表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ある日、僕は全知全能になった。  作者: 暁月ライト


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

219/243

全知全能と触れるもの

 結局、トーテムポール型ゴーレムことワントウ君は引かれてはしまったものの、何とかその実力に関しては認めさせることに説得した。ただ、女子からの視線は依然として少し冷たいままであった。解せぬ。


「まぁ、そういう訳だから。この子達はよろしく頼むよ」


「おう、マジに助かるぜ。ありがとな!」


「ふふん、最大限に役立ててあげるわよ」


 元気に返事をした二人に僕はにこりと笑って頷き、そろそろお暇しようかと席を立った。


「じゃあ、そろそろ僕は帰るよ。あんまり長居しても悪いしさ」


「悪いってことは無いですよ。寧ろ、居てくれた方がありがたいですから」


「あはは、でも……正直、ちょっとやりたいことも色々あるんだよね」


「そういうことなら、ただでさえ助けて貰ってる立場ですし……引き留められはしませんけども」


 瑞樹さんの言葉に、僕は愛想笑いを浮かべてうなじに手を当てた。


「そういう訳だから、悪いね」


「いえいえ、ここまで助けて貰ってるわけですから十分ですよ!」


「また、いつかお礼は必ずします……その、帰り道には気を付けて下さいね」


「うん、大丈夫だよ」


 光ちゃんは心配してくれたが、僕に限っては問題無い。だって、僕は全知全能だからだ。


「治。あと、アレにも気を付けろよ? また襲われるかも知んねぇしな」


「アレ? ……あぁ、アレね」


 ユモンの言葉に首を傾げた僕だったが、直ぐにその言葉が指すところを思い出した。あの不良達のことだろう。確かに、一度は危ない目に遭った。ユモンのお陰でどうにかなったと言えばなったけど。


「気を付けるよ。大丈夫」


「派手にやんなって意味な? ま、お前がそういう方針にするってんなら好きにすりゃ良いが……」


「しないよ。任せて、地味なのは得意だから」


「ハッ、知ってんぜ」


 自分で言ったけど、肯定されると腹立つなぁ。


「んじゃ、またね。皆も」


「おう、またな!」


「また顔出しなさいよ、絶対ね」


「……っす」


 皆の別れの言葉を気分良く受け取った僕は、黒崎弟くんの小声まで聞き届けてから事務所の出口へと歩いて行った。


「ふー」


 僕は事務所の扉を開け、外に出てから息を吐き出した。何というか、良い場所だったなって感じがする。なんか、探偵事務所とかに入って色んな事件を解決したい気分になった。現実はドラマみたいに面白いことだけじゃなくて、面倒臭いことばっかりなんだろうけどさ。


「帰ろっと」


 僕は閉じた扉にちらと目を向け、それから直ぐに視線を戻して歩き始めた。裏路地のような場所から人通りのある道に戻り、両手をポケットに突っ込んだまま歩く。



 ゴーレムは概ね、好評だったと言っても良いね。旧型の三体も、新型の三体も悪くなさそうだった。いや、ギャザーだけはちょっと微妙だったか。ワントウもある意味では微妙と言えなくも無い。触手は確かに気持ち悪いかも知れないけど……いや、寧ろ触手って格好良く感じるんだけど、僕だけかな。スライムとかも好きだし、あのシンプルな機能美的な所に格好良さを感じてしまうんだろう。どっちも、そういう目で見られかねない存在なのは誠に遺憾だけれども。


 ただ、旧型と新型にちょっとスペック差が生じてるのは喜ぶべきか悲しむべきか難しい所だね。ラックとかは凄く能力は良いのに、基礎的な性能が新型と比べると落ちるのが悲しい所である。今度、暇があったら改造させて貰おう。もしかしたら、この件が片付いた後になっちゃうかも知れないけど……。


 まぁ、ラックはマシな方である。ライマーに関しては役割はあるし、コンセプト通りのことは出来るけども、そのコンセプトが他のゴーレムと比べると如何せんしょぼい感じはしてる。ワントウの何十分の一の戦闘能力だよって感じだし。ただ、一人に護衛として張り付かせておく分には実際悪くないだろう。小っちゃいから、小回りは効くし。

 ギャザーは、僕としてはライマーよりマシな気がしてるけど……聞いてる評価だと、逆っぽいよね。やっぱり、デカくて硬いだけのただの置物と化す可能性があるからだろう。意外と頑張ってくれそうな気もするんだけどなぁ、無理かなぁ。


「……あれ?」


 ふと、僕は足を止めて周囲を見回した。気付けば、そこそこ人通りのある筈の道に誰も居なくなっていた。


「これ……は」


 もしかして、これって……人払いされてる、とかある?



「――――動くな。指一本でも動かせば、即座に首を切り落とす」



 あぁ、遅かった。どうやら、僕が気付いた時には……既に、状況は完成していたらしい。


「……喋っても良い?」


「殺す」


 短い返答に、僕は肩を竦めようとして止めた。首筋に触れている冷たい何かが、僕の命にそのまま触れていたからだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