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異世界極悪レスラー〜感謝されると即死するので、全力でヒール(悪役)を演じてたら世界最強の魔王としてバズっていた件〜  作者: 早野 茂
【第5章】全世界公開処刑〜魔王よ、お前もヒールにしてやる〜

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第41話:全世界公開処刑(ワールド・ワイド・ショー)

「回すぞォォォッ!!30回転目ェッ!!」

ブン!ブン!ブン!ブン!

魔王城の城下町、その廃墟の中心でとてつもない暴風が巻き起こっていた。

轟田猛が魔王ルシファーの黒翼を掴み、コマのように高速回転させているのだ。

サタン式・ジャイアント・スイング。

遠心力で魔王の意識は飛び三半規管は崩壊。

神々しかった銀髪は振り乱され、悲鳴すら上げられない状態だ。

「オラオラオラァ!どうした全知全能!世界が回って見えるかァ!?」

轟田は笑う。

筋肉が唸る。そして、この光景は――。



王都の広場で。

魔法学園都市の大講堂で。

聖教国の大聖堂で。

そして、かつてカジノがあった荒野のキャンプ地で。

世界中の「魔法スクリーン」を通じて生中継されていた。

「な、なんだあれは……!?」

「魔王様が……回されている……?」

人々は言葉を失っていた。

彼らが信じていた「絶対的な守護者」。

あるいは恐怖の対象であった魔王が、薄汚いパンツ一丁の男に手玉に取られている。

その映像は、あまりにもシュールで、暴力的で、そして――目が離せなかった。

「……あいつ、轟田だ!轟田がやってるぞ!」

「すげぇ……本当に魔王をボコボコにしてやがる……」

かつて轟田と関わった人々――王都の民や、学園の生徒たちが最初に声を上げた。

恐怖よりも先に、「興奮」が込み上げてくる。

あのデタラメな男なら本当に世界を変えてしまうかもしれない。



「フィニッシュだ!飛んでけェェェッ!!」

轟田が手を離した。

音速を超えて回転していたルシファーの体が砲弾となって射出される。

狙うは――背後にそびえ立つ巨大な「魔王城」。

ズドォォォォォォォォォォォォォォンッ!!!!!

凄まじい轟音。

魔王の体が城の正門を突き破り、そのまま外壁を貫通しメインタワーをへし折って瓦礫の山に埋まった。

魔王城崩壊。

象徴の破壊。

「……ッシャオラァッ!!」

轟田は拳を突き上げ勝ち名乗りを上げた。

その直後、ふと視界の隅に空中に浮かぶ魔法のレンズ(撮影ドローン)があることに気づいた。

赤く点滅している。

放送中だ。

「……ほう」

轟田はニヤリと笑い、そのレンズを鷲掴みにした。

そして、カメラの向こうにいる「世界」を、ギロリと睨みつけた。

「――おい、見てるか?全世界の連中」

轟田の声が世界中のスクリーンから響き渡る。

何億人もの人々が、息を呑んでその凶悪な顔を見つめる。

「俺様の名はサタン・ゴウダ!見ての通り……テメェらが恐れ、敬い、あるいは救いを求めていた『魔王』サマは今、俺様が粗大ゴミにしちまった!」

轟田は崩れ落ちた魔王城を親指で指差した。

そしてカメラ越しに、足元で震えている城下町の住民ペットたちへ向けて言い放つ。

「この街の家畜共もよく聞け!テメェらの『飼い主』はもういねぇ!今日からこの檻(世界)のボスは、俺様だ!」

魔王討伐と世界征服宣言。

世界が震撼する。

平和を守る魔王が倒され、さらに凶悪な「新しい魔王」が現れたのだ。

絶望?

恐怖?

