シルフィードとの共闘③
「そう言えば、素材で何を作るかもう決めてるの?」
「いや、決めてないんだよな。親父が打っているのを見たから自分も打ちたいって思ってただけだからさ。」
「まぁ腐る物じゃないし、それこそ収納バッグにでも入れておけば?これだって思った時に作るのが1番だと思うけど。」
「うん、そうだな。本当にありがとう。まさか、ウチが打てるなんて思わなかったからさ…」
「良かったね、夢…いや、目標が叶って。」
「うん。」
「着いたなボス扉。」
「あぁちょっと緊張するわ。ふぅー。」
「大丈夫だよ、俺が付いてるから。」
◇◇◇◇◇◇◇◇
「ダレカガキタゾ。」
{誰かが来たぞ。}
「アァ。」
{あぁ。}
「アカザフキエルノウイジンダ!!」
{赤ザフキエルの初陣だ!!}
「タノシミダ。ドンナコロシカタヲスルンダロウカ?コロシテコロシテコロシテニンゲンヲコロス。」
{楽しみだ。どんな殺し方をするんだろうか?殺して殺して殺して人間を殺す。}
「アァ、ヒトリノコラズコロス。」
{あぁ、1人残らず殺す。}
◇◇◇◇◇◇◇◇
3日目 91Fフロアボス 金鎧
だが、そこに居たのはこれまで見た事も無い。
金鎧に形が似てはいるが全身が赤色、右目が緑色、左目が紫色の鋭い眼光を放つ……何か。
解き放つ威圧感は金鎧の比じゃない。
金鎧が赤子に感じてしまうくらいの王たる風格。
稀に生まれる。
同種の圧倒的な強者。
名を付けるなら【赤鎧】。
赤鎧は2人に気付き礼儀正しくお辞儀をした。
「ッ!!」アルベール
バンッ!
赤鎧は左手でアルベールの右側に居たシルフィードの頭を鷲掴みにしぶっ飛び岩に叩き付けられる。
「シッ…シルフィー!!!」
身代わり付与でダメージはアルベールに入る。
鎌を構えてシルフィードの救援を図るアルベール。
直後、赤い雷がアルベールを襲う。
「くっ…」
交わす。
交わした時、視線が自然と足下に。
顔を上げる。
目の前に口を開けた赤鎧。
ヴォォーン
ドォォドォー
赤鎧の口から放たれた砂嵐が直撃するアルベール。
2人とも、バフの重ね掛けはしている。
意識を張り巡らせれば赤鎧の速さには対応出来る。
だが、一気に場の雰囲気から陣形までも赤鎧に持っていかれた。
理由はなんだ?
答えは慢心。
そう、ただの慢心。
1人は何度も金鎧を倒した事があり、1人はその攻略ロムを何度も何度もを視聴していた。
だから、早く倒して帰ろう又は、早く倒してもう1回倒して更にもう1回。
全て狩る前提で事を考えていた。
そんな気持ちでフロアボスと対面…
相手は想像していた相手と違う。
一瞬の出来事で頭が回らない。
0から100へ、あるいは100から0へ。
事の振り幅に理解が追い付かない。
赤鎧は胸から物干し竿くらいの長い剣を取り出しアルベールを追撃する。
カンッカンッ!
鎌で対応するアルベール。
カンッカンッ!
カンッカンッ!!
カンッカンッカンッカンッ!!!
一進一退の攻防が続く。
「オッラャャャャャャ!!!!!」
シルフィードが左から右にハンマーを赤鎧に振り抜いた。
ドンッ!
軽く吹っ飛ぶ赤鎧。
コクン。コクン。
品定めをし、納得したかの様な強者の風格を漂わせる赤鎧。
「来るぞシルフィー!!」
「あぁ。」
カンッカンッコンッカンッ!
カンッカンッ!ドンッ!
カンッカンッドンッカンッカンッドンッ!!
2対1でも崩れない赤鎧。
「オッラャャ!!」
シルフィードの攻撃を交わし、口から砂嵐がシルフィードを襲う。
ダメージはアルベールに入る。
カンッカンッドンッカンッカンッ!
