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《改良版》追放された男、最狂にて~追放された男はただの無双を繰り返すチート野郎じゃなくて人類の鍵だった!?の巻~  作者: 新仁友成
悩める案内人

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9/20

笑顔


「はぁぁぁ、よく寝た…」



 起きて早々腹減ったな。

 取り敢えず顔を洗って着替えるか…



 はぁー。

 ロビーに行くか。

 今日の飯は何だろうな?

 ここの宿はマジで当たりだわ。

 部屋も良いし飯も美味いし、その割には値段が安い。




「アルベール様~」


「えっ!?」


「お待ちしておりました~わ~」


「えっえっ!俺を?」


 誰!?誰!?何!何!何!

 後、何か俺みたいなドクロをいっぱい着けてる。



「あっ、失礼しました。

 私の名前はクロム・レストレンジです。

 好きな男性はアルベール様……です。」


 さっきの勢いが消え、頬を赤くしハニカミながら自己紹介をするクロム。



「えっ!あっ!うん。ありがとう…?」



 そのコート…

【青空の龍】のだよな。

 昨日の今日じゃ忘れる訳ねぇよ。

 勧誘は昨日、断ったけどな…

 何の用だろう?




「あの…昨日の件は断りましたけど…後、よく宿がわかりましたね?」



 急に鳥肌が…

 何か変な怖さが…

 マジで誰?



「昨日の件?あっウチのクランに勧誘された件ですか?」


「うん。そうそう…」


「知ってます。デュークさんから聞いております。あっ!後、宿に関しては昨日、アルベール様の後を着けましたわ~」



 スッスッスートキングッ!!

 普通にヤバくね…

 こっこれはヤバい。

 この娘は何を言ってるの?

 マジで何を言ってるんだ?


 勧誘は断ったけどストーキング?

 何の為に?

 俺をストーキングして何になるの?

 青空の指示じゃなさそうだな…

 なら、何で彼女はストーキングして、今ここに居るんだ?

 理解不能だけど…




「なななら、何を待ってたの?」


「私がお待ちしてたのはアルベール様です~わ~」



 会話が出来ない系女子かな?

 俺を待って何になるんだ?

 世間一般からすれば俺って寄生プレイヤーな訳だし…

 何が目的だ?



「あっ失礼しました。早とちりをしました。」


 ペコリお辞儀をするクロム。


「私はアルベール様の事を愛してます。寝ても覚めても頭の中がアルベール様でいっぱいなんです。」



「だから……そ、その……旦那様として…お、お迎えに上がりました。」

 ハニカミながら口を開くクロム。



「えっ!?」



 旦那様?

 旦那って結婚…?

 …

 う~ん…見た目は可愛いよ。

 普通に可愛い。

 でも、そんな娘が何で俺に?

 何かの詐欺?

 何を狙ってるの?


 どうしよう…

 どうしよう?





「その、クロムさん?は何処に住んでるんですか?」


「クロムで良いですわ。それと度々、敬語ですけど敬語も不要です~わ。私はクラン本部に隣接している住居スペースです! ヘヘヘヘヘヘヘッヘヘヘヘッヘヘヘッヘヘヘ。これからは私とアルベール様の愛の巣です~わ」



 いやいやいや、クランの住居スペース!?

 住めるの?

 そもそも、俺住めるの?そこにっ!!


 あっ!違う違う違う違ーーう!!

 そこも重要だけど1番の問題は青空の龍の奴ら全員に丸聞こえだよね!?

 どうやって色々と営むの?

 この娘は何を考えてるの?


 どーしよ、ホント…

 でも、悪い気はしないんだけど…

 少し怖いといか…

 独特の恐怖を持ってるよな…



「あっあのさ…俺、飯食いたいんだよね、話ならまた今度で。」


「それなら私もご一緒させてください。もう私、憧れの憧れのアルベール様を拝めるという事で朝御飯6杯しか食べてませんの。」


 段々、ハニカミながらモジモジして口を開くクロム。



 6杯っ!6杯も食べてきたの!!