いや、轟田が求めているのはそんな湿っぽい反応ではない。

「どうした?悔しいか?怖いか?」

轟田はカメラに顔を近づけ、煽る。

「テメェらの大事な『平穏』が終わるぞ?明日から毎日、俺様がテメェらの街に行って、家を壊し、宝を奪い、土下座させてやる!」

嘘だ。

轟田はそんな面倒なことはしない。

だがこれはプロレスだ。

観客(世界)を本気にさせるための盛大な「脅迫マイク」だ。

「嫌なら……抗えよ」

轟田の声のトーンが落ちる。

低く、腹の底に響く声。

「ただ震えて待ってるんじゃねぇ。祈って助けを求めてるんじゃねぇ」

轟田は拳を握りしめた。

「自分の足で立って!歯ァ食いしばって!『ふざけるな』って怒りの声を上げろ!!」

世界中の人々がその言葉に打たれた。

魔王は言った。「全て私に預けなさい」と。

だがこの男は言う。

「自分で立て」と。

「俺を殺したい奴はかかって来い!俺を憎む奴は呪いの言葉を吐け!」

轟田は両手を広げ、全世界のヘイトを一身に受け止めるポーズを取った。

「俺様は逃げねぇ!隠れねぇ!テメェら全員の『殺意』をまとめて相手してやる!……さあ、開幕だ!全世界参加型バトルロイヤル、生き残りたきゃ俺を倒してみろォッ!!」

ガシャンッ!

轟田はカメラを握り潰し映像を強制終了させた。

プツン。

世界中のスクリーンが暗転する。

静寂。

だがその静寂は「死」ではない。

爆発直前のマグマのような熱を帯びた沈黙だ。



魔王城前広場。

轟田は潰したカメラを投げ捨て肩で息をついた。

「……ハァ、ハァ。……どうだ、これで文句ねぇだろ」

「……バカなの?」

ミミが呆れ果てた顔で言う。

「世界中に喧嘩売るとかマジで意味わかんない。死にたいの?」

「合理的ではありません。これで貴方は『人類共通のパブリック・エネミー』として認定されました」

セレンが頭を抱える。

「……でも、最高にカッコよかったわよ」

アリスが剣を収め苦笑いする。

「あんたらしいわ。……これで世界中の人たちが魔王の洗脳から解き放たれるきっかけになる」

怒り。恐怖。対抗心。

どんな形であれ人々が「轟田を倒そう」と意志を持てば、それは魔王の「思考停止の支配」から脱却したことになる。

轟田は自らを「必要悪」として世界に差し出したのだ。

「カッカッカ!礼には及ばねぇよ」

轟田は照れ隠しに鼻を鳴らした。

――その時。

ゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!

瓦礫の山となった魔王城から、どす黒いオーラが噴き上がった。

轟田の背筋が凍る。

まだだ。

まだ終わっていない。

『……許さない……』

瓦礫を吹き飛ばし異形の影が立ち上がる。

美しい天使の姿は見る影もない。

全身の皮膚が剥がれ落ち、漆黒の筋肉と骨のような装甲が剥き出しになっている。

背中の翼は十二枚に増え、その全てが「呪い」を撒き散らしている。

『サタン・ゴウダ……!貴様だけは……私が直々に……無に還す……!!』

魔王ルシファー・第二形態(堕天モード)。

理性を失い純粋な「破壊神」と化したラスボスが、轟田を睨みつける。

「……へっ。やっと『化けの皮』が剥がれたな」

轟田はファイティングポーズを取った。

《全世界からの敵対感情アンチ・ヒートを確認。……全ステータス、限界突破リミット・ブレイク!!》

轟田の体に世界中から集まった「負の感情」が流れ込んでくる。

重い。痛い。が、最高に力が漲る。

「さあ来いよ、元・神様!……ここからは台本なし(ガチ)の殺し合いだ!」

最終決戦クライマックス。

世界の命運をかけた史上最凶のプロレスが幕を開ける。


(第42話へ続く)

全世界公開。

全人類を敵に回した轟田。

皆様もぜひ「アンチ(評価)」として参戦してください!

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