ドンッカンッカンッドンッカンッカンッ!
長剣と鎌の攻防、長剣を鎌の刃に引っ掻けて長剣を持つ右手側に大きく返した。
初めて出来た隙。
その瞬間に赤鎧は左手を開いた状態で拳を振るうモーションをアルベール目掛けて行う。
ブォーンッ!!
軽く吹っ飛ぶアルベール。
おいおいマジかよ。
しかも風魔法じゃないぞ?コイツ…バフを消しやがった…
バフを打ち消す…波動?
そんなのありかよ…
剣を突くモーションから赤い稲妻が全身を纏う赤鎧。
突く。
赤い稲妻がアルベールを襲う。
バンッ!!!!
そのまま、もう1発さらに右回転しながら斜め下に長い剣を振り抜きもう1発。
バンッ!
バンッ!
「アルッ!!!オッラャャャャャャ!!」
ハンマーを構えながら赤鎧に挑むシルフィード。
だが、差は歴然。
シルフィードの攻撃は交わされ、バフ打ち消しの波動からの赤い稲妻。
チッ!
間に合えっ!!!
「身代付与」
赤鎧に聞こえないくらいの小声で唱えるアルベール。
バンッ!!
ダメージはアルベールに入る。
何とか間に合ったか…
ダメージはアルベールに入るが赤い稲妻の攻撃により吹き飛ばされるシルフィードを赤鎧の砂嵐による追撃が襲う。
ヴォォーン
ドォォドォー
「チッ!この砂嵐で見えない…くそ…」
(たぶん、アルが付与を掛け直してくれたんだ。まだアルは生きてる…何とかしないと。)
ヴォォーン
赤鎧は再び砂嵐を口を放つ。
砂嵐がシルフィーの手足を拘束し始める。
「うぅぅ……」
呻き声を上げるシルフィード。
(くそっ!何だよ、この砂は自在に操れるのか?まずいな…アイツの狙いはアルか?このままじゃアルが殺られちまう。)
シルフィードを退けた赤鎧はアルベールを捉え、一目散に歩いていた。
ゆっくり。
ゆっくり。
アルベールを目指していた。
うつ伏せになり、お気に入りの柄シャツは焦げ破れており、背中の大きな天女の刺青が露になっており、タイトな黒パンツも左膝下から破けている。
アルベールの元にたどり着いた赤鎧は再度、赤い雷を剣に纏わせトドメを刺そうとしていた。
◇◇◇◇◇◇◇◇
sideシルフィード
シルフィードは遠くから眺めていた。
「…うぅぅ…ア…………ル……」
ウチのせいだ……
ウチがあんなお願いしなきゃ……
ごめんな。
こんな事なら…
こんな事になるなら、あんなお願いしなきゃよかった…
ウチのお願いよりもアルの…アルの命の方が断然大切なのに…
ウチはなんて馬鹿なんだよ。
アルの強さに感覚が麻痺してウチは…ウチは馬鹿になってたんだ。
いや、元から馬鹿で汚い奴なんだウチは。
アルの事を最初に怒鳴って説教しておいてアルの強さがわかった途端に手のひら返しだもんな。
言ってる事も、やってる事も噂に踴らされてる奴らと何も変わらないじゃねぇか。
楽しかったな…
ウチみたいな奴にも優しくしてくれて本当は嫌だったんじゃないかな?
目の前に居る人間から露骨に手のひら返しされた訳だしな…
ごめんな。
ルシェラに紹介された時にもう少しちゃんと話を聞けばよかったな。
本当は昨日で終わってた筈なのに…
痛みもない。
もはや、恐怖も無い。
アルを殺したら次はウチだろうな…
ウチはそれでいい。
こんな、浅ましい奴なんだから殺されても当然だけど、どうかどうか神様お願いします。
アルは…アルだけは助けてください。
お願いします。
お願いします。
◇◇◇◇◇◇◇◇
「躍り狂え! 残骸骨・骸!!」
赤鎧が止めを誘うとしたその時、アルベールは両目をガッ!と開いて魔法を唱えた。
赤鎧の左右から魔方陣が展開されバフにより強化された骸が出現し赤鎧に襲い掛かる。
あまりの速さに赤鎧の反応が遅れ切り傷が出来る。
距離を取る赤鎧。
やっぱこのレベルなら骸をバフで強化するのが鉄則だな。いや~本当に油断したな、まったく。
しかし、何だコイツは?