 大食いなのかな?

 でも、こういうのは口にしない方がいいよね?

 別に女性だからって大食いがいけない訳じゃないし…

 でも、6杯って何をおかずにするの?


 凄い嫌な感じがするけど…


「じゃ、じゃあ……行こうか……」




 ◇◇◇◇◇◇◇◇



 あぁ~食った食った!

 それにしてもこの娘、すげぇー食べる。

 ラーメン屋に行こうとしたら腕を引っ張られてバイキングに連れて、料理が置かれてる皿の上の食材を90分で空にするし…


 店の人、全員にひたすら謝りまくり。

 30分でご飯食べて、残りの60分で謝罪。

 バイキングってこんなだっけ?

 思ってたバイキングと違ったわ。




「ハァァァ…至福ですわ~」



 会計?

 勿論、俺だよっ!!

 まぁでもバイキングだから食べた料ほどのお金はかからないけど…

 こういう時って、この娘が奢るじゃないの?

 別にケチとかじゃなくてさ、そう思わない?


 何か「神の飯ですわ~。いつもより箸が進みますわ~」とか言ってずっと食べてた。



 新手の詐欺か何か、なのかな?

 この娘は何をしに来たの?




「俺はこの後、宿で錬金術で色々と作りたい物があるんだ、今日ほ「なら、私もお供しますわ。」…マジで言ってる?」



「マジのマジで大マジですわ~。」



「錬金術とかはわかるの?」



「いえ、何も。やった事もありませんわ。」



「なら、つまらないと思うよ?」



「アルベール様となら、どんな事をしても楽しくて幸せの絶頂ですわ。」



「そっか…」


 毎回、斜め上の返答でビックリはするけど、悪い娘じゃないからいいか?

 でも、つまらいと思うけどな…

 まぁ彼女が来たいって言ってる訳だし…



「これは何を作っているのですか?」



「これはゴーグルのフレームというか型を取ってる所だよ。」



「ゴーグル?」



「そうゴーグル。本当は別の用件で別の人に使って貰おうと思って考案してたから型までは完成してたんだけど、必要無くなっちゃったからさ。これは俺が使う自分の分。」



「でも、アルベール様は本当に器用ですわね?」



「ハハハ、そうかな?」



「えぇ、そうですわ!」


 …



 …


「あぁもう、こんな時間か。良かったら本部まで送っていくよ?」



「いんですか?」



「勿論。あまり、遅くなるとクランの人達も心配するだろうし、怒りの矛先がこっちに来るだろうし…」



「なら、お願いします。後、一応総帥とデュークさんには許可を貰ってますので大丈夫ですわ。」




 ◇◇◇◇◇◇◇◇


 ふぅー。疲れたー。

 でも、嫌な疲れ方じゃなくて、何だろう…なんか、スッキリした感じの疲れ方だな。

 兄弟と一緒に冒険者になって、どんどん有名になった時の気持ちに近いな…

 久し振りだな、この感じ。


 これが充実感なのかな?


 それにしても、中々のパンチのある娘だったな…


 でも、楽しかったな……フフフ



「フフフ。起きてる?」



「ターニアッ!?いきなりどうしたの?」



「そんなに驚くの?」



「だって、昨日の今日だし…それに、昨日はこれから時間がある時に定期的に会うって話じゃなかった?まさか、今日も会えるとは思わないじゃん!」



「そうね。でも、私は決めたの。これからは貴方の側に居るって!!でも、契りの契約はティラとしてるから貴方の力には慣れないけど迷惑かな…?」



「全然、迷惑じゃないよ。俺は嬉しいよっ!!毎日、ターニアの声が聞けるだけで嬉しいよ。でも、ティラは?」



「フフフありがとう。ティラにはあの後、言ってきたから大丈夫よ。それにしても、やっぱりそのゴーグル?」



「そうだよ。ティラに送ろうと思って型までは出来たけど肝心のレンズの部分がね…」



「そう…貴方の気持ちを想うと胸が痛くなるわ。」



「まぁ自分で選んだ道だから、仕方ないけどね…」



「そんな事ないわ。貴方は貴方なりに守りたい物があってそれを貴方なりに精一杯やり遂げようとしてたわ。少しボタンが掛け違っただけよ。」



「ありがとう。」



「それで、今度は何を?」



「今は自分の分のゴーグルと、ずっと悩んでいた物の解決策を少し前に考えたんだ。だから、それを錬金術で作ってどうなるか?試してみようかと思ってね。それに、何か動きが…嫌な予感がするし…」



