表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

10/12

sideノルン 泣き顔



 僕は体の弱い母さんと、レイト村という王都から歩いて3日くらいの所にある小さな村で畑を耕しながら育った。

 レイト村のノルン、これが僕の名前だ。


 父さんはは僕が生まれて直ぐに亡くなったらしい。だから、顔を見た事は無い。


 僕が6歳の時に母さんの病が悪化して日に日に痩せていき見るからに衰弱していった。



「ノルン…ごめんね。何もしてあげられなくて…」



「母さん…母さん!!!」



 母さんは最後の言葉と家を残して旅立った。

 次の日には母さんの体は冷たくなっていた。

 冷たくなった母さんを村の人達に助けて貰いながら焼いて残った遺骨を父さんのお墓の横に埋めた。



 バゴォン!!!

 ドォーン!!!



 ある時、村に台風、地割れ、更に何処からあがったのか火災により僕の生活は一変した。



「家がっ!!!」



 母さんが残してくれた家が…

 どうにかして火を消さないと。

 母さんの形見なんだ。

 火を消さないと。



「おいっ!!ノルン、早くこっちに来い!!!」

「そうだ!そこはノルン危ないっ!!!」



「嫌だっ!母さんの形見なんだ!!!火を消さないと!!!」



「ヤバい、崩れるぞ!」

「あぁ急いで連れ出すぞ!!!」

「ノルンこっちに来い!!」


 村人達はノルンを抱き上げその場を後にした。



「嫌だ!嫌だ!母さん!!母さん!!!」



「家がっ!!!家がっ!!!」



 そんな中、黒髪の少年と出会った。


「大丈夫?」


「家が…家がっ!うぅ…うぅうぅ。家がっ!!!」


 少年はアレクサンダー・アーノルド・アルベールと言う。

 純粋にカッコ良かった!!

 名前のどの部分が地名なのか聞いたら、少年は全て名前だと言う。

 少年に自分の名前を言い、素直に自分も少年の様な名前が欲しい。と呟いた。



「ノルン・レイト・イェガーなんてどうかな?きっとそれがこれからのノルンの人生の原動力になるよ。ルーツはその人の力になるよ。」



「うん、そうする。絶対に忘れない、これが僕のルーツ?でいんだよね?それにカッコいいし気に入ったよ。」



「うん。」



 そこから少年と共に行動をするようになり、生きる為に冒険者になった。



 そこからは、もう僕たちは凄かった。

 誰も止められない破竹の勢いで名だたるクラン、冒険者達と肩を並べて、気がついたら勇者パーティーなんて言われるようになった。




 ◇◇◇◇◇◇◇◇


 94Fフロアボス 紫蛙



「我が心っ!我が刃となれ!!」

聖騎士ロイヤル・パラディン!」

 ノルンの体を金色の魔力が包む。


【罪亡き罰が暴君の諸行ならば

 愛ある罪は聖者の愚行か?

 悪を切り裂き道標となれ

 お前の罪を数えろ!!】



「ウオォォォ!!」

 行くぞぉぉ!



聖十字ホーリークロス!!」


 バンッ!!



「やったか!?ハァハァ」



「兄弟っ!!!」

「ノルンッ!」

「ノルンッ!!!」

「ノルンッ!!」



 ◇◇◇◇◇◇◇◇


 94F攻略失敗から昏睡状態だったこの男も遂に目を覚ます。



 僕の名前はノルン・レイト・イェガー。

 幼馴染と【黄金の輝き】という少数精鋭のクランで冒険者をしている。



 93Fを攻略して94Fに挑んだんだ。



 あれ?



 なんか記憶が……



 曖昧なんだよね………………

 94Fのあの毒蛙と戦った記憶はある…………



 けど……勝った記憶は……無い。



 でも生きてるって事は…………



 攻略したんだ……と思う……



 ごめんよ、アルまた、足を引っ張ってしまって。



 早くみんなに逢いたいな……



 ◇◇◇◇◇◇◇◇



 目を覚まして治療院を退院した。


 目を覚まして直ぐティラ、ネル、キャロル3人の顔を見た。

 記憶が曖昧だったから聞いた。

 94Fは失敗したと…


 でも、誰も怪我はしていないと聞いて安心した。

 深層の失敗は死だ。

 五体満足で帰ってこれただけでも喜ばないと♪



 午後に何の異常もないからと退院の許可がでたから屋敷に帰る事を女性陣に伝えたら喜んでくれた。


 でも、そこにアルは居なかった。


 もしかして、怒ってるかな…?

