002⚫️小さな勇気 大きな希望
「ミサちゃん、楽しかったようね。」
「ええ、エイミーさん! ありがとうございました! 特にあの丸い潜水艦、とてもステキでした!」
弾むようなミサちゃんの笑顔を見つめながら、
私の胸の奥に、ふと冷たいざわめきが走った。
あの球体潜水艦。
私たちが対峙したジェーン・スミスの影が脳裏をよぎる。
悲しみが憤りを生み、憤りが怒りへと変わっていく、あの連鎖。
あの時、死者が出なかったのは、ただの幸運に過ぎなかったのだ。
目の前で本当に嬉しそうにしているミサちゃんを見ていると、
自分が少しだけ「大人になった」ような気がする。
争い、戦闘、そして戦争。
それは人類の歴史にどこまでも付きまとう業なのかもしれない。
かつて世界を揺るがせた、ある十三歳の少女のスピーチを思い出す。
『空から降ってくる爆弾には、宛名はありません。独裁者の名前も、子どもの名前も書いてありません。ただ、無差別に降り注ぐんです。』
激しい「愛国者」からの批判に晒されながらも、彼女が放った言葉は世界中へ広がり、何千通もの共感が寄せられた。私も、その中の一人だった。
あのとき、海を越えて彼女に送ったメッセージの最後を、
今でも鮮明に覚えている。
『私が平和を信じられるのは、あなたがそこにいるからです。』
あれから、どれほどの時が流れただろう。
世界のどこかでは、今この瞬間も戦争が続いている。
悲しみは容赦なく繰り返されている。
・・・そう、それでも。
彼女がくれた小さな勇気は、
今も私の中で消えることなく灯り続けている。
それを受け継ぎ、次の世界へと広げていく意思もまた。
いつか、きっと、必ず。
エイミーはそっと窓の外に目をやった。
どこまでも青い空が、静かに広がっている。
その空の下には、たしかに、守るべき「平和」があった。
球体潜水艦の奪取については 第13部 045⚫️う〜ん https://ncode.syosetu.com/n2535mh/39/ をご参照ください。