こんな奴、見た事も無かったけど…
流石にいきなりはビックリするよね~マジで。
辺り一面に魔方陣が展開され骸が出現する。
上裸のアルベールが立ち上がりる。
「痛ぇじゃねぇか!! 馬鹿野郎!ったく、そんなに俺様のナイスバディーが見たかったのかい?」
赤鎧はキョロキョロ回りを見渡す。
シルフィードの回りにも、骸が集まり回復魔法と護衛をしている。
「喜び悦べ零式・閻魔骸狂八咫烏」
鎌を拾い歩きながら魔方陣が展開され拾った鎌を魔方陣に落とし巨大な女性像が現れた。
「もう、油断しすぎよ!!」
「ターニア見てたの?」
「見てたわよ。何をしてたのよ。貴方の事だから、邪魔しちゃいけないって思ってたから黙ってたけどもう、いつこんな危ない戦い方を覚えたのよ!!」
「いつからって…いつだろうね(笑)でもさ、敵を騙すなら味方からって良く言うでしょ!?」
「私は騙されてないわよ!!いつまで寝てるのよ。誰にもわからない様に隠れて攻撃を肩代わりする様な付与をあの娘にするのは良かったと思うけど、今の今になってまで寝たふりなんかしちゃってさ。」
「まぁまぁ落ち着いてよ。だって、あんな堂々と奇襲されちゃったら魔法を発動する時間も無いんだもん。何処かで作らないとダメじゃん?」
「はいはい。もう全部言い訳にしか聞こえないわよ。早く倒して来なさいよ。あの娘も心配してるだろうし。」
「そうだね。それじゃ、そろそろ終いにしますかね…さぁ最終ラウンドと行こうか!!!」
赤鎧に女性像と骸が襲い掛かる。
その隙にバフ一式を自分とシルフィードに掛ける。
収納バッグから予備の剣を取り出し赤鎧に襲い掛かる。
カンッカンッ!
キーンッ!!
剣と長い剣の攻防。
剣か…使うのは久し振りだな。
もう1本カッコいい鎌が欲しいな…
折角だからアルフレッド工房で作るか。
距離を取り「身体制限!」
バンッ!!
左手から青い光が放たれ弾かれる。
女性像、骸を相手にする赤鎧。
なるほどな…
左手の甲にある青い球体みたいな宝石が元だな…
「ん?」
青い宝石が光った。
左手の甲に埋め込まれている宝石が光ったぞ。
「あの左手じゃない?」
「やっぱりターニアもそう思う?」
「えぇ、間違いなく左手だわ。」
「身体制限!」再び弾かれる。これを、女性像と骸が赤鎧を相手にしている最中に3回繰り返した。
弾かれて光るまで3秒もある。
フンッ。
ニコッと口角が上がるアルベール。
「随分と楽しそうね♪」
「もう、倒せた様な物だけらね。」
赤鎧の相手を女性像に任せたアルベールと骸達は次々とデバフを赤鎧に掛け続けた。
「ヒャハハハハ!」
「本当に貴方は良い性格になったわね♪」
「ヒャハハハハ!昔の方が良いかい?」
「いいえ、貴方の成長を感じられるから、今のままで良いと思うわ。」
「そう?なら、この調子で倒しちゃおう~と。ヒャハハハハ!おいおいどうしたよ!?」
骸の半数が赤鎧を討伐しに出陣。
スパッーン!!
骸の1対が赤鎧の左手を肩から切断した。
強化された骸を前にデバフをインターバルの3秒間に受け続けた91Fフロアボス 金鎧 亜種 【赤鎧】は成す統べなく腕を取られた。
ふぅー。今回はダルかったな。
マジでこういうタイプ苦手なんだよな。
ダルいダルい。
女性像は容赦なく両手から魔法を解き放つ。
ズドォーン!!
