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ある日いつもあそこから見てる子がいるなって気づいた。渡り廊下で楽しそうな顔をして魔法の演習を見ている。
黒髪に黒縁眼鏡で顔はわからないが、気づいた時には今日も来てるなって思っていた。無意識だった。
演習を見て令嬢達が騒いでるのを見ると、あの子ならそんな事ないのになとか、気付けばあの子を引き合いにだしていた。
部下に聞くと研究室にいるミアって子ですよって教えてくれた。平民だと言う事も。私は公爵という立場上、平民とは絶対婚姻できない。愛人なんかにはしたくない。でも彼女を見てしまう。嬉しそうな顔を見ると嬉しいし、悩んでそうな時は、大丈夫かな?と心配になった。
年頃の私には縁談が沢山舞い込んでくるが、彼女以外は無理だった。何度か会ったが耐えられない。このままだと婚姻出来ない。親類から養子でももらうかーと考えていた。
令嬢達に絡まれるとダメだし中途半端に声かける事も出来なくて、たまに近くを通ってみたり研究室を訪ねたりしたが会話も出来なかった。
ある日夜会の連絡が届いた。またかと思い仕方なく出向くと、色合いは違うが彼女がいた。は?平民じゃない?貴族なの?驚きすぎて時が止まった。貴族なら話は違う。下位だろうと婚姻するにはどうにかなる。
引き止めてくる周りを振り切り、彼女の元へ向かう。あぁ変な男に話かけられている。ダメだ。私のだ。
無事追い払い彼女に話しかける。
「リュカ=ハインベルトです。魔術師団長をしております。お名前伺ってもいいですか?」
「失礼しました。エルミア=ルーベルと申します。」
「侯爵家の?」
「はい。ルーベル侯爵家の娘です。」
侯爵家!全く問題無い!ダンスに誘うとのってくれた。彼女と初めて踊るダンスは楽しくて、涙が出そうなくらい嬉しかった。
遠くでしか見れなかった彼女。こんなに近くにいる。話も楽しい。研究室の彼女も好きだが、着飾っている彼女も素敵だ。私はどんな彼女も好きなんだ。
踊り終わると名残り惜しいが、手に口づけを落とし立ち去る。
従者に指示を出し最速で侯爵家に釣書を送った。婚姻しないと言っていた私に両親も喜んでいた。
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ルーベル侯爵家を訪れ、婚約したい旨を伝えると皆喜んでくれた。あれ?彼女は喜んでない?あんなにいつも見てくれているのに。ルーベル侯爵にはエルミア嬢をずっと好きだった事を伝え、大事にしますと挨拶をした。侯爵は喜んでくれ、安心しました。よろしくお願いしますって言ってくれた。
職場で話できる事も嬉しくて、魔法を見せると喜んでくれ幸せだった。婚姻への障害など何もない。私はある意味浮かれすぎていた。まさかエルミア嬢が勘違いしているなんて思いもよらなかった。
ある時から急に話してくれなくなった。帰りの癒やしタイムも無くなったし、渡り廊下にも出てきてくれない。
待ってみたが逃げられる。
もう直接誘うと思い手紙をだした。了承を貰えて、また浮かれていた。迎えに行くと可愛い!普段の服装も可愛すぎる。外に連れ出して大丈夫だろうかと、アホな事を考えていたこの時の自分を殴ってやりたい。
宝石店で私の色を綺麗だと選んでくれる。天使か!私は死ぬのだろうか。
しかし、婚約をやめたいと泣く。え?そんなに嫌われてる?何かした?驚いたが何とか喫茶店の個室へ連れて行く。あのまま返してたら絶対終わってた。
話が進むにつれ意味がわからない。私はずっとエルミア嬢一筋だし、誤解させるから令嬢とは話さない。エルミア嬢だけだよ?
本人には伝わっていなかったと気づいた。愚かすぎる。どちらのエルミア嬢も好きなのに、どちらにも嫌われかけていた。そんなの私死んじゃう。
何とか誤解が解け、婚約は継続された。
危なかった。私は一安心し、繋いでくれた手を離さないと決めた。




