少しずつ少しずつ。
「ロムも結構、種類があるんだね?」
「そうね。なんか選ぶだけで疲れるわね。」
俺は自分専用のロムを買いに来ていた。
「それにするの?」
「うん。これでいんじゃない?別に本気で配信をやる訳じゃないから…どう思うターニア?」
「画質とかは同じなの?そこ重要でしょ?」
「画質はどっちも変わらないけど、見た目と動画と配信のどっちに適してるかだから、俺は1人だし編集する時間がないから動画は無理だから、配信しかないじゃん?」
「確かにね~。でも、配信も本気でやらないなら下の棚のでもいんじゃない?だって手に持ってるのって1番高い奴でしょ?」
「まぁそうだけど…じゃあ下のでいいかな?確かに言われるとそうなんだよね、本気でやるつもりも無いのに1番高い物を選ばなくてもいいもんね?」
「えぇ、下のでいんじゃない?お金は大切よ。」
「じゃあ、これにするよ。レジに行ってくる。」
「毎度、ありがとうございます!!」
「へ~い。また、来ます。」
ガチャ。
折角だから、何処かで昼飯を食べるか!
ハンバーガーかラーメンだな~。
「アルくーん!!」
タタタタッタタッタタタタッタタ!!
後ろから私服姿のルシェラが走ってくる。
「おぉー!ルッシェラさ~ん!お久しぶりです!!」
「うん。久し振り。何してたの?」
「ロム買って、これから飯食べようとしてた所です。」
「それなら、一緒にどう?」
(少しずつ少しずつ。落ち着け私、落ち着け私。)
「一緒にですか?別に大丈夫ですよ!何にしますか?もし良かったら奢りますよ♪」
「…」
「ルシェラ…さん?」
「あ、あの……そそそれでね……アル…君がもし、良かったら、私の手料理をご馳走しようかな~なんて……」
「…」
「駄目……かな?」
上目遣いで聞いてくるルシェラ。
(言葉が…出てこないよ……お願いっ!!)
「えっと……嬉しいんですけど、何でまた急に?」
「最近、アル君頑張ってるから……私も何か出来る事無いかなって」
(押し込め!押し込め!行け行け私ー!!)
「それに、私のアビリティ、知ってるでしょ?それで、少しでも応援になるかな~って…」
「迷惑じゃ?…」
「全然全然。迷惑なんかじゃないよ!!」
(イケる!イケる! 落城寸前だー!!)
「じゃあ、頂きます。ヘヘヘヘッ。ルシェラさんの手料理、楽しみだな~」
◇◇◇◇◇◇◇◇
オムライス、ハンバーグ、サラダが並んだ。
ウマー!!!!!
サラダはパリパリ!!
オムライスもハンバーグも最高!!
毎日でも、食べたいな♪♪
夢中で食べていると、ルシェラさんがこっちを見ており目が合う。
目を逸らされる。
「ルシェラさん!!ちょー美味しいです!!」
「本当に?嘘じゃない?」
コクン
ムシャムシャ
モグモグ
コクン
ムシャムシャ
モグモグ
「はいっ!本当においひいです。」
「そう…ねぇ最近どう?」
「最近ですか?……まぁボチボチですかね?」
「無理してない?」
「無理……ですか?無理は……しちゃ…いけないんですかね?人間どっかで、踏ん張らないといけない時って来ると思うんですよ。無理をしてでも。」
「…」
「たぶん、俺は今がそう。まったく1回も望んだ事は無いのに難が去れば次の難。それに今は、昔より自分の弱さを受け入れて泣けるようになったんです。強がって虚勢を張って何処かに自分の心を置き去りにしていた昔よりも、今は心が側に居る感じがして…何だか昔に戻ったと言うか…素直になれたと言うか…まぁ言葉にするのは難しいですけど俺は俺の事を好きになりかけているのかもしれません…」
「…」
「少しずつ少しずつ…」
「…」
「自分の弱さを強さに変えられれば良いかなって、綺麗事ですけど、でも本当にそう考える様になったんです。散々、泣いて喚いて周りから見てもダサくてカッコ悪くてどうしようもない姿を晒したとしても、それはそれでちゃんと歩めてるのかなって…大切なのは体と心が同じ場所に居るって事かなって、中々難しいですけどねハハハ。」
「…」
「それに、俺は男ですから、多少の無理はしないと。ハハハハハハあっ!なんかすいません。」
「ううん、そっか。だからかな?アル君の表情1つ取っても憑き物が落ちた感じがして、なんだかこの数日で大きくなったね、アル君。」
ついつい口が滑っちまった!!
