龍の滝登り
クロムとの3日間に渡るダンジョン攻略経たアルベールは【青空の龍】の本部に呼ばれていた。
あーダルい…
何で他所様の本部なんか来なくちゃ行けないんだか?まぁ仕方ないけどさ…
どっちだ?
A.クロムへの91F攻略を感謝される?
B.自分の所の冒険者と無断で冒険してる訳だからその事に関して注意換気か?
さぁどっち?
クロムは許可を取ったとは言ったが正直怪しい…別に彼女を疑ってる訳ではないが、会話が半分近く儘ならない彼女が許可を?想像出来ないんだよな~。
「今日は来てくれてありがとう。」
総帥アンソニーが頭を下げる。
「来た。と言うより連行された。が近いけどね~」
ギロッとアンソニーに左手に立つデュークを睨むアルベール。
「まぁまぁまぁ、そんなデュークを責めないでやって来れ。私の指示なんだ。」
「君は、クロムとダンジョン攻略をしたよね?」
「あぁ……」
「本当に申し訳ない。これで納めてくれないか。」再度頭を下げ、分厚い封筒を出させる。
「クロムには私の方からもキツく言っておいた。」
「そこまで気にする事は無いですよ?それと、今回は受け取りません。」
「切っ掛けはクロムかもしれませんが、彼女の話を聞いて彼女を同行を許可したのは自分なので。」
「それに素材は全部、俺が貰ったわけですし……」
「ありがとう。君の寛大な心に感謝する。」
また、頭を下げるアンソニー。
「それでなんだが、それとは別で君の強さを見込んで依頼をしたいんだ。」
強さ?
何言ってんだ?このオッサンは。
俺は勇者パーティーを追放された無能ディフェンダーですぜ!!
無能の意味わかってますか?
しかも、アタッカーならまだしも、役割はディフェンダーですぜ?
何を勘違いしてるんだか?ボケか?もうボケが進んでるのか?
「あの、先日もお話したと思うんですけど俺は勇者パーティーを追放された身。強くないですよ?しかも、黄金での役割はディフェンダー。アタッカーじゃありませんよ?何を期待されてるかわかりませんが?」
「ガハハハハハ。」
何?何?何?
何を笑ってる?
笑う所があったか?
ちっとも面白くないですけど?
「いやー、すまない。種明かしをしよう。実はね、クロムとの共闘は彼女が私達のロム使用して配信していたんだよ。」
はっ!!
何やってんの!? あの娘はっ!!
おいおいおい、クロムさん流石にそれは不味いですよ?何で勝手に撮影+配信してるの?もぅやだ…
何が狙いなの?
彼女は何をしたいの?
俺を利用して何をしたいのよ。
「クロムからの話で私達も知ったんだがね、それで、どうだろう?君の強さを見込んでここに居るデューク率いる第1部隊を90Fまで攻略させて貰えないか?」
「…」
「勿論、依頼だから金はだすよ!?金額は税抜き、86~89の4階層は1階層につき1億5000万。90階は3億でどうだろう?素材は全部、君が持って帰っていいから。」
「なぁ、アルベール恥ずかしい話、アルバスさんが居なくなってから90F以上どころか俺達は85F止まりなんだ。みんな、アルバスさんと比べちゃって少し自信を失くしてるんだ。」デュークが口を開く。
はいっ!出たー。
堅物、正義感強めリーダー。
まぁパーティーのメンバーからしたら、リーダーとしてコイツみたいのが居れば頼もしくも感じるだろうが、外野の俺みたいな人間からしたら鬱陶しいだけ。
リーダーとして、パーティーメンバーの自信を取り戻したい。それはそれは、素晴らしい思いやりであり、リーダーシップだけど結局は他人任せ。俺からすればお前が力をつけて引っ張ればいいんじゃないか?って思う訳だが…
「特にクロムはあれでも重圧に苦しんでたんだ。最近はなんか楽しそうだけどな。」
「私達としては、君という安全装置の様な冒険者に同行して貰う事でデューク達が経験を積める。有難い話だ。」
「俺は少しでもみんなに自信を取り戻して欲しいだ。頼む。」手を合わせながら頭を下げるデューク。
まぁコイツの、無駄な正義感とリーダーシップを抜きに考えると破格かどうかは知らないが、良い条件だな。
金もそうだが、素材を全部持ち帰れるなら、俺にとってはこれ以上ない条件だ。別に報酬無しでも受けてやってもいいくらいだな。なんだかんだ、深層の素材を売ってから金には困ってない訳だから。だが、貰う。なぜなら正当な報酬だからな。ニヒヒヒヒ(笑)
「よし、その話乗った。」
「ありがとう。」
「俺からも感謝するよ。ありがとうアルベール。」
第1部隊率いるデュークが右手を差し出してきた。
契約書を書き終え、
「なんなら、今から行くか?今日と明日の2日間。」
「大丈夫か?体は。」
驚きながら心配するアンソニー
「そうだよ!3日間、潜りっぱなしだったんだろ?」
身ぶり手振りするデューク
「問題ない。それよりも俺は忙しいんだ。それはそれはこの世の人間にはわからないくらい忙しいんだ。だから体よりも、時間が惜しいんだ。問題無いなら、俺も問題無いから直ぐにでも行きたいんだが?連携も最低限でいい。と言うか、いらない。」
