報告会①
「アカザフキエルガヤラレタ。」
{赤ザフキエルが殺られた。}
「ニンゲンドモメ…ユルサナイッ!!」
{人間どもめ…許さないっ!!}
「アノニンゲンガザフキエルヲタオシテタヤツダロ?」
{あの人間がザフキエルを倒してた奴だろ?}
「アァ、最近出てきたな。コンナニアッサリトヤラレルトハオモワナカッタ…」
{あぁ、最近出てきたな。こんなにあっさりと殺られるとは思わなかった…}
「トツゼンヘンイカ?」
{突然変異か?}
「ワカラナイ。ジョウホウガナサスギル。ダガ、アノツヨサハキョウイダナ。」
{わからない。情報が無さすぎる。だが、あの強さは驚異だな。}
「マチガイナイ、ワレワレノキョウイダ。」
{間違いない、我々の驚異だ。}
「ナラ、シトヲムカワセルカ?アノツヨサナラオシハカルノニハチョウドイイダロ?」
{なら、使徒を向かわせるか?あの強さなら推し量るのには丁度いいだろ?}
「イヤ、ヨウスヲミヨウ。シトハオノレノイシデキメサセヨウ。」
{いや、様子を見よう。使徒は己の意思で決めさせよう。}
「ナゼダ?」
{なぜだ?}
「アノトキノコドモミタイニ、イキナリアラワレテシラナイアイダニキエルカノウセイモアル。」
{あの時の子供みたいに、いきなり現れて知らない間に消える可能性もある。}
◇◇◇◇◇◇◇◇
回想シーン。
ダンジョン500F フロアボス戦
「ニンゲンフゼイガッ!!コウカイシロ、ココデコロシテヤルッ!」
{人間風情がっ!!後悔しろ、ここで殺してやるっ!}
「後悔するのはお前の方だっ!!見せてあげるよ。これが僕の…人間が導きだした可能性だっ!」
「ハルフシュタイン!!」
「ソレハッ!!キサマッ…」
{それはっ!!貴様っ…}
『マスター、目の前のを?』
「うん、一緒に戦って欲しいんだ!強敵だから油断はしないでね。」
『承知した。』
「ディストラクション!!」
「ナンダ?ソノカッコウハ?ワレワレニタイスルアテツケカ?」
{何だ?その格好は?我々に対する当て付けか?}
「当て付けのつもりは無いけど、これでお前を倒す!それで、僕の苦労も少しは報われるかな?」
◇◇◇◇◇◇◇◇
「ダガ、ニンゲンダゾ?ドッチミチコロスナラハヤイホウガイイダロ?」
{だが、人間だぞ?どっちみち殺すなら早い方がいいだろ?}
「モチロンダ。ダガ、キガツカナイカ?コンカイノトツゼンヘンイハジョウソウニコヨウトシテナイ。ダカラ、ヨウスヲミル。」
{勿論だ。だが、気が付かないか?今回の突然変異は下層に来ようとしてない。だから、様子を見る。}
「タシカニナ。ザフキエルヲズットタオシテハモドッテノクリカエシダ。」
{確かにな。ザフキエルをずっと倒しては戻っての繰り返しだ。}
「ダカラ、ワレワレハヨウスヲミテシトノイシニマカセル。トツゼンヘンイハイツモキコウヲクリカエスカラリカイハデキナイガナ。」
{だから、我々は様子を見て使徒の意思に任せる。突然変異はいつも奇行を繰り返すから理解は出来ないがな。}
「ソウダナ。アノトキモ500Fマデトウタツシタノニ、ユクエヲクラマシタ。」
{そうだな。あの時も500Fまで到達したのに、行方を眩ました。}
「コンカイノトツゼンヘンイハワカッタ。タシカニアノコドモハナニガシタカッタノダ?モウ、オイテシンダカ?」
{今回の突然変異はわかった。確かにあの子供は何がしたかったのだ?もう、老いて死んだか?}
「アァ、ヨウスヲミタホウガヨサソウダナ。」
{あぁ、様子を見た方が良さそうだな。}
「リョウカイシタ。アノコドモハオイテイルダロウガオソラク、マダシヌホドジャナイハズダ。ダガ、ココマデキテイナイナラ、モウコナイトオモウガ…」
{了解した。あの子供は老いているだろうが恐らく、まだ死ぬほどじゃない筈だ。だが、ここまで来て来ないなら、もう来ないと思うが…}
「アァ、ソレニコシタコトハナイ。」
{あぁ、それに越した事は無い。}
◇◇◇◇◇◇◇◇
「で、アルベールと鍛治士の嬢ちゃん何で呼ばれたか、わかっているよな?」
「俺が今、大注目の人気冒険者だからサインでも書いて欲しいのか?別にいいぜ?昔からのよしみだ、書いてやっても。ただ、一生消えない様に顔面に彫ってやるよ。」
