第33話 はぁ?召喚術師になりたい?ちゃんとレオンに教えてくれるなら許可しますわ!
「ユフィ、僕でも召喚はできると思うから、頑張って身につけてくる!」
「旦那様、遂に覚悟を決められたのですね?」
「ん?」
朝、旦那様がやる気に満ちた表情をしていたので、そんなことを妻に宣言しないでほしいと思いながらも、まぁ天職な気もしますので応援したのですが、怪訝な表情をされてしまいました。
これは、『いつもお決まりのように否定されるのに、なんで今回のものは良いのか?』とかそういったことでしょうか?
「前に一度言った気がしますが、頑張ってください。女の身としては少し嫌悪感はありますが、ああいうものは社会の中では必要ですもの。頑張ってくださいね!」
「えっと、なんのことだ?」
「娼館ですが? やりたいのでしょう?」
「んん?」
やはりけげんな表情です。私だって恥ずかしいんだから何度も言わせないで……って、もしかしてそういう遊びですか?
だとしたら変な知恵をつけたようですね旦那様……殺……
「えっと……それは主に女性が男性に性的な奉仕を行うお店のことかな?」
「もう……妻に何を言わせるのですか?」
「うごぉ……」
私は既に気付いているというのに、相変わらずとぼけたふりをして私に卑猥なことを言わせようとする旦那様をぶん殴って沈めた私は朝のお茶を楽しんでから執務室に向かいました。
「ユフィ、違うぞ? 僕が行っているのは召喚……例えばモンスターとかを使役して戦いに使う召喚術のことだ! マスターして召喚術師になってレオンに正しい教えをと思ってな」
そうしたら旦那様がお腹をさすりながら走ってきてそんなことを仰いました。
お~ほっほっほ。嫌ですね。気付いていましたよ?
「なるほど。それは失礼しました。では予算もつけるので頑張ってくださいね♡」
「えっ?」
「ん?」
いつもと違って真っ当な話だったのに誤解して恥ずかしいのを隠すため、真面目な顔で認めてあげたのになぜ怪訝な様子なのでしょうか?
しかし、反対されないなら問題ないとでも思ったのでしょう。そのまま朝食も召し上がらずにどこかへ行ってしまいました。私はレオンと朝の平穏な時間を過ごすことができました。
あれ以降、とても素直で良い子なレオンはカエルさんを出すのは控えてくれています。
ちなみに街の中ではそのカエルを捕らえて料理に使った人がいたようです。私には信じられませんが、とても美味しかったとのことで、もし私に今後何かあったとしてもレオンが生活に困ることはなさそうです。
ちなみに我が伯爵家でもちゃんとレオンの能力を把握しておこうということで、複数の召喚を行ってもらいましたが、どうやらレオンは召喚ではなく創造しているかもしれないということでした。
旦那様のお母様に頼んで王宮魔導士の方にも見てもらった結果わかったのは3つ。レオンの能力は"生物創造(初級)"というスキルで、召喚ではないので精霊や魔物と契約することはできないとのことでした。また、知的な生命体や高度なものは創造できないとのことでした。
まだ幼いレオンはカエルの他に、お母さんの大大大好きな兎さんを出してくれました。これも食べれるか確認しようと宣った執事長は謹慎を申し付けたのに『ご冗談を』とか言って聞かないので、減給3か月としておきました。
「帰ったぞ、レオン! よしよし。パパが召喚術を教えてやるからな!?」
夕方、旦那様が帰宅しましたが、すみません、召喚術はレオンは使えませんよ?
「だう~。ぱぱぱぱぱ」
「ぱぱぱぱぱじゃなくて、パパな。よし、レオン手を出してみろ」
「おて~?」
「可愛い……」
ただ我が子と遊んでるだけに成り下がった旦那様ですが、まるでワンコがやるような可愛らしいお手を披露したレオンにメロメロです。そしてレオンはなぜか旦那様を『ぱぱぱぱぱ』って呼びます。可愛すぎます。
一応、微笑ましい光景ですわね。
「このおててにな。こうやって力を集めてだな……」
「ちかりゃ~?」
まぁ、わかりませんよね。可愛らしく首を傾げながらも笑顔でおててを見てる姿の可愛いこと、可愛いこと。かけよって抱き上げてちゅっちゅしたいのですが、今は旦那様が遊んでいるので邪魔はしにようにと自らを戒めつつ眺めています。
「う~ん、おかしいな。召喚術が使えるなら、こんな感じで魔法陣が出てくるんだけどな。これを対象のモンスターとかに与えて受け入れられれば契約終了……どうしたユフィ?」
私は慌てて旦那様の前からレオンを抱き上げて旦那様から見えないように隠します。
「間違ってレオンと召喚契約なんかしたらぶっ飛ばしますよ?」
「なっ……そんなことは……たぶんない」
たぶんって何よ!?
「ひかり~まぶちぃ~」
「えっ?」
一方、私が抱っこしているレオンがおててから怪しい色の光を発動しました……。はい?
「ぱぱぱぱぱ~」
「あっ……」
その光が旦那様に纏わりつき……消えていきました。
よし、特に何も問題は起きなかったわね。
「さぁ、レオン。ご飯を食べて寝ましょうね」
「ぱぱぱぱぱ?」
「うぐぅ……」
「旦那様はこう見えても元は凄い勇者様ですから大丈夫ですよ。では、旦那様、失礼します」
私はレオンを連れてそそくさと退室しました。
えっ? うめき声なんて聞こえませんでしたよ?
……はい、何もありませんでした。
ちょうどよいことにリフェレットも席を外しているタイミングでしたし、執事長は減給を嫌って自ら勝手に謹慎中です。仕方ないから半日にしてあげました。彼はいつも働きすぎですから。