「あぁわかった。なら、直ぐにみんな所へ案内するよ。ついてきてくれ。」
そこから顔合わせを終えた。
ジーク・キャラガー 男
格闘家 前衛ディフェンダー
ドレイク・レイク 男
魔術師 後衛アタッカー
モミジ・カエデ 女
回復師 後衛サポーター
デューク・スターリング 男
付与術師 リーダー
クロム・レストレンジ 女
アルベール教 熱心な信者
少し変わってる女子
【牛飲馬食】
食べれば食べるほど牛や馬のような筋力を得られる。アビリティのせいで、筋肉質。華奢だが服の下はゴリゴリの細マッチョでヤンデレ気味な娘。
「じゃあ確認だが、これから86,87,88階層を攻略するんだな?」真剣なデューク 。
「あぁ…で、明日89,90を攻略する。時間が惜しいから連携面は取り敢えず各自で俺の動きを見て邪魔しないでくれると助かる。まぁ色々、思う事はあるかもしれないが1つ俺が居る事で命の保証はしてやる。」
86Fフロアボス 緑牛
「魔力強化!!」
「ドレイクッ!!特級魔法だ!」
「身体強化!!」
デュークが指示を出し、付与術師として抜群の存在感を放っていた。
こいつ、道中での俺達に対する気配りといい、魔物に対しての対応力、何より戦況が読める。視野が広いな。
まぁ地味だけど…プププ。
付与術師なんて目立つ役職じゃないから仕方ないんだけどね~。
1日目も2日目を予定通り進んだ。
90Fフロアボス 白狐
第1部隊の面々が腕を擦りながら嘆く
「うぅ~寒ぃ~」
「確かに寒いな……」
「あぁ寒いな」
「最初から全力で行く!!!!!」
「喜び悦べ!!!!!」
「零式・閻魔骸狂八咫烏」
「身体制限」
「魔力制限」
「氷属性制限」
デュークは再度、驚いていた。
付与と違い、タイミングが合わなければ発動しない且つ術式が重たいデバフ(能力低下、能力制限)を同じ感覚で白狐に掛けている事に。
自分は出来るか?
否。
不可能。
(90Fのフロアボスにその感じでデバフかよ…)
(こいつはマジで化け物だ…)
アルバス・サンダースと対面した時ですら、こんな気持ちになった事は無かった。
この場でデュークはアルベールを目指すべき人物として心に刻んだ。
「やりましたわ~。」
「よしっ!!」
「やったわね!」
「アルベール様のお陰ですわ~。」
「まぁね。でも、前も言ったけどこの経験がクロム達をより高みに導いてくれるよ?頑張ってね。」
「はいっ!」
「あれ、刃こぼれしてる?」
「えぇ最近、特に酷くて…」
「なら、俺が打って上げるよ。自前の工房とかが無いから、工房探しから始めないといけないから時間は掛かるけど…」
「本当ですか?」
「今さら、嘘はつかないよ(笑)」
「なら、お願いします。勿論、お金も払いますので後で請求してください。」
「ハハハ、お金はいらないよ。打つだけだからね。工房さえ見つかれば直ぐだから。じゃあ帰ろうか?」
「はい。それにしても、本当にアルベール様は器用で多才ですわね。」
「まぁ経験じゃない?色々とやったからね?」
◇◇◇◇◇◇◇◇
白狐を無事倒した翌日、【青空の龍】本部に呼ばれていた。
アルベールはギルドマスターのアンソニーと再び対面していた。
「本当にありがとう。本来、経験は金では買えないからね。」
「いえいえ、こちらこそ良い商売になりました。大金と素材とでウハウハですよ(笑)ありがとうございます。」
「また、よろしく頼むよ。それにしても、アルバスの言った通りだったよ。私は元々、このクランのスカウト部門を担当していてね、アルバスをウチにスカウトと言うと大それた様に聞こえるが、アルバスに龍に入らないかと1番最初に声を掛けたのは私なんだ。彼の強さは聞いていたし事情が事情だったから色々な伝を使ってね。勿論、彼の冒険者としての能力を買ってだがね。そんな、アルバスが君の事を高く評価していてね、まぁ私は君への評価は世間一般の評価に対して毛が生えた程度だった訳だが…自分が恥ずかしくなるよ。」
「まぁ、そういう時もあるんじゃないですか?別に恥じる必要は無いかと思いますが?むしろ追放される前の俺の評価なんてその辺の野糞以下だった訳ですし…」
「だが、君は自分の力でひっくり返した。それが事実だ。道端のよくある石ころと言う評価は間違えでダイヤモンドだと君は証明した素晴らしい事じゃないか?君がクランに属さない事は聞いたが、もしクランが恋しくなったらいつでも待ってるよ。」
「ハハハそんな時が来るのか?来ないのか?神のみぞ知る事ですね。まぁまた何かあれば、その時はよろしくです。じゃあ、また。」
「おーい!!」
アルベールが本部兼屋敷の門を潜り抜けようとした時、後ろからデュークが走って向かってきた。
「アルベール、ありがとうな。」
「いや~こっちは仕事だから。でも、冒険は楽しかったよ。思っていた以上に全員動けていたし、90F自力討伐も夢じゃないだろ?」
「あぁ、絶対に攻略する。それに俺は1つ新たな目標が出来たからな。」
「そうか。」
「なぁアルベール、俺はお前に!!!」
ん?