「この糞ガキッ!!お前はその減らず口が直らないから呼びたくなかったんだよ!!」
「ヒャハハハハ。なら、帰っていいか?生憎、俺様は忙しいんでね?何て言ったって人気冒険者様なので(笑)」
「この…ヤロウ。」
「まぁギルマス落ち着いてください。それでねアル君とシルフィーに来て貰ったのは昨日の赤色の魔物について聞きたくて…」
「はい、ルシェラさん。何でも聞いてください。ルシェラさんにはご飯をご馳走して頂きましたのでご協力します。何が聞きたいですか?」
「ウチもルシェラの力にはなるべくなりたいけど、アルの言ってる通り何が聞きたいんだ?多くを答えられる程、知らないぞ?」
「そうよね…まぁ実際に戦ってみて強さとか、攻撃バターンとかはロムに残ってるから大丈夫なんだけど…後は元の金色の金鎧と比べて今回の赤鎧はどれくらい強かった?」
「シルフィーは一応、赤と金を俺と一緒に倒したじゃん?」
「うん。」
「なら、シルフィーはどう思う?金鎧?は俺のバフありきでシルフィーが一撃で倒した訳だけど赤鎧?にも同じ事出来る?」
「いや、無理だな…何だろう、ウチは最高攻略Fがアルのお陰で91になったばかりだし正直、92以降の魔物と対峙してないから上手く言えないな…100Fまで攻略してたらさ100Fのフロアボスよりも強いとか弱いって言えると思うけど…」
「そうよね…アル君は?」
「う~ん。まぁ金鎧よりは強いとは思うけど…初めて現れて珍しいってだけかな?強いのは強いと思うけど…そんなに警戒する程じゃないかな?」
「アルお前それ本気で言ってるのか?それとも、冗談…いや、見栄を張っているのか、どっちなんだ?随分とピンチだったろ?俺はロムに釘付けで仕事が出来なくて溜まってるんだぞ?」
「本気だよ。本気。見てる人が何と思ってるのかは知らないけど、別にピンチでも無いよ?見慣れない奴が居たらビックリするだろ?その間に攻撃されて魔法を使う時間が無かっただけだよ。だから、やられたフリをして隙を作ってたの。唯一、シルフィーに関しては付与が間に合って良かったけど…」
「あの時か…だから、思ってた以上に痛くなかったのか?ありがとうなアル。」
「いやいや、こっちこそ危険に晒す様な真似をしてごめんね。あの時はダメージが俺に入ったから安心したんだよな(笑)まぁ油断は大敵って事だな(笑)」
「「…」」
「なぁ…この辺りで報告はいんじゃないか?後は、ウチがやるよ。アルは早く帰って休んだ方がいいぞ?こういう時にしっかりと休むんだよ。それで明日、ウチの工房に来いよ。好きなだけ使っていいからさ。」
「う~ん。工房の件はわかったけど…でも、いいの?報告は2人が良いって言うまで、俺も残るよ?」
「あぁ問題無いよ。言ってもこの感じじゃあ~言う事もそんなに無いだろうし、後は、ルシェラの幼馴染のウチが全部やっておくからさ。」
「じゃあ…帰るわ。明日、10:00くらいで大丈夫?」
「あぁ問題無いぞ。待ってるよ。」
◇◇◇◇◇◇◇◇
「ふぅー。アルは帰ったな。これで少し話が出来るが2人共、さっきの反応からするにアルベールの強さはそこまで把握してないな?」
「あぁ把握はしてない…と言うか俺達ギルドも鍛治士の嬢ちゃんやロムの視聴者と同じだよ。」
「そうなのよ、シルフィー。アル君は追放されて、そこから急に頭角を現したのよ。私達もビックリよ。黄金に居た時はディフェンダーだったのにさ。」
「あぁそれはウチも知ってる。だから、最初に高層を攻略前提で提案された時はコイツは何を言ってんだって驚いたぜ!?でも、蓋を開ければあの強さ…アイツは何者なんだ?追放って事は戦力外じゃねーのか?」
「それは…」
「なぁ鍛治士の嬢ちゃんよ!!」
「なんだ?」
「お前さんはアルベールと一緒に冒険してどう思った?アイツは噂通りの奴だったか?」
「いや、逆だ。実際は…良い奴だった。」
「それで、お前さんはアルベールの事をどう思った?」
「凄く強くて頼りになるし、最強で最高な冒険者だと思った。アイツの変わりは居ないって思ってる。だから、ウチは…また一緒に冒険しようって、ダンジョンに潜ろうって誘われて嬉しかったんだ。」
