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旦那様が自由奔放で浮気ばっかりするのでざまぁし続けたらなんか可愛くなってきました  作者: 蒼井星空


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第28話 はぁ?引きこもりたい?どうぞどうぞ!

「旦那様が出ていらっしゃらない?」

「はい……」


 どうしたのでしょうか?

 体調でも崩されたのでしょうか?

 普通の夫であれば心配するべきところですが、相手はあの旦那様です。


 気付けば女性に色目を使い、贈り物をし、甘い声で囁く旦那様です。

 

 

「部屋の中を確認したのですか? 実はもぬけの殻になっていて、どこかの愛人のところに行ったとか」

「部屋の中にはいらっしゃるようです。ノックするとお返事もありますし……」


 むぅ……。


 まさか本当に体調が悪いのでしょうか?


 いや、まさか……。


「本当にいらっしゃるのですか? ノックには答えるよう魔法を使っているとか……」

「同じことを考えたので失礼ながら許しなく部屋に入りましたが、ベッドに寝転がっていらっしゃいました」


 むぅ……。


 まさか本当に体調が悪いのでしょうか?


 いや、まさか……。


「本当にそれは旦那様ですか? 変装とか、または変化の魔法で旦那様の姿にされた小鳥さんとか……」

「普通に受け答えはされますので旦那様だと思いますが……」


 むぅ……。


 まさか本当に体調が悪いのでしょうか?


 いや、まさか……。


「例えば愛人からの手紙が届いたとでも言ってみたら反応するのではないですか?」

「それは思いつきませんでした。やってみます」


 えっ、本当にやるの?


 しかし、重たい体で立ち上がった頃には執事長は部屋を出て行っていました。


 そして……。



「きっと旦那様でしょう」

「きっととは?」

「前に名前をあげていた愛人の名前で手紙が届いていますと言っても、彼女とは別れたとか、彼女は手紙を送るような性格ではないとか、それぞれの女性を覚えているようでした。一方で、今日は仕事をして頂きたいのでこの説明書きを読んでほしいとお願いしましたが、一向に読んでいただけませんし、目の前で朗読しましたが全く覚えて頂けませんでした」

「旦那様ですわね……」


 普通、貴族の男性に変装したとして、仕事を簡単に断ったりしないはずですから。


 しかし……。


「そんなことができるなら体調不良でもないのかしら?」

「どうでしょう。お熱がある様子はありませんでしたし、夜も眠られているようでしたが」

「なのに部屋から出てこないと……?」

「はい」

「それで、旦那様はなんと?」

「はっ?」


 ねぇ、執事長。そもそも部屋を出ない理由を聞いていないとか言うんじゃないでしょうね……。特に用事もないからダラダラしてるだけでは?


「まったくその発想がございませんでした。いつも何がしか女性を追いかけている方でしたから……」

「……」


 この執事長は優秀なのかそうではないのか判断に迷いますわね。






「ユフィ、僕はこの部屋に引き篭もるんだ」

「まぁ、どうしたのですか、旦那様?」

「だって、その方がいいんだろう?」


 夕食の時間になっても出て来られなかったので、少し早めに仕事を切り上げて訪問してみたところ、なんと『引き篭もり宣言』を受けました。確かにそう望んだことはありましたが、こんな風にしおらしく聞かれてしまうと反応に困ります。


 これは本当にあのエラルドですか?


「どうしてそう思われたのですか?」

「僕には領主の仕事もできないし、父親としてはきっと良い父ではないだろう。だけど、国外に行くのは反対されているようだし、別世界のように異世界に行くことはもうない。神官も文官も商人も騎士もできなかったし……」

「あらあら。自信を失ってしまいましたか?」

「あぁ……」


 私は寝転がる旦那様の頭を撫でてあげました。思えばバカにしすぎたのかもしれませんね。私も反省すべきかもしれません。


「少し休まれてはいかがですか? またやりたいことが出てきたら動けばよろしいと思います」

「そんなのでいいのか?僕は……」


 普通はよくはないでしょうが、旦那様はこの家にいるだけで本来の役割は果たしているのも確かなのです。クルスローデン伯爵家とアーゼンベルク公爵家の友好の懸け橋であり、両家の関係は今なお良好です。


 旦那様のぶっ飛んだ行動によって振り回されることはありますが、全てが損失でもなく、私自身は楽しんでいたりします。しかし、旦那様には負担をかけていたのかもしれませんわね。


 いるだけを求められ、能力の一切を期待されないというのは辛いことかもしれません。



「領主の仕事をお任せすることはできませんが、この家の仕事をやってみますか?」

「家の仕事?」


 つい、そんな旦那様が少しだけ可哀そうに感じた私は思い付きでこんなことを言ってしまいました。


 いつのまにかこっそり部屋の隅に忍び込んでいた執事長が顎が落ちそうな顔をしていますが。



「えぇ。この家の中は執事やメイド、侍従などが働いています。彼らを管理監督する者もいます。でも、何かあれば相談されたり、諍いを仲裁したり、気付いていないところを指摘したりはしますし、よい仕事をしたら褒めることも必要です。そうやって家の中が上手く回るように心を配ることも大切なことですわ。もしよければ、旦那様が気付いたところから褒めたり、聞いたりして貰えたらと思います」

「ユフィ……。わかった。やってみるよ」

「ありがとうございます。そうして居心地の良い場所にしてもらえたら、この子にとっても嬉しいことですわ」



 翌日から旦那様は屋敷の中を時折散歩するようになりました。


 外へ出かける頻度は減りました。



 めでたしめでたし……。

















 

 なお、自信を回復した旦那様がメイドを褒めることがあからさまに増え、寝所に連れ込もうとしたのでお腹に負担をかけない魔法でのお仕置きを実行しました。

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