「何の為に作るの?」



「何だろうね…」



「貴方は変わってないわね。いつもそう、いつもいつも日の当たらない影で出来た道を歩もうとする。誰かの為に。だから突然、貴方自身が自覚が無い所で溢れちゃうのよ。要は1人で背負い過ぎよ。これからは私が側に居るから、安心しなさい。」



「ありがとうターニア。」



「それで貴方は今、アルベールって名のってるのよね?」



「そうだよ。名乗る名前が無かったからね。アレクサンダー・アーノルド・アルベール。これが今の俺の名前だよ。」



「なら、私もアルって呼んだ方がいいかしら?」



「うん、お願い。誰が聞いてるかわからないからね。」



「そうね。なら、これからよろしくね。アル♪」



「よろしくティターニア♪」





 ◇◇◇◇◇◇◇◇



「アルおはよう。」



「おはようターニア。」



「今日は何する予定なの?」



「今日はゴーグルとは別件で昨日、言った物を作ろうと思ってる所だよ。」



「なら、1日にここに居る?」



「いや、素材に深層の魔石が必要なんだけど深層の魔石が1つもないから取り敢えず90Fオーバーに行こうかと思ってるよ。今日、明日くらいで集められればいんだけどね♪」






 1人で深層。

 これがどれほどまでに過酷……というか無謀な挑戦なのかは冒険者達、それを応援するファン、スポンサー、冒険者ギルドも知っている。


 攻略失敗は死。

 負けたら死。


 死と隣合わせの冒険者が深層で1人で潜るソロプレイ。

 誰も、やらない。

 いや、誰もやれない。

 無理だからそもそもがやる、という頭にならない。





 だが、この男は違う。


 自らが作りたい物、又は研究したい物は直ぐにでも実行しようとする。

 だから、【黄金の輝き】では、スポンサー対応も、冒険者ギルドで余った素材を売却しに行く事もしなくなった。


 より安全に危険性を減らす事を目的にパーティーメンバーの命を魔物の手が届かない懐に入れる為の行動であり、友の御輿を担ぐ男の譲れない自己主張でもある。




 ◇◇◇◇◇◇◇◇



「アルベール様~」



 クロムがまたロビーで待ち構えていた。



「悪い。クロム、今日は用があるんだ。」



「何をするのですか?」



「素材集めだ。深層のな。」



「なら、私も連れていってください。85Fまでなら攻略してあります。お願いします。」

 


「いや、悪い。俺は90Fオーバーの素材が欲しいんだ。取り敢えず91Fの金鎧の素材で試そうと思ってるから91Fに行くんだ。」



「わかってます!!!でも、ここで逃したらアルベール様は…もう……帰って来ない……気がして。」



「大丈夫。帰ってくるから。」



「そうじゃなくて、アルベール様が負けるとは思ってません!!その…もう…嫌なんです。好きな人が苦しんでいるのを見るのも、何も出来ない自分も。私は知ってます。アルベール様がどんなに気丈に振る舞っても心に大きな傷がある事を…だから…今度は隣で一緒に泣きたいんです!!」



 クロム…?

