慈愛
「おぉおかえりっ!!」
「あぁただいま。」
「ただいまですわ。」
「お前らどこ行ってたんだ?」
「昼飯を食べにバイキングに行ってきた。」
「えっ!?昼からバイキングかよ…お前ら凄いな。一応、ウチの母ちゃんが昼飯を作ってくれたんだけど、いらないよな?」
「マジで!?いるいる。俺は宿暮らしだからさ宿の飯も美味しいけど、やっぱり飽きちゃうんだよ。だから俺は有り難く貰うよ。」
「わかった、後で詰めとくから帰る時に持って帰ってくれ。クロムはいるか?」
「私もいいんですか?」
「あぁ勿論だ。ちゃんとクロムの分もあるぞ!」
「なら、頂きますわ。」
絶対足りないでしょ?(笑)
ねぇクロムさん。
貴方の食べる量からしたら、全然足りないでしょ?(笑)昼でバイキングを味わった俺だからこそわかる。
シルフィーのお母さんが悪い訳じゃないけど、恐らく普通の1人分の量でしょ?
そりぁ~そうだよな。
だって見た目は普通の女の子だもん。
胃袋がブラックホールなんて誰が想像つくの?
まさか、俺の分を持ち帰ったりしないよな?
それはダメよ、ダメダメ。
絶対に渡さないからな!!
「それでクロムの武器は完成したのか?」
「いや、まだだな…あれからもう1本作ったけど、なんかピンッと頭に来ないんだよな~。なんか違うんだよね。」
「そこに置いてある奴だろ?さっき見たけどよ、普通に業物だろ。それに午前中に作ってた2本もウチは良いと思うけどな。クロムはどうなんだ?」
「全部素晴らしいですわ。選べないです。」
「クロム…真剣にどう思う?」
「真剣に全部素晴らしいと思いますわ。ここから、私は選ぶんですよね?」
「いや、選ばなくていいよ。まぁそれなりに斬れるとは思うけど、俺がクロムにプレゼントしたいのとは違うんだよな~。」
「なら、この3本は頂いても?」
「別に構わないよ。予備…にしては数が多いけどどうせ鉄屑だから。弱い魔物なら戦えると思うよ。」
「ありがとうございます。3本とも有り難く使わせて頂きますわ。」
「アルは鉄屑って言ってるけど3本ともしっかりと業物だから、そこは安心していいぞ。ウチはこれでも10年以上、鍛治士として生きてるから保証出来るぞ!!」
「はいっ!!3本とも家宝にしますわ。」
「いやいや、家宝って(笑)シルフィーも嬉しいけど、俺は褒めると褒めるだけしっかりと天狗になるから気を付けてな(笑)」
「お前は少し天狗になった方がいいぞ?マジで。なんか、お前の事がよくわからないんだよな。自分の強さに対して無自覚でも勘違いしてる訳でもないし…不思議な奴だよな。」
「それは貶し?俺は貶し叱責とかに対してしっかりと凹んでやる気なくすから気を付けてな(笑)」
「面倒な奴だな(笑)」
「お互い様だろ(笑)もう、褒めるの終わり?結構、待ってるんだけど…」
「これ以上無いだろ!!何を望んでんだよ!!」
「なら、私が変わりに褒めて褒めて褒めて褒めますわ。」
「おう、頼む♪頼む♪」
「アルベール様の凄い所は先ず、その見た目でディフェンダーを勤めていた事と、本当は凄く凄く強いのにそれを今まで隠してSランクになった事と、多彩な魔法を同時に幾つも発動出来る事と、鍛治士とし「もういいだろっ!!」…」
「良くないよ、シルフィー。何で止めるんだよ。」
「これ以上はウチが可笑しくなる。何でウチの鍛治場でお前を褒めて気持ち良くさせなきゃいけねぇんだよっ!!もっと褒めて欲しいなら2人でどっか行ってやれ!!」
「ケチッ!!」
「そうですわ。もう少しだったのに…」
「うるさいっ!!本気で帰らすぞ!!!」
「「…」」
◇◇◇◇◇◇◇◇
「これがアルの分で、こっちがクロムだ。」
「おう、ありがとう。」
「ありがとうございます。」
その後も、俺達はアルフレッド工房で過ごしてお弁当を受け取った。
「じゃあ、また明日来るわ。クロムは?ダンジョン?」
「えぇ、明日は87Fを攻略して来ますわ。」
「そっか、納得した物をなるべく早く渡せる様に頑張るわ。じゃあシルフィー、明日は俺だけだから宜しくね。」
「おう。また、待ってるからな。」
「じゃあクロム、本部まで送っていくよ。」
「はい、ありがとうございます。」
◇◇◇◇◇◇◇◇
「アル様、ありがとうございます。」
「うん。じゃあね。」