バンッ!!!
ドゴォーン!!!
今回の敵はアルベールとは相性が悪すぎた。
アルベールが本来得意とする属性は毒や麻痺などの状態異常属性。
さらに、バフ打ち消し能力。
それでも、局面を引っくり返してしまう器量と死に直面している場面でも冷静な洞察力。
まだ、決着は着いていない。
だが、アルベールは赤鎧を視界から外しシルフィードの所へ向かう。
「ア……ル……」
「大丈夫か?」
「うん。ごめんね、ウチ何も出来なかったよ…」
「いやいや、シルフィーのお陰で助かったよ。それにダンジョンなんて生きて帰れるだけで御の字でしょ?」
「そうだね…」
「まぁもうじき終わるから、たぶんその砂の拘束も解けると思うよ。」
「うん…」
ロムのコメント
・一時はどうなるかと思ったわ
・マジでビビった
・アルベールの強者感好きだわwww
・何で倒してないのに背けられるの?
・死神だからww
赤鎧の死骸からアルベールは魔石を回収し、素材という名の死骸はシルフィードが回収しダンジョンを出た。
「いやー、流石に驚いたね?」
「本当にビビったよ!!何なんだあれは?」
「さぁ~。まぁ亜種って事でいんじゃない?」
「亜種か…やっぱりアルも始めてみたか?」
「始めてだね。それにしても色々と強くなり過ぎだよな。何なんだよあの赤い雷とか、砂とかさ。」
「ウチも金色のはアルのロムを視聴してたから知ってたけど今回のと全然違ったわ。全部が桁違いだったな。」
「なぁシルフィーは体調大丈夫か?折角だから、金色も行こうぜ?」
「えっ!?」
「いや、だって約束は金色だからさ。赤じゃないじゃん。だから体調が大丈夫なら周回しようぜ!!」
「ウチは問題無いよ。あの赤いのはずっとアルを狙ってたみたいだし、でも良いのか?アルは疲れてるんじゃないか?」
「いや、問題無いな。じゃあサクッと行こう。」
「うん。」
◇◇◇◇◇◇◇◇
91F フロアボス 金鎧
「さてとサクッと終わらせますかね。一応バフは一式掛け直すよ。」
「わかった。ありがとう。」
「踊り狂え!」
「残骸骨・骸!!」
小さな魔方陣から骸達が召喚された。
召喚された骸達はアルベールとシルフィードの2人に魔法を唱え始めた。
(まさか、これ付与魔法!!しかもこの感じ重ね掛けか……?もしかして、この骸1体に対して付与倍率を得られるのか?)
「身体強化」
「オリジナル身体強化」
「オリジナル身体強化2《インテンシティアップ》」
「身代付与」
「自動瞬間火力向上」
まだだな。
もう少し骸を召喚して倍率を上げるか。
その方が安全だしな。
身体強化 フィジカルアップ 1.2倍
オリジナル身体強化 アジリティアップ 2.0倍
オリジナル身体強化2 インテンシティアップ 2.5倍
骸1体の倍率が 1.5倍
それが約この場に6000体近く居る。
更に攻撃が当たる度に、瞬間火力強化でその攻撃を100倍に押し上げる事が出来る。
「シルフィー頼める?」
「あぁこんだけ強化して貰ったら行くしかないしな。行くぜっ!!」
「オラリャァァァァ!!!」
ドンッ!!
横たわる金鎧
ロムのコメント
・一撃www
・ヤバいヤバい
・一撃はヤバいだろww
・コイツらヤバいwww
・一撃は流石にヤバいなwww
「おぉシルフィーの殺し方をしたら素材として使える部位が多くていいな。俺も見習うとするかな?」
「いや、ウチもまさか一撃で仕留められると思わなかったよ。これも全部アルのお陰だよ、本当にありがとう。また、よろしくな。」
「まぁお互い様だけどね。魔石を回収して帰ろうぜ!!」
「そうだな。」