「…」



「ご迷惑なのも知ってます。なので、もし危なくなったら私を囮に使ってください。」


 昨日とは違い泣いているクロム。

 泣きながらアルベールに同行を懇願している。





 基本的にクロムのこの行為は寄生プレイだ。

 冒険者同士では暗黙の了解として高層の冒険者はしない。した、としてもクランまたはパーティー間で正式な依頼として行うのが一般的。


 でも、真剣なクロム。

 宿のロビーで周りを気にせず子供のように無邪気に自分の感情をアルベールにぶつけた…







 こんな、真剣に言われたら断れないよな。

 昨日の今日でテンションの差が大きすぎて、付いてこれないけど、この娘の懇願を拒絶すればまた、何か大きな物を失う気がする…


 この娘は敵じゃない…

 そう、自分の心が訴え掛けてる。

 なら、従ってみるか…




「わかった。許可する。だから、もう泣くなよ…綺麗な顔が台無しだよ……」


 そう言ってアルベールはクロムの涙を両方親指で拭いた。



「アッ!」

 体全身を赤くするクロム。




 ◇◇◇◇◇◇◇◇




「クロム、付与はいるか?」



「で出来ればっ!」



(アルベール様からの付与…これは神の御加護ですわ~。夢みたいですわ。)




身体強化フィジカルアップ!!」



(アルベール様の付与ですわ~)



「オリジナル身体強化アジリティアップ!!」


(何か更に、体から力が沸いて来ます……)


(あれっ……付与魔法って重ね掛け出来ないんじゃ……)





「オリジナル身体強化インテンシティアップ2」



(更に力が……)


「あの~アルベール様、付与魔法って重ね掛けって意味がないんじゃ~?さっきから体がガンガンのゴンゴンのドンドンですわ~?」



「あぁ基本はな。アジリティアップとインテンシティアップは俺が考案したオリジナル魔法だよ。俺は元々の身体強化が1.2倍だから重ね掛けしないと火力が出ないんだよ!」



「…」



「念の為に、自動瞬間火力強化オートインパクトアップ!身代わり付与サクリファイス!」



「あっあのアルベール様、これらは一体……?」



「オリジナル魔法だ。自動瞬間火力強化はクロムというよりクロムの武器に掛けた。元々、俺が考案した魔法に瞬間火力強化というのがある。技が魔物に触れた瞬間、時間にして0.5秒。そのタイミングで発動出来て倍率は100倍に近い。だが、俺は前衛だ。付与術師じゃない。クロムもわかると思うけど、前衛で味方に付与魔法を掛け続けるなんて不可能に近いだろ?」



「はっ……はい……」



「それを可能にしたのが自動機能。この付与の時間内なら俺の視界外でも魔物を切る度に瞬間火力強化出来るんだよ!身代わり付与はそのまんまだよ。クロムの攻撃を俺が肩代わりするって魔法だな。まぁここまでは必要は無いと思うけどね。」



「ふぅー。じゃあ~そろそろ行きますかね…クロム!!俺に付いてこい!!」



「はいっ!」




 クロムは勢いよく返事をし、収納魔導具から【青空の龍】のロム(カメラ型の魔導具)を起動させた。

 ロムは認識阻害コンピティンの魔法が施されており魔物から攻撃をされる事はほぼ無い。

 それは人も同じ、視界外で起動されれば気付く事はほぼ無い。




 ロムのコメント

 ・アルベールとか追放されたカス

 ・クロムちゃんの足を引っ張るなよ!!

 ・勇者墜ちwwwww

 ・派手タン 久しぶりに見たww



「クハハハハハッハハハ!

 道を開けろ雑魚ども!!」




「エャー。ハァー。ティヤー。」

 クロムも必死にアルベールに付いていく。



 あっという間に86Fフロアボス 緑牛の前に居た。

 腰から下が馬、斧を構える両手、胴体が人間?頭が牛の形をした緑色の魔物。



「これがフロアボス……」



「あぁ。だけど、そんなに気負う必要もないよ。俺が付いてるから安心して?大丈夫だから。」


「はっはい!」


 きゅ~ん。

(アルベール様カッコ良いですわ!一生付いていきますわ~。)



 ヴォォー


 緑牛が2人を視界に捉え雄叫びを上げ、突進してくる。

 斧を構え右から左

 下に潜りながら交わしたアルベールはそのまま右前脚を刈りとる。


「オリャャャャ!」



 ヴンンンンッ!!

