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5-13.馬脚を露す

領主のアビリアさんの顔が青いというか白い。


「お嬢様・・・」


執事さんが声を掛けるが領主のアビリアさんは動かず裏領主のラルスさんから目を離さない。

急に覇気が消えた。


「まあいいわー。その代わり聴取に手加減は無しよー」

「ええ・・・それは。蜂起に参加する兵士なぞ要りませんからね」


死んだ兵士や冒険者はメイドさんが荷台に乗せて領主の屋敷の裏に運んでいく。

伏せている兵士や冒険者は兵士と冒険者に囲まれて冒険者ギルドに連れられて行く。

冒険者ギルドマスターのラトックさんと領主のアビリアさんは何事か話した後こちらに来た。


「全く持って申し訳ありません。外はこちらで処理してダンジョン内はお任せすると言ったのですが・・・こうなってしまって・・・」

「おきになさらずに。まあ・・・うまいこと処理できてよかったです。外に来ていた連中はここがスタンピートを起こしそうだから来たと言っていましたし・・・思っていたより連中が用意周到だったのかもしれませんね」

「スタンピートだと・・・まったくもっていいかがりだが対外的にはいい手だな。鉄砲玉よりかは何倍かいい」

「まあそこは今から聴取しましょう。今日の晩は私の舘で夕食会を行う予定です。それまでクルーソーさんは休んでいてください。それではまた」


ラトックさんとアビリアさんはそのまま冒険者ギルドに移動していった。


「クルーソーさんー。相談があるんだけどー。いいかしらー」

「あ。はい」


今は美人だから違和感ないが・・・実際はあれだからな。


「外の連中はクルーソーさんの捕虜ってことになるんだけどーどうするつもりー」


おおお?そうなるのか・・・捕虜なぞいらない。

と言ってどうすればいいのだろうか・・・まったく分からん。


「そうなるんですね・・・普通どうするんですかね?」

「戦争奴隷として売り払うかー。そのまま首切るかよねー。で相談なんだけどー。譲ってくれない―」

「ええ。いいですよ。私は装備だけもらえればそれでいいです」

「ほんとに―。装備だけでいいのー?」

「売り払う手間もありますし・・・といって首切って回るのも無しですし・・・早急に帰りたいので捕虜に手間を掛けたくないの願ったり叶ったりです」


ダブルウィンと言うやつですな。

東門に移動してゴーレムに監視されていた捕虜を裏領主側に引き渡す。

動ける捕虜はメイドさんの監視下で移送され動けない捕虜は荷台で運ばれる。

ゴーレムをすべて回収する。

さて・・・全部終わった・・・よね。

進行してきた敵は先行隊と思われるが・・・

本隊までは面倒見きれないというか義理はない・・・よね。

夕方まで時間を潰さないといけないので街ブラでもするか。

街は騒々しいというか浮き足立っている感じだ。さっきまで蜂起騒ぎがあったので仕方がない。

魔道具屋や武器屋で掘り出し物がないか探すが見つからない。

都市の規模や品ぞろえはアルゴランの迷宮都市の方が上だな・・・

デーモンがいることを考えればこの都市の方がにぎわっていてもいい気もするが。

夕方になって領主の舘に戻って夕食会に出席する。

領主のアビリアさんと裏領主のラルスさんとわたしの3人だ。

冒険者ギルドのギルド長ラトックさんは忙しいそうだ。


「クルーソーさん。今日はありがとうございました。どうなることかと思いましたが・・・どうにかなりました」


戦争は終わってない気もするが・・・突っ込むのはやめよう。藪蛇ってやつだ。

食事の内容は昨日とあまりレベルは変わらない。パスタとリゾットはない。


「アルゴラン様がうらやましいですわ。人材が豊富で」


まあ・・・護衛が先頭きって裏切るのを考えればそう思うだろうな。


「まあー蜂起はあると思ってたけどーもうちょっとどうにかならなっかたのー」


おお・・・その話を蒸し返しますか・・・


「彼は・・・予兆があったので気を付けてはいたのですが・・・いえ。すいません。今さらですね。そうだと思いたくなかっただけですね」

「予兆?」

「彼は優秀すぎたのです。なのですぐ出世しました。人当たりも良くて部下の面倒見も良かったですし。迷宮都市の兵士としては願ってもない人材だったんです」


優秀でないとスパイにはなれないが・・・優秀すぎたと。


「ですが・・・言っては何ですがここの兵士にしては出来すぎでした。私の護衛に任命して様子を見ようとしていたところなのです」

「そうねーここは表向きは冒険者ギルドで回っている都市って認識されてるわねー優秀なら首都の近衛とかいろいろあるはずよねーここに来るのは不自然よねー」


その後は取り留めもない話で夕食会は終わった。戦争の件は放置でいいのか・・・まあいいか。

さすがに疲れた。素直に寝よう。


夜明け前に目が覚めた。久しぶりにマジックハンドの練習をしよう。

棍棒をマジックハンドで持って素振りを行う。


さて・・・今回の戦いの総括でもするか。

銃の弾の補充は・・・行われていない。

普通の動物の脂肪では無理なのか?それとも何か別要因か・・・

は!硝石が全くない。

そういうことか。帰ったら穴掘りまくって硝石を抽出するしかないな。


