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ある日、僕は全知全能になった。  作者: 暁月ライト


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全知全能と助け

 一応、全知全能に尋ねてみたところ、偶然ここを潰しに来た訳では無く、僕がここに攫われていると分かっていて助けに来てくれたらしい。前者なら黒い靄のまま姿を消すのもありだったけど、後者なら出て行くほか無いだろう。


「ぐッ、なんだこの植物……!?」


「思ってたより力が強ぇッ!? 糞ッ、振りほどけねぇ……!」


「『魔力(マナ)……ッ、やめろ! 邪魔だッ!」


 触手に絡み付かれ、動きを封じられ、魔術を放とうとしても邪魔される。魔術の行使を妨害する為の動きもちゃんと仕込んでいるので、分かってはいたが実戦でも作用しているみたいで良かった。


「……思ったよりもちゃんと強いみたいで安心だね」


 遠くから伸びて来た触手は動きの制限される室内で空中を縦横無尽に動き回り、千切られても潰されても再生し、直ぐにまた襲い掛かっていく。


「よ、助けに来てやったぜ」


「ありがとね。助かったよ」


 あっという間に制圧されていく男達。それを眺めている僕の横に唐突に現れたユモンが、僕の肩にポンと手を置いて声を掛けてきた。


「つーか、なんだその黒いの?」


「ん、秘密ー」


 僕は言いながら黒い靄と闇の強化の魔術を解除し、元の姿を取り戻した。


「助けに来たわよっ! 大丈夫かしら!?」


 玄関の方からドタバタと駆け込んで来たのは紫苑ちゃんだった。その横には朝熊さんも控えており、姿勢を正したままでも護衛として周囲を警戒しているのが分かった。


「来てくれてありがとう。助けられちゃったよ」


「助けたのは私って言うよりも、貴方の作ったゴーレムなのが複雑だけれどね……」


 あはは、まぁでも直ぐに気付いてこんな速度で駆けつけてくれたのは凄いよ。確かめたところ、僕が攫われてからそう時間は経っていないみたいだった。


「良くこんな速度で助けに来れたね?」


「イカダチが攫われてるかもってことに気付いたのよ。イカダチが一瞬で場所も特定してくれたから、私が直ぐに飛んできたって感じかしら」


 なるほど、ユモンが僕の位置を特定できたのは……というか、攫われてるかもということに気付いたのも僕との契約による繋がりを利用してのことだろう。ユモンなら、その繋がりが無くとも同じことくらい出来そうだけど。


「……そうだ。向こうは大丈夫? こっちに来ている間に襲われたりする可能性もあるんじゃ……」


「大丈夫よ。安堂も呼んでおいたし、一応はゴーレムも何体か置いてきたわ」


「そっか、それなら良かったよ」


 僕は安堵の息を吐いて、そして話している間に完全に制圧されてしまった男達を見た。ワントウの他にドンも連れて来ていたようで、ドンに殴り飛ばされて倒れた者は触手に倒された者と違ってかなりの傷を負っているようだった。


「……それで、どうする?」


「どうするって、何がかしら」


「この人たちは……倒した後は、どうしようって」


「取り敢えず、全員拘束してうちで話を聞かせて貰うわ。その後は適当に刑務所にでも突っ込んで置けば良いわ」


 刑務所送りに出来るならば、確かに丸くは収まるけども。


「簡単に言うけど、そんなこと出来るの?」


「私、これでも支配者なのよ? それも、元は大きな力を持ってた夜咲家の。つまり、安堂に頼んでおけば良いわ」


 ふんぞり返ってドヤっと笑みを浮かべた紫苑ちゃんだったが、隣に控えていた朝熊さんは微妙な表情をしていた。


「……一応申し上げさせて頂きますが、苦労するのは安堂だけでなく私もですからね」


「分かってるわよ。そして、感謝してるわ!」


 勢いで誤魔化したような紫苑ちゃんに、朝熊さんは小さく息を吐きつつも僅かに笑みを浮かべていた。


「出過ぎた真似を致しました。申し訳ございません」


「気にし過ぎよ。安堂くらい適当で良いのよ、貴方も」


「安堂さんって適当なんだ……」


 僕には結構しっかりした執事の印象が残っていた。けど、家の中では割と適当なのかも知れない。


「安堂がああいう喋り方をするようになったのは私が求めたからなのよ。だから、偶に素が出てるわ」


 クスリと笑いながら言った紫苑ちゃんに、僕は納得したように頷いた。確かに、そんな気はするかも知れない。


「お前ら、敵地で暢気に雑談し過ぎだろう……緊張感とかねぇのか?」


「イカダチにも無いでしょ」


「オレ様は強いから良いんだよ」


「あら、それを言うなら私も強いわよ?」


 それを言うなら、僕は全知全能だけど。


「ま、僕らくらいの強者になると雑談しながらでも警戒くらい出来るってことだよ」


「お前は出来てねぇけどな」


 え、出来てるつもりだったんだけど。ちょっとショックである。


「取り敢えず、敵は片付いたんだ……つまり、こっからはお話しの時間だな?」


「そうね。パパッと済ませてしまいましょう」


「大丈夫かよ? お子様は外で待っといた方が良いんじゃねェかァ?」


「舐めるんじゃないわ。私、これでも支配者よ?」


 僕は全然外で待っておきたいけどね。さっき尋問モドキをしてみたけど、全く良い気分にはなれなかったし。

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