 体勢崩しながら先程の鳴き声とは売って変わって弱々しい緑牛


「ハー!!!!!!」


 上空に飛んで交わしたクロムが上から胴体を切り付ける。



「クロム!手だ!両手だ!手を切って斧を持てなくするぞ!」



「はい!」


 こいつの利き腕は右手だ。なら……

「先ずは、右手を貰うぜ、牛野郎。」



 鎌の刃を緑牛の右手に引っ掛け


「貰うぜー!!」



 スパンッ!!



 ヴオォォォォォ!!

 大きく仰け反る緑牛。



 緑牛の右手と同時に大きな斧も地面に落ちた。



 ヴンンン……ヴンンン

 弱々しくもアルベールを睨む眼光だけは戦士の目だった。


「フンッ!!じゃあな。」



 ◇◇◇◇◇◇◇◇



 勢いそのまま、89Fフロアボス赤百足まで到達していたアルベールとクロムの2人。

 赤百足=火属性の毒虫。



 86Fから攻略して今、89Fのフロアボス。

 通常では考えられない早さだ。




 恐らく、ダンジョンを出れば17時か18時くらいだろ?なんか、腹も減ってきたし魔物の形が違うだけでサクサク倒せて飽きてきたな。


 他の冒険者からしたら贅沢な悩みかもしれないが、そんなのは知らね、俺は俺だし…


 80F以上のフロアボスねぇ~。

 魔石以外、今の所は錬金術で使う予定が無いしな…

 なんだか、帰りたくなってきたな…




「クロムそろそろ良い時間だろ?クロムは離れてろ!俺が倒す。そこで見てろ。」



 そう言うと、アルベールは1人で赤百足まで走って行き注意を引き付ける。


 赤百足の噛みつき攻撃を上に飛んで交わしそのまま頭から鎌を引っ掛けながら尾をまで削り剥がす。

 ギャャジアャャ

 赤百足の嘆き。



 プシュー

 百の足から毒を噴射する。

 辺り一面に毒が撒き散らされる。



 ポゲェェ

 口から火をアルベール目掛けて噴射してくる。



「よっと!……」

 交わしたアルベールだが尾から放たれた丸い毒の塊までは避けきれない。



「アルベール様っ!!」


 まともに毒を食らったアルベール。



 ロムのコメント

 ・おい、あいつ死んだんじゃね?

 ・物騒な事言うな!お前今までの配信見直してこい。

 ・マジか???????

 ・確かに、全然勇者墜ちじゃなかったわ!!

 ・それより、大丈夫なんか?

 ・あいつって自然治癒だっけ????

 ・確かそう、だから毒では死なないと思うよ。

 ・そっかそっか、何で追放されたん?





 うつ伏せのまま動かない、アルベール。

 アルベールに近づく赤百足。



 突如、赤百足が苦しみ始めた。



 アァァァギァァアアアビィアギャャャアビィァ


「クハハハハハッハハハ」


 起き上がったアルベールは体が赤黒く変色し目が血走ってる。



「裁きの時は今!!」


苦苦苦苦くくにがく



「お前の毒は俺に摂取された時から有害物質になったんだよ!!!!」



「ククハハッハハハ!!!!!」



「なぁぁ?苦しいだろ?苦しいだろ?」



「苦しいよな~?息、出来ないよな~?」



「ヒャハハハヒャハハハ(笑)」



「ヒャハハハヒャハハハヒャハハハヒャハハハ!」



「ヒャハハハヒャハハハ(笑)ヒャハハハ」



 赤百足は次第に動かなくなっていた。




「なぁ覚えておけよ?蠱毒こどくの王は俺だ。」




 ◇◇◇◇◇◇◇◇


「あの子、気味が悪いわ。」

「コラッ!そんな事言うんじゃない。それに、あの子じゃなくてあのお方だ。」



「本当に気味が悪い。」

「正に、呪いの子よね~。」

「えぇ、間違いなく呪いよ。」




 みんな、僕の事を気味が悪いって言うんだ…

 僕が何かした?