なんか、ルシェラさんだからか話しやすくて、要らぬ事まで、しかもルシェラさんを攻撃したみたいな感じになっちゃった。
空気が重いな…
話題を変えよう。
「あの、ルシェラさん!工房とかに伝とかってありますか?」
「工房?」
「【青空の龍】のクロムに武器を作る約束をしたので…」
|д゜)ジー
「クロム?」
一瞬、険しい顔をするルシェラ。
「あぁ、一緒に冒険した女の子 よ・ね?」
「うん。あんまり詳しい事は知らないけど、アルバスの後任としてエースを努めてるんですよね?」
「えぇ、そうよ。彼女は龍の看板冒険者よ。後は第1部隊のリーダーを勤めるデュークさんとか、かしら?」
「あぁ、あの正義感強めのリーダーか…確かにスタイルは地味だけど、顔も良いしモテそうだもな~。顔が良ければプレイスタイルなんて世の女の子からしたら二の次ですもんね?」
「う~ん。と言うより、リーダーだからじゃない?プレイスタイルの事を言うなら虎の第3部隊レインさんも同じ付与術師だけど、リーダーだから看板冒険者になるんじょない?」
「いや、虎はソフィアにカルロスってジジイにあのドレッドのヤバいのが看板でしょ?」
「確かに、カルロスさんにジャバウォックさんが居れば看板冒険者としては充分ね。あぁ、それで話を戻すわね。1人、幼馴染で鍛治士の娘がいるわ。でも、鍛治場を貸して欲しいって事よね…?」
「はい。」
「まぁ、紹介は出来るけどアル君の望み通りに行くかわからないよ?」
◇◇◇◇◇◇◇◇
「で、コイツが鍛治場を借りたいと?……」
「えぇアル君は昔、レイズ工房で見習いとして働いていた事があるんだよ?」
…
遡る事、少し前。
ルシェラに紹介されたのは、国内有数の【アルフレッド工房】だった。
「シルフィー。シルフィー。」
カンカン!
カンカン!
「シルフィー!シルフィー!」
ん!?
「あっ!ルシェラじゃないか!!どうしたんだ?」
「ちょっと話があるんだ。」
「じゃあ裏で聞こうか。」
◇◇◇◇◇◇◇◇
彼女の名前はシルフィード・アルフレッド
【アルフレッド工房】の次女
ルシェラと同じ26歳の二つ縛りをした赤髪の小柄な女性。
アビリティ=【自剛血得】じこうじとく
素材入手の為に度々、冒険者としても活動しており最高72FのAランクの実績がある。
そして、今に戻る。
アルベールの真向かいにシルフィード、左隣にルシェラが四人席のテーブルに座る
「お前舐めてんのか!!」
「ッ!…」
「冒険者に取って武器は命だろ。金がねぇんだか知らねぇが!!!!!あんまり、ふざけてると命、落とすぞ!!」
「シルフィー、アル君はこないだ2人で91Fを攻略した凄腕の冒険者なんだよ。それも、1日に5回も。」
「ふぅーん」
席を立ち腕組をしながら、顔から体までアルベールを見定める、シルフィード。
思ってた以上に高圧的だな…
なんか品定めをしてるのか?
俺は評判悪いからな~。貸して貰えないかな?
そしたらもう、鍜冶場を作っちゃう?
そこそこ、広い家を買って鍜冶場を作れれば…
でも、問題は…
今回の物を作り終えれば当分いらなくなるよね?