 いや、怒ってるに違いない。

 アルだけは94F攻略に反対だったし……

 帰ったら謝ろう。




【黄金の輝き】本部兼屋敷に帰って来た。


 何か妙だ…


 さっきからアルの気配を感じない……


 急いでアルの部屋を訪れたら空だった。

 ちり1つ無い。


 視界に映ったネルに問いただした。

「ネル!アルは!?アルは何処!?」


「アルなら抜けたわよ!!」



「えっ!………」


「…」


「何で…?」



「どうしたの?2人とも。ネル、今日はこの後、顔合わせがあるって言ったでしょう?」


「あぁ、今日だったっけ?」


「顔合わせ…君達は何を言ってるんだ?」


「アルの代わりの新しいディフェンダーよ!

 これで、連携を高めて次こそは94F攻略よ!」

 能天気な自称、天才系女子ネルが大口を叩く。


「えぇ、そうね。」

 眼鏡をクイッとキャロルが軽口を叩く。




「…追放…したのか?アルを…アルの事を…」


 今まで見た事も無い、感じた事も無いノルンの圧にビビる2人。



「「…」」




「アルベールの事を追放したのかと聞いてるんだよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」




「……う、ん……」

 ネル


 キャロルはビビり過ぎてコクンと頷く事しか出来ない。



「ティラ!!!ティラ!!!!!」


 屋敷内を大声で探すノルン。

 ノルンの後ろを歩くネル、キャロル



「どうしたの?ノルン。」

 ティラが不思議そうに反応した。





「ア、アルが居ないんだ……」

 ふぅーふぅー怒りを抑える。

「屋敷の何処を探してもアルベールが居ないんだ。」




「…」




 ふぅーふぅー。 怒りを抑える。

「詳しく聞かせて貰えないか?」




 丸いテーブルを4人で座り顔合わせの時間まで、

 何があったかを詳しく聞いた。

 彼女達の気持ちを考えれば理解は出来なくもない。

 が、したくもない。

 同意なんてまったく出来ない。



 ふぅーふぅーふぅーふぅー。


「先ずはネル!キャロル!」


「僕はあれほど言ってきたはずだ!!」


「アルは上級魔法以上を使えないんじゃ無い。身に付けた呪具で使えないだけだと。」


 ふぅーふぅーふぅーふぅー。


「ネルが加入する前後は空前の魔術師ブームが来て魔術師を探すのに困らなかった。でも逆にAランク以上の剣士を探すのに困っていたんだ。これは僕達だけじゃない。」


「だから、僕も、アルも前衛として後衛を探してたんだよ。探すのに困らなかったからね?」


 ふぅーふぅーふぅーふぅー。


「ここまでは……いいかい……?」



 コクン

 コクン

 コクン



「そもそも僕達の魔法の威力だかじゃ90F以上なんて攻略出来ない。」



「これも、再三に渡り言ってきたよね?このパーティーの心臓且つ頭はアルだって…」



「アルが開発したオリジナル付与魔法の中には普通の付与魔法と重ね掛けが出来る付与魔法が幾つかあるだ、それに一瞬だけ100倍に近い火力を上げる魔法があるんだよ!」



 ふぅーふぅーふぅーふぅー。



「これも言ってきたがキャロルは全力で否定したよね?そんなの常識では考えられないって。でも、アルは出来るんだよ……それに、アルの名誉の為に言うがアルが探索後にスポンサーやギルド対応しないのは我が儘なんかじゃない。」