 僕はただ普通に生きてただけなのに…


 僕が悪いの?


 ねぇアル…


 逢いたいよ…



「父上っ!!なぜ私ではないのですか!?私は嫡男で第一皇太子。なら、次期国王は私ではないのですか?」



「黙れっ!!貴様に王位を譲れば国が滅ぶわいっ!お前は、その年になってもわからんのかっ!!この恥知らずめっ!!」



(くっ…こうなっなら力で…武力で玉座を奪うか…)

「皆の者っ!!私は父を討つ!立ち上がる時が来たのだっ!!」


「ウォー!」

「オォ!」



 ん?何だ?

 騒がしい。

 しかも、悲鳴とか聞こえる…



「おいおい、あの馬鹿皇太子が謀反だってよ?」

「マジかよそれ!?」


「あぁ、城から煙が出てるだろ!?」

「ホントだっ!!俺達も避難した方がいいんじゃないか?」

「実の父親を討つなんて正気か?」

「あぁ次期国王を弟に奪われて余計に狂ったんだろ?本当にどうしようもない奴だよ。」




 謀反?

 むほんって何だ?

 皇太子が国王を殺すって事?


 …


 でも、話の流れからしてそうだよね?

 なら、これに乗って何処か遠くに行こう…

 なんか、疲れたし。


 あの時より、多くの人に囲まれたのになぜだか、胸がチクチクして痛いんだ…痛くて痛くて苦しくておかしくなりそうだよ。


 何でだろう?

 はぁー。


 人がただ増えただけ…

 僕には関係なかったよ、いつもいつも影で僕の事を悪く言ってる人達が増えただけで何も嬉しくも楽しくもない。



 孤独は慣れてるしね…





 こうして人類の歴史上、最も巨大なアレクサンダー王国は失くなりミストニア王国とアスラル王国に別れ現代にまで繋がる事になった。



 そして、巨大な王国滅亡と共に、人知れず人類史の全てを知り人類の鍵を握るであろう1人の人物が行方をくらまし孤独に身を投じる事になった。



 ダンジョン素材が地上での生活を整え、生活をより豊かに便利にしている中でも、この人物の重要性を誰も気付かなければ、どれだけの損失なのか、わかる人物はもはや居ない。




 ◇◇◇◇◇◇◇◇



 1日で86Fから89Fを攻略した翌日の事。



「おはようクロム、今日は90Fをサクッと攻略して91Fを攻略する予定だけど何か不安とかある?」



「いえ、何もありませんわ~。何処までも付いていきますわ」

(はぁ~ぁぁん昨日、ダンジョンでアルベール様と過ごしてからより想いが留まりませんわ)



「じゃあ、行くか!」


「はい!!」



「クロム一応言っておく。知ってると思うけど90Fからはより一層、敵の魔物も強くなる。同じ火属性だとしても昨日の百足と90F以上の火属性の魔物では強さが違う。」



「…」



「でも、安心して俺がついてるから。俺がお前を絶対に守るから。だから、俺が言った事は守ってね?何もクロムを囮にする様な鬼畜な事は言わないからさ。俺はそんな事は望んでないから…」



「はっはい!」


(守る?守る?アルベール様が私を~?はぁぁ~カッコいい…でも抜けてる所もあって、そこがまた可愛い)



(アルベール様アルベール様アルベール様)





 今日もクロムはロムを起動させ配信をしていた。

 勿論、アルベールに許可は取っていない。


 情報は武器。

 だから、アルベールは黄金の輝きに居た時はなるべく画面に写らない様に細かく小さな魔方陣を使用していた。それに、大半の人間が気付かなかった。


 クロムはアルベールを利用して配信で稼ぎたいわけではない。我慢が出来なかった。敬愛している最愛のアルベールが冒険者ファンから罵詈雑言を浴びせられ無能のレッテルを貼られてる現状に。


 配信で落ちた価値は配信で上げる。

 アルベール教の熱狂的な信者の愚行ではなく、聖行なのだ。





 90Fフロアボスは白狐。

 強烈な氷属性を扱う尾が3本の白い狐。



 ロムのコメント

 ・コイツらもうフロアボス!!!!!