そこがな~。
「まぁまぁ。」
「何だ、その空かした感じはっ!!このボケェェナス!!!喧嘩売ってんのか? あ?」
「いやいや、そんなつもりはなくて…」
「シルフィー、あんまりイジメないで。どうしてもダメなら仕方ないけど、どうかな?」
「なら、ウチからは条件は1つ。ウチとダンジョンに入って実力を証明しろ!!」
「証明ってシルフィードさんは、ダンジョンに入れるんですか?」
「あぁアル君、一応シルフィーは冒険者資格を持っていて72Fまでなら潜れるよ?」
「そうなんですか?それは凄いですね。鍜冶士なのに冒険者として活動してるなら、冒険者の気持ちがわかって一石二鳥ですね。」
「まぁな。ウチらはお前と違って遊びじゃないんでね。鉄を打つのも、魔物を倒すのも命がけよ。それに素材を自分達で取った方が安上がりだからな。」
「シルフィー落ち着いて。アル君が萎縮しちゃうから。」
「ウチはそんな冒険者の事を詳しい事は知らん。ウチが知ってるのはウチに来る冒険者くらいだからな。でも、お前は別だよ。お前は世界一、嫌われてるからなっ!!そんな嫌われ者とダンジョンに潜るって言ってんだ、感謝しろよ?」
「えぇ、ありがとうございます。」
(ん~?コイツ謝った?聞いてた…いや、世間から言われていた人物像と違くないか?今の所…普通。普通と言うか冒険者の中ではむしろ礼儀が良い方だろう。ルシェラの手前だからか?)
「フンッ!まぁいいや。条件を呑むんだな?」
「えぇ。」
「なら、ちょっと待ってろ。親父を呼んで来てやるから。」
「ようっ!!お前さんがアルベールか。俺はアルシュだ。アルフレッド家の当主だ。お前さん、鍛治が出来るんだって?」
「一応、レイズ工房って所で昔見習いをやってました。後は、この武器は自分で打ちました。」
収納バッグから愛用武器【首斬大鎌】を披露した。
「中々の代物だ。よし、シルフィーが出した案を達成してくれれば俺からは言う事は無い。」
◇◇◇◇◇◇◇◇
「コンドノサーガハアカイ。」
{今度のサーガは赤い。}
「ナゼダ?」
{何故だ?}
「オソラク、タオサレツヅケテイカリガマシテキョウカサレタノダロウ。」
{恐らく、倒され続けて怒りが増して強化されたのだろう。}
「ナラコレデ、シバラクハモンダイナイ?」
{ならこれで、暫くは問題無い?}
「イヤ、ワカラナイ。ヨゲンデハナイベツノヤツダ。ニンゲンガワニモテダレガイル。」
{いや、わからない。予言では無い別の奴だ。人間側にも手練れが居る。}
「ヨゲンナラシトガノミコンダハズ。アトハ、ソノテダレカ…」
{予言なら使徒が呑み込んだ筈。後は、その手練れか…}
「イヤナヨカンガスル。」
{嫌な予感がする。}
「トリアエズシトデヨウスヲミヨウ。」
{取り敢えず使徒で様子を見よう。}
「アァ。」
{あぁ。}
「ソレガ、1バンダナ。」
{それが、1番だな。}
「ニンゲンガワノトツゼンヘンイダナ。ホントウニイマイマシイヤツラダ。」
{人間側の突然変異だな。本当に忌々しい奴等だ。}
「ソウイエバ、ワレワレガフウインサレタコロニモオサナイコドモガヒトリ、イタナ。」
{そう言えば、我々が封印された頃にも幼い子供が1人、居たな。}
「アノコドモモヤッカイダッタナ。ノウリョクガトクテイデキナカッタシナ。」
{あの子供も厄介だったな。能力が特定出来なかったしな。}
「アァ。」
{あぁ。}
「ダガ、ニンゲンナラトックニシンデルハズ。」
{だが、人間ならとっくに死んでる筈。}
作者より
登録と応援ありがとうございます。
励みになります。
今さらですが「」と{}の文字は同じす。
読みやすくしてるだけです。他に意味はありません。
後、捕捉になりますがターニアの愛称でアルベールの側に居る聖霊の女王ティターニアは目視では確認出来ません。出来るのは聖霊共有のアビリティを持って生まれた人間のみです。今の時間軸ではアルベールを追放したティラ(女)のみになります。これはアルベールも確認出来ません。声色精査のみでターニアの感情を読み取って会話しています。
ティターニア目線では人間に話掛けられますが気味が悪いと言われるだけですので避けてる傾向があります。なので、ティターニアはいつの時代も聖霊共有を持って生まれた人間の側に居ます。仮にその時代に生まれた聖霊共有持ちの人と性格など諸々、合わなければ表舞台には出てきません。聖霊共有持ちを助けるのは義務ではなく義理。作中でターニア自身も名言していたと思いますがそういう事になります。




