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『昔々、我らはあの扉から生まれたと言われておった。あの扉の向こうには水中の楽園があるとも言われておって、そこから遣わされてきたのが、その方じゃ』
そう言って人魚の女王様は白くなった魚を見る。今までは畏怖とかの関係で名前を言わないのかな? とか思ってたけど、白くなった今でもどうやら人魚の女王様は頑なに名前を呼んでくれない。だからリファーちゃんが「お名前しらないの?」––とか失礼なことを直球で聞いてた。
『我らにはその名を口にすることはできぬ。我らはその立場にないからの。我らはただのあの方の随伴。生み出された存在。ようやく、お戻りになられた』
そんな風に言って人魚の女王様はその白くなった魚に触れて涙を流す。
『楽園の使者は浄化をおこないて、いつかそれがなされたとき、再び開く扉によって楽園と繋がりし場所はもう一つの楽園となる』
再び諳んじるように女王様はいう。でも、「じゃが」……と続いた。どうやらこの地の? いや水中の汚染? とかは酷かったのか、浄化の過程で白かったこの魚は黒に染まっていったらしい。そしてその黒の影から這い出るように現れたのが……アジュ-ジャーだ。
奴はいつからか現れて泉の街へと攻撃をするようになったみたい。いや、それこそ最初は街でもなかった。ただの集落。そこに奴はやってきて、何回も何回も人魚たちを食べて集落を破壊してたらしい。それはまあ……恨まれるよねって感じだ。
でもこの白い魚は黒くなっても破壊活動はしなかったらしい。でも黒くなってからは対話とかもできなかったし、極力人魚たちとの関わりを避けてたようだ。たぶんそうしないと、こいつ自身も人魚たちを襲うかもしれないと思ったんだろう。
だからこそ距離を取った。それがこいつに最後に残った理性だった。じゃあどうして扉の穴に食いついたのか? 多分だけど、こいつはずっと帰りたかっんだ。だからそれが出来るかもって思って、扉に張り付き、エネルギーを貪りくった。まあそれでも帰ることは叶わなかったわけだけど……でもミレナパウスさんによって、この魚の浄化はなされた。だからこの姿に戻れた……というわけみたい。