 ふぅーふぅーふぅーふぅー。



「深層攻略出来るように魔導具を初めとした物を作ってたんだぞ!!!!!」

 押さえきれない怒りが口調を強くする。


「……」

「……」

「……」



「ティラ…」



「君は知ってたはずだよね…?」



「…」



「全部……」






 ティラ・スタンスミスは知っていた。

 何度も言うが彼女は知っていた。

 いや、正確には見えていた。


 魔法を放った後に、空気中に飛び散る魔力因子を肉眼で拝める事が出来る彼女は聖霊も直視出来る。


 聖霊は魔力因子から生まれたり、それを食べたりする。


 だから彼女は聖霊から力を貸して貰える。

 彼女のアビリティ【聖霊共有】がそれを可能にする。でも、それは本来見たくない物も見えてしまう。


 そう、呪具を身に付けたアルベールの周りに居る、沢山の死霊を。


 だが、彼女が決定的にアルベールを許せなくなったのは想い人、ノルンが事有ることにアルベールを称賛していたからだ。


(私も見て。私も見て。私も見て。私も見て。)


 抑えられない嫉妬という感情。


 ノルンは純粋にアルベールを称えたが、ネルやキャロル達に対して一種の牽制でもあった。

 こうなる予兆を常に感じながら活動していたからだ……。



 だが、ネルはまだしもティラはパーティーに不可欠。彼女の性格や人間性を一旦外して魔術師として考えると超一流なのだ。

 聖霊からの援護、つまり聖霊の加護に選らばらた後衛アタッカー。



 自分のアビリティは本当に信用信頼を出来る人間にのみ報告する。ノルン、アルベール、ティラの3人で冒険した直後からノルンはアルベールからティラは魔術師として超一流であり、俺達は当たりを引いたと言われ、後にティラからは自身のアビリティを打ち明けられておりティラが何で魔術師として超一流なのかを理解した。



 一緒に冒険者としての登録したアルベールとノルンの2人。

 アルベールはともかく、ノルンには当然クランを大きく、パーティーを大きくしたいという野望を持っていた。その為には彼女が必要不可欠だった。



 二者択一。

 ノルンに落ち度は無い。

 彼も鈍感ではない。

 彼女3人が自分に想いを寄せている事くらい知っていた。でも、誰とも男女の関係には至ってない。


 アルベールの事を性的な目ではみていない。

 純粋に女性が好き。だから彼女達の好意は嬉しかった。でも、自分と彼女達が関係を結べばアルベールのパーティー内の立場は瞬く間に悪くなる。



 だから、彼は友と女。

 どちらを愛すか?

 その選択で友を選んだはず…


 だったが、


 本質的な部分では選びきれなかったのだろう。

 その膿が破裂しただけ。






 ノルンだけ顔合わせを体調不良で欠席した。

 顔合わせの場所は本来、屋敷で行う予定だったが変更して貰い近くのカフェで行っていた。





 1人きりの本部兼屋敷。




「あぁぁぁぁぁぁーーー」



 ポロポロポロポロポロポロポロ

 ポロポロポロポロポロポロポロ



「うぅ……うゎゎゎゎあぁぁぁぁ」



 ポロポロポロポロポロポロポロ

 ポロポロポロポロポロポロポロ


「アル…ごめんよ……」



 ポロポロポロポロポロポロポロ

 ポロポロポロポロポロポロポロ


「…僕が…弱いから…ごめんよ…」



 ポロポロポロポロポロポロポロ

 ポロポロポロポロポロポロポロ



「……守って…上がられなくて。」



 ポロポロポロポロポロポロポロ

 ポロポロポロポロポロポロポロ



「あぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁ」



 ポロポロポロポロポロポロポロ

 ポロポロポロポロポロポロポロ



「うぅ………うぅぅぅ…」



 ポロポロポロポロポロポロポロ

 ポロポロポロポロポロポロポロ



「うぅ……うゎゎゎゎあぁぁぁぁ」



 ポロポロポロポロポロポロポロ

 ポロポロポロポロポロポロポロ



 ポロポロポロポロポロポロポロ

 ポロポロポロポロポロポロポロ





「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁあぁぁぁ」





 金髪の端正な顔立ちの青年は顔をクチャクチャにして人目を憚らず目、鼻、口から沢山の水を流して、感情を露にした。





作者より

女性陣から支持が無く追放された主人公アルベール

→笑顔


女性陣から圧倒的に支持されているノルン

→泣き顔


対比して書いたつもりです。

だから、何?って話ですが(笑)



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