
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と、言う訳で裏世界の方へとやって来た僕は天界にてゴーレムの製作に励んでいた。地球で使う予定のゴーレムだから、地球産の素材以外は使えないという縛りを課されている。いや、まぁ別に異世界だの裏世界だのの素材を使っても良いっちゃ良いんだけど、もしバレたりしたら面倒臭いからね。
「取り敢えず、エネルギーの吸収機構を可能な限り付けたいよねぇ……」
僕の作ろうとしているゴーレムは、その性質上可能な限りのエネルギーを必要とする。魔力だけでなく、出来るだけエネルギーを吸収出来るようにしておきたい。
「魔力の吸収機構はラックの奴を利用すれば良くて……生体組織を使えば地中から養分を吸ったりも出来そうかなぁ」
光エネルギーとかを利用しても良いんだけど、流石に戦闘中に得られるエネルギーとしては足りなすぎるから、その機構を入れるだけ無駄と判断して省いておいた。結局、魔力吸収が一番効率が良くはあるのだ。
「兎に角、エネルギーの回収はそんな感じで……」
その回収したエネルギーを何に使うのか。それは、ズバリ自己複製である。今回作っているゴーレムは、コアの転写システムを利用した自己複製型……戦闘中に、相手の魔力を利用してその場の素材を元に己を複製するゴーレムなのである。