 ・速すぎだろwwww

 ・クロムちゃん頑張れ!!

 ・実際、アルベールって化け物じゃね?




 白狐の放つ冷気が凍傷させそうな程、寒いというか痛い。これで氷属性強化が無ければどうなっていた事やら。 


 流石、90Fのフロアボスと言った所か?この白狐ちゃんが(笑)


 ここに長居は危険だ…

 俺はともかく、今回はクロムも居るしね。



「クロム、ごめん。コイツもサクッと良い?」



「はい!」



「喜び悦べぇ!!!!!」


 アルベールの足下に魔方陣が浮かび上がる。

 その魔方陣に首斬大鎌を落とす


「えっ…………」

 後ろから見ていたクロムは驚いている。







零式ぜろしき閻魔骸狂八咫烏えんまがいきょうやたがらす!!!!」


 アルベールの後ろに百足を連想させる胴体と黒長い髪をした女性の顔と両の手をした白狐に勝るとも劣らない巨大な女性?魔法?像?が出現した。



 女性像は昨日の赤百足の様な動きで素早く動き白狐に襲い掛かる。


 女性像は両の手から勢いよく魔法を放つ。

 白狐も負けじと魔法を放つ。

 相殺。




 少し、時間が惜しいな。

 今日はこの後、91Fの攻略もあるし、帰って錬金術もしたいからな。

 悪いけどコイツに使う時間なんて俺様には無いんだよ。ヒャハハハ(笑)



身体制限フィジカルダウン


「オリジナル身体制限アジリティダウン


 白狐にデバフを掛けるアルベール。



(えっアルベール様、今度はデバフですか?デバフは発動とタイミング、それから維持が難しいってデュークさんが言ってたのに……デュークさんだってほとんど使わないのに…あぁ神様仏様アルベール様!!!)




 白狐の動きが鈍くなり吠える回数が増える。

 威嚇だ。



「クハハハハハッハハハ」


 コォォォォ!!!

 女性像の猛毒のある百本足に掻きむしられ意識が朦朧とする中、雄叫びをを上げた。


 コォォォォ!!!!!!


 生にしがみつくのは魔物も同じ。


 コォォォォコォォォォ!!!!!!



 もはや、敵の顔すら認識出来ないだろう。

 でも白狐の目は生にしがみついている。



 足掻くみっとも無くとも生にしがみつく白狐



 コォォォォ!コォォォォ!コォォォォ!!!



 白狐はおそらく、最後の力を振り絞り魔力を溜める。



 女性像もその場から動かず両の手に魔力を溜める。


「クハハハ!ヒャハハハ(笑)」



「ダメだぞ♪♪」



魔力制限マジックダウン



氷属性制限アイスダウン



 クゥゥン


 アルベールの唱えたデバフに白狐は溜めていた魔力も無くなり女性像から放たれた炎、雷属性の魔法を前になす統べなく倒れた。



「グッパイ♪♪」





「お前の寒さ以上の寒さを俺は知っている…」



 ◇◇◇◇◇◇◇◇



「オトウトヨ、ソレハワレワレニタイスルクツジョクダ。」

{弟よ、それは我々に対する侮辱だ。}



「何だっ!!何事だ!!!」

「敵ですっ!化け物が空からっ」

「くはっ」

「きゃー!!」

「うわー!」


 グサッ!


 スパンッ!!


「きゃー!!」


 グサッ!


「うわー!」

「ぐはっ、」



「シシテツグナエッ!!シシテツグナエ。」

{死して償えっ!!死して償え。}




「ツミヲジカクシロ、ツミヲセイサンシロ。コレガオマエタチノツミダ。」

{罪を自覚しろ、罪を精算しろ。これがお前達の罪だ。}



「パパ…?」

 …

「ママ?」


「ねぇねぇ起きてよっ!!ねぇ起きてよっ!!」


 どうしたの?2人共?