「そうか、ならそれがお前さんの答えじゃないか?アイツと一緒に居て楽しいとか嬉しいとか少しでも感じれるのなら、待ってやれ。いつかアイツがお前さんに自分の口で語るその時をさ。」
「あぁ…そうだな。いや、勘違いしないで欲しいのだが、アイツの傷をほじくりたい訳じゃなかったんだ。何でアイツが追放処分なのか意味がわからなかっただけ…」
「まぁ私はシルフィーの気持ちも理解は出来るけどね。だって強いとは言ってもレベルが違うもんね?私達もアル君があんなに強いって最近になって知ったのよ。」
「まぁロムのコメントでも最近はアルの奴を奉ろうとする連中が増え始めているからな。まぁ俺達、冒険者ギルドからしたら有能な冒険者は多いに越した事は無いから嬉しい限りだよ!でも、アルベールは今まで真逆の様な生活を送って来たから色々と心配なんだよ…だからよ、嬢ちゃんはアルの事を気にして上げてくれねぇか?」
「あぁ任せな。」
「頼もしいシルフィー♪」
「おうよ!!」
◇◇◇◇◇◇◇◇
sideノルン
「ノルン、今日は10時にミーティングだけど、大丈夫?また送らせる?」
ティラが心配してそうな顔で聞いてくる。
「ハルクさんには私達の方から言っとくけど…」
気を使いながらキャロルが聞いてくる。
「でも、延ばしすぎると流石にハルクさんも不信に感じるんじゃない?それに…これ以上はデクラン卿の顔を潰す事になるんじゃ…?」
気を使いながらネルも口を開く。
アルベールを追放した黄金の輝きは大口のスポンサーでもあるミストニア王国6代貴族アミタール家から直ぐに問い合わせがあり、事情を説明すると貴族の口利きで国王軍に所属している騎士の中から冒険者に興味がある人物を紹介された。
はぁー。
気分は乗らないけど、いつまでもこのままな訳には行かないよね。
本当なら、クランを解散して今、直ぐにでもアルの所に行きたいけど、スポンサー契約の件もあるし…
全てのスポンサー契約が満了するまでは、このクランで剣を振るわないと…
投げ出したいけど、そうなれば多額の違約金もあるし、そんな僕をアルが受け入れてくれるのだろうか?
だから、満了するまではここで命を削り続けないといけない。
それが…
僕の…僕の罰になるのかな?
アルに対しての贖罪になるかな…?
「いや、今日は行くよ。いつまでもウジウジしている訳には行かないしね。それにハルクさんだっけ?僕は初めましてだから、顔合わせと今後の方針を決めないとね。」
「「「ハァー。」」」
ノルンの言葉を聞いて3人共、安心してパァーと顔を輝かせた。
◇◇◇◇◇◇◇◇
「初めましてノルンと言います。一応、黄金の輝きでリーダーをやってます。体調を崩していて顔合わせの欠席、及び延期をしてしまい申し訳ございませんでした。」
「ハハハ、構わないよ。俺もニュースは読んでるからな、94で昏睡状態だったんだろ?なら、仕方ないさ。俺はハルク・マインバッハだ。歳は36になる、よろしくな。」
「はい、よろしくお願いします。それでハルクさんは騎士から冒険者への転職と言う認識でよろしいですか?」
「あぁ、その認識で大丈夫だが、俺は休日に冒険者としても活動していてな、75Fまでは攻略している。お前らは知らないと思うけど、騎士の中でも俺みたいな連中は多いんだぜ?まぁ職場はホワイトだが昇進していかないと給料が安いからな。」
「そうなんですね、75Fと言うとAランクですよね?騎士をやりながら凄く無いですか?」
「いや、そうでも無いぞ?まぁ騎士で冒険者をやっている連中の中では俺といつも一緒に潜ってる連中がトップだけど、基本的に騎士は仮眠込みで1日出勤して次の日は休みだしな。さっきも言ったけどよ、職場は給料面を除けばホワイトだからな。時間と金の両方を取れる職業なんて無いって事だよな(笑)ガハハハハハハ。」
「ハルクさんはディフェンダーで大丈夫…ですか?魔物の注意を引いて危険な役割ですけど?」
「ガハハハハハハハハハ、問題無い。俺は騎士の連中と潜ってた時もディフェンダーだったから、大丈夫だ。そんなに期待されると困るがそれなりに知識はあるぞ。」
「わかりました。これからよろしくお願いします。」
「よろしくな。」