俺は無事クロムを青空の龍の本部まで送り届けた。
さて、宿に帰るか…
「ねぇ、随分と活き活きしてるわね。」
「まぁ~ね~。ターニアと再会した辺りから忙しいけど…楽しいかな。ありがとうね。」
「私は何もしてないわよ。全部、貴方の力よ。貴方が少しでも力になりたいって行動した結果じゃないかしら?」
「そう…なのかな?なんか、やってる事は変わらないけど周りの人で変わるんだね。」
「そんな物よ。だから、自分の事を理解してくれる人を人は側に置きたがるんじゃない?そう言う人は自分に取って色々と都合が良いでしょ?人は人を理解し自身の側に置いた時には、その人の事を無意識にでも信用信頼しているわ、それは素晴らしい事だけど逆を言えばその人について考える事を放棄したと言う事よ。だから今、アルの近くに居る人は本当のアルを理解し始めたんじゃないかしらね。」
「なんか、難しいね…でも、その話ならシルフィーとかクロムは俺を理解して信用信頼して考える事を放棄したって事…だよね?」
「悪く言えばよ。でも、その信用信頼でアルはどう感じたの?ティラ達と居た時と比べてどう感じたの?大切なのは貴方自身がどう感じているかよ。貴方が楽しいなら、それが1番いいわ。」
「うん。俺は今の方が…良いかな。なんか、少しずつ自分を受け入れられて清々しいかな。」
「なら、それで良いのよ。それにその指輪。」
「フフ、やっぱり気付いてたよね?解。」
アルベールが右手薬指に着けていたドクロの指輪がハボタンの花の形を模様した指輪に変化した。
「えぇ、当たり前でしょ?私は聖霊の女王よ。今のアルを見て《《アル》》もきっと喜んでいるわ。」
「そうだと良いな。」
俺は元気だよ?アル…
アルは元気かい?
ごめんね。
お墓参りに行けなくなっちゃって…怒ってる?
言い訳なんだけど、あれから色々有ったよ。本当に色々有ったよ…
どっちかと言うと悪い事が多かったかな…
ご飯も食べず、息をする事も止めて何もせずに太陽が昇っては落ちてを1日中、ずっと眺めていた時期も有ったよ…
その中でも、ターニアと久し振りに再会したんだ。なんか、俺をずっと探してたんだって、笑っちゃうよね?聖霊共有のアビリティでも増えたのかな俺?(笑)次会ったら、お揃いだね(笑)
あの時よりも、少しだけ強くなったんだよ?
◇◇◇◇◇◇◇◇
回想シーン。
「泣かないで、よしよし。大丈夫よ。大丈夫だから。お姉ちゃんと一緒に居よ?」
コクン。
「フフフ、良い子ね。よしよし、もう大丈夫だからね。」
「うん。」
「色々と大変な事になったわね。でも、お姉ちゃんがお父さんかお母さんが見つかるまで一緒に居るから安心してね?」
「居ない…」
「えっ!?」
「居ないよ…殺…された。僕、見たから…あっあっあっあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
「ごめんね。大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫だから、ほら息を吸おうね。すぅーはぁー。吸って吐いて。」
すぅーはぁーすぅーはぁー。
すぅーはぁーすぅーはぁー。
「そうよ、お利口さんね♪これからはお姉ちゃんと一緒に居よっか?君も1人でしょ?お姉ちゃんもなの。」
「うん…」
◇◇◇◇◇◇◇◇
「ごめんね…貴方を1人残して…」
「アル…嫌だよ!逝かないで!!!」
ポタポタ
「覚えといて…欲しいの。私が本当に死ぬ時は貴方に愛されなくなったらよ。体は…動かなくなるけど…それは死ぬ事…じゃないのよ。これからは…貴方の心の中で…生きる事に…したのよ…」
「嫌だよ!!逝かないでアル!!!」
ポロポロポロポロポロ
ポロポロポロポロポロ
「もう…そんな泣かないの。フフフ、出会った時みたいね(笑)ねぇ私もこれを託すわ。貴方は大丈夫。貴方なら大丈夫。だって私の大切な大切な愛しい子で、誰にも渡したく無いたった1人の愛して止まない人なんだから…」
「アルッ!!アルゥゥゥ!!!!!」
ポロポロポロポロポロ
ポロポロポロポロポロ
作者より
愛に愛されて愛に泣く。と、言う事で(笑)
回想、回想シーン が無い話でも回想シーンの時があります。読み返しながら修正はしてますが、抜けてるだけです。
ご理解お願いします。