 起きてよ!



「パパ、ママッ!!」


 起きてよ!

 ねぇ何でこんなに冷たいの?

 ねぇどうしたの?


「ねぇ!!」



 それは突然の事だった。二足歩行の化け物が人類に対して何かしらの恨みを持ち怒りの感情を覚え人類を虐殺し始めた。



 ◇◇◇◇◇◇◇◇



 90Fを攻略しそのまま91Fを目指したアルベールとクロムはフロアボスまで到達していた。


 91Fのフロアボスは金鎧。



「金鎧は弱体化魔法、デバフを使ういいな?」



「はい!」



「でも、私はいつも通り端でアルベール様の邪魔をしませんわ!!」



「いや、折角だからクロム。一緒に討伐しよう。ここまで一緒に来た訳だし、ここが最後だからね。それに、この経験は後ちにクロムにとって大きな経験と言う財産になると思うんだ。君のこれからの冒険者としてのキャリアに置いて必要不可欠な物だよ。だから、一緒に行くよ。」



「えっ!?でも、私では……」



「問題ない。俺を信じろ。」



 付与を掛けても金鎧にデバフでプラマイ0。

 火力がなく、ジリ貧になる。

 これが91Fの難題。





 大きなドクロのネックレスを外しながら金鎧に使ってください歩くアルベール。

 後を、追うクロム。



 金鎧がこちらに気付く。



 外したネックレスを地面に落とす。


 ネックレスは地面に吸い込まれ辺り一面に小さな魔方陣が出現した。



「踊り狂え!!!!!!!!!!」






残骸骨ざんがいこつむくろ!!!」


 小さな魔方陣から骨の形をしたアンデット(骸)達が召喚された。

 召喚されたアンデット(骸)達は「残骸骨・骸」をお経の様に繰り返している。



 金鎧目掛けてアンデット達が動き出す。


 ただ、金鎧はフロアボス。しかも91Fの。

 デバフを使用しながら崩れない金鎧。





「クロム!行くぞっ!」


「はいっ!」



 アンデット(骸)達がお経を止めて魔法を唱え始めた。


(まさか、これ付与魔法!!……)

 驚くクロム。

(しかもこの感じ重ね掛け……だよね……)


(もしかして、この骸1体に対して付与倍率を得られるの?)



「クロム!慣れてないと思うけど行くぞ!!」


「はい!」



 身体強化 フィジカルアップ 1.2倍

 オリジナル身体強化 アジリティアップ 2.0倍

 オリジナル身体強化2 インテンシティアップ 2.5倍

 骸1体の倍率が 1.5倍

 それが約この場に3500体近く居る。

 更に攻撃が当たる度に、瞬間火力強化でその攻撃を100倍に押し上げる事が出来る。




「クロムは左手を狙えっ!俺は右手と首を斬るから!自分を信じろっ!!大丈夫だからっ!」



「はいっ!!」



 スパンッ!!


 スパンッ!!





 刹那。









 地面に横たわる金鎧。








 魔石の回収も終わる。

 色は金色。




 この日は、これで切り上げた。


 ロムのコメント

 ・えっ!

 ・え

 ・えっ

 ・何がおきたの?

 ・わからないwww

 ・おいおいコイツら……マジかよ!!

 ・速くて見えなかったんじゃね?

 ・ヤバすぎだろ!!!

 ・誰だよ!勇者墜ちとか言った奴は!!!








 3日目となる翌日、アルベールとクロムは91Fを5回攻略し錬金術の素材を確保出来、笑顔のアルベール。

 連日、最愛のアルベールと一緒に入れて笑顔のクロム。

 ロムを通じて驚愕し、新たな推し活の対象を見つけた人々も笑顔。






作者より

みんな笑顔で愛でたし愛でたし。

Love&Peace



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