何だ?
「俺は……お前に絶対に追い付く。お前からすれば俺は頼りない底辺冒険者かもしれない。だから、……必ず……追い付く。底辺から登って頂を……頂の景色を見る。その時は!!また、一緒に冒険しようぜ!」
デュークの言葉は覇気が宿っており確かな覚悟が感じられた。だが、その言葉はアルベールとの冒険で自分が下という事を無意識にでも、自覚してしまったから出た言葉だ。
この依頼をアルベールに打診した時のリーダーとしてパーティーメンバーの精神的な部分も考えた頼もしいデュークはここには居ない。
1人の冒険者として、
付与術師として、
格上を間近で感じてしまったがゆえ、自分の事で頭も手もいっぱいいっぱいな状態になっていた。
「フンッ。あぁ 待ってる。」
「じゃあな…」
アルベールは短く返事を屋敷を出た。
でもよ…
アンタが自信を亡くしてどうすんだよ。
アルベールはデュークの精神的な部分を見透かしたが敢えて何も言わずその場を後にした。
◇◇◇◇◇◇◇◇
「ねぇアル。」
「何?ターニア。」
「あの人も良かったね。」
「何がよ?」
「自分の道標がわかって。貴方なら、気付かれずに魔物を弱体化出来たでしょ?隠しても無駄よ。歴史から消えた天才さん♪」
「さぁね~。そんな意地悪な言い方するなら、俺はこれから、ターニアの事を無視する。」
「ごめん、ごめん。でも、フフフ相変わらず優しいわね。そういう所ばっかり覚えちゃって…だから貴方は損するのよ。」
「なぁ…」
「何かしら?」
「全部見てたの?」
「勿論よ。」
「ならさ、クロムが俺に無断でロムを使ってたの知ってたでしょ?そっちを止めて欲しかったんだけど…」
「さぁね~。」
「ターニアッ!!」
「怒らないでよ。だってあの娘からは貴方に対する嫌な感じがしなかったし、それにあの娘のお陰で貴方はスーパースターへの道まっしぐらよ?良かったじゃない。これで、貴方もあの頃みたいに正当な評価を受けれる訳よ。私は嬉しいわ。これからの貴方の冒険者としてのキャリアを想像するだけで胸が踊るわ。消えた天才がここに来て開花するなんて夢物語だわ。」
「他人事だからって…絶対、面倒事に巻き込まれるよね?そしたらターニアも道連れにするから。覚悟しておいてね♪こういう時だけ、逃げないでね?もし逃げたら、また君から逃げるから(笑)」
「うぅ…ごめんって…」
「まぁ過ぎた事を言ってもきりが無いから仕方ないけど…謝罪以外のその反応…自分は知らないフリをしようとしてただろ?許さないよ?マジでダルかったんだからっ!!今日はご飯抜きね?(笑)」
「私、ご飯食べないよ?(笑)」
「知ってる。言ってみたかっただけだから(笑)」
「ねぇ悪くないんじゃない?」
「そうだね…」
疲れるけど、嫌な疲れ方じゃないかな?
毎日は流石に嫌だけど…
こういうのも、悪くないかな?
その日、【青空の龍】のスポンサー達は臨時メンバーが主に活躍したとは言え、90Fを攻略し世間的にも【青空の龍】の名前が浮上した事を心から喜んだが、それはそれは大きな、とても大切で大事な物を犠牲にした上で成り立っている事を知る由もない。
作者より
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キャラクターが沢山出て来てごちゃごちゃしてますが
主人公アルベール→軽薄な言動などで周りから嫌悪感を抱かれてるが、実力のある冒険者からは支持されている。
愛称 アル
聖霊の女王 ティターニア →初めて自分の意思で主人公アルベールの側に居る事を決意した。
愛称 ターニア
現状はこの2人だけ覚えて頂ければ幸いです。




