321
ミレナパウスさんが扉に手をかざしたけど、再びこの扉を操作するのは私である。ミレナパウスさんを介してこの扉を私が掌握する。二人がそれこそどんちゃん騒ぎをしてた時も、私は素面だからね。一生懸命仕事をこなしてたんですよ。
まあある程度は人魚の女王様が栓を制御する時には把握してたけどね。でもそれからさらに深く私はこの扉を理解していったのだ。
「壊すわけにも栓をいじるわけにもいかないからね」
私はコックピットで一人そんな風につぶやく。この扉はこれからこの泉の街を支えるものになる。なのにここで私たちがサンクチュアリを得るために無理やり動かすことで壊すことになったりしたら、本末転倒である。
だからちょっとの破壊だって許されない。この扉はかなりの年季が入ってるからね。無理やりはどう考えてもご法度だ。どこかがちょっと壊れることで栓の意味がなくなるとかなっても困る。まあ私がいる間は修理くらいできるが……どうやら人魚の女王様とかにも、この扉のテクノロジー自体は伝わってない。ただ血による使用方法とかしか伝わってないみたいだからね。今の状態の扉が壊れたら、もう治すことができないってことである。彼らだけではね。
私が全面改修すれば、そんな心配はなくなるわけだけど、それってなんか過剰な干渉とか思えるような? あんまり干渉しすぎるとさ、この世界の天辺……そう神とかいうやつが出てくる可能性も……あるかな? ないかも?
まあけどそこまでするのは単純に面倒くさい。なので私からそれを提案することはない。
ガタンガタン――ゴトン
そんな風に扉から音がする。本当はこの栓を一時的にでも閉じるのはやめておきたかった。でもさすがにそれは無理っていうか? どうやらどっちかは排他的な仕様みたい。まあちょっとの間くらい言いでしょう。
どうせ誰も気づかないだろうしね。栓からでるエネルギーはまるで蛇口みたいな感じででてたけど、それがなくなって、大きく栓が口を開けた。まるでいざなってるような……出る、じゃなくて、中に送り込まれてるような……そんな模様が穴の中でうごめいてる。
『では、行きましょう』
そんな風に私が促してミレナパウスさんとリファーちゃんは一歩を踏み出す。そして大きく開いた扉へと入っていった。