ゴーレム関しては・・・

ストーンゴーレムでもいいのでもっと連れてくるべきだったな。

それともまた鉱石を掘りに行くか・・・猫さんがな邪魔するんだよな。


後は防具と武器をアップグレードしたい。

オリハルコン装備だと魔法攻撃力が下がるのが判明した。

それにあの恰好はダンジョンマスターとして目撃されている。

もちろんオリハルコンと鑑定されても不味い。

だが・・・

そうなると材質は魔鉄より上と言うことでミスリルになるんだが持ち合わせがない。

この間の交流会の市でも見なかったからな。

結局多量に鉱石を掘るしかないのか。どこかにミスリル鉱脈ないかな・・・マジで。


メイドさんに朝食に呼ばれた。

領主のアビリアさんと冒険者ギルドのギルド長ラトックさんがいた。

朝食が終わるとアビリアさんは手紙と袋を渡してきた。


「少ないですが受け取ってください。金貨と魔石を入れて置きました。そちらはアルゴラン様への礼状です」


袋はけっこう重い。まあ受け取ってもいいんだよな多分。


「世話になったな。こちらはギルドからの分だ」


ラトックさんの手紙と袋を渡してきた。

むむむ・・・藪蛇だが聞いておこう。気になる。


「それはいいのですが・・・戦争はどうなります?」

「ん?もう終わりじゃろ。まあ違った問題が出てきて頭が痛いというのか忙しくなるが・・・戦争よりましというか・・・まあどうにかなる」

「後続の本隊を叩いたとか?それとも撤退したとか?」

「本隊もなにも・・・お前さんが倒したのが本隊じゃ」


なんだと・・・あれが?


「なんかめっちゃ弱かったんですが?」

「アルゴランの所の兵と比べておるのか?あれと比べては大体の兵は弱いぞ。まあ確かに連中平均より弱いけどな」

「なるほど・・・で違った問題とは?」

「実はじゃ・・・ジェルマンの冒険者ギルドから救援要請が来てな。ブチ切れてそちらとは戦争中だと返したら連中は戦争のことを知らなかったんじゃよ」

「ジェルマン?」


どこかで聞いた気がするような。


「なにを言っている。今回の戦争の相手だ」


アルバロという伯爵じゃなかったっけ?


「アルバロじゃなかったですっけ?」

「それは治めておるやつの名じゃ。もう元だがな」


元?まあここまで壮絶にやらかしたのでというやつか。


「今回のが元で失脚したということですか?」

「いや。情報が錯綜中なんで確かではないが・・・アンテッドが送り込んだガーゴールに襲撃されてジェルマンの兵士は全滅。アルバロ伯とその家族、都市にいた貴族連中も全滅のようだ」


・・・は!思い出した。

スケルトンのスールグさんの復讐相手か。仕事が早いなー。


「えっと・・・聖騎士団がいるんじゃなかったですっけ?」

「聖騎士団は廃墟に討伐に出た後だったらしい。戻ってくるように要請したらしいんじゃが・・・アンテッドを倒せば襲撃も終わる、一石二鳥とか言ってそのまま進軍したらしい」

「なんか不思議な話ですね。実は見捨てる気だったとしか思えませんが」

「こんな短期間で城壁を破られるとは思わなかったんだろう。それに・・・冒険者ギルドもこっちに兵士を送り込んでおることを知らなかったから聖騎士団も知らなかった可能性がある。もしあの兵士たちが都市に詰めておれば持ちこたえたかもしれん。それにアルバロ伯爵では聖騎士団には要請は出来ても命令は出来んからな」

「まあ・・・こう言ってはなんですが・・・元凶が排除されたので戦争は終わったというのが私たちの考えです。彼らにとっては不幸なことですが」


スケルトンのスールグさんの復讐がこの都市にはプラスに働くと。


「ということで・・・救援部隊を出そうかと言う話になっておる。恩を売っておこうということだ」


なるほどな。二人は忙しそうなんでお暇するか。


私が倒したガーゴイルは1000体ほど。

その影響で聖騎士団にスケルトンのスールグさんが討伐されたりしてな・・・

むむー。まあいいか。ほっとこう。


「なに考え事してるのー暗い顔してー」


裏領主のラルスさんが美人の冒険者スタイルで現れた私の後ろに立った。


「戦争の元凶が消えたと聞きまして・・・一日違えば昨日の戦争はしなくて良かったのになーと思いまして」

「あらそうなのー一日違えば持ちこたえて問題が先送りされてたかもしれないからうちらにはベストなんだけどー」


ガーゴールを見た感じで言うとあの兵たちが勝てるとは思えないが・・・それは公言出来んな。


「ということでーアルゴランへの手紙持っていってー」


アルゴランへの手紙を受け取る。


「それとー大したことじゃないんだけどいいかしらー」

「はい」

「あのクラスの魔法の鞄にはあのゴーレムは入らないわよー誤魔化すんならもっといいのを使いなさーい」


うぐぐ・・・確かに持ち歩いているのダミー用なので容量が一番小さいのを使っていた。


「それ以外にもいろいろあるけどー・・・ゴスロリは日本語なのよー気を付けてーそれじゃーねー」


!!!裏領主のラルスさんはそのまま走って行った。

どういうことだ?ゴスロリが日本語?

それはどうでもいい。

確か今日本語と言ったな・・・

転移者とばれた?


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