表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
忙し騒がし妖かし達  作者: とんぼ。


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
96/117

86.雪合戦

 しんしんと雪が降る中、私は暖房のついた教室から外を眺めていた。


 「おー。すんごい雪積もってんねー。」


 いつの間にか純麗すみれちゃんが隣で頷いている。心なしか、瞳が輝いているように見えた。


 「そうだね。これなら雪合戦とかできそうだよね。」

 「確かに!いーね!雪合戦!やろ!かえでっち!」

 「え?」


 体育終わりの昼休み。ジャージに身を包んでいたので、そのまま外へ行くことになった。

 

 純麗すみれちゃんに手を引かれるまま、校庭へ。と思ったが、彼女が真っ先に向かったのは1組の教室であった。

 暖房をつけている為、しめっきりだった扉を開ける。


 「ちさとっちー!雪合戦いこー!」


 彼女の大きく弾んだ声が響く。


 「……………純麗すみれ。声、大きい。」


 対するのは目を擦っている千里ちさとくんだ。

 彼は机に突っ伏していた顔を上げて、此方へとやって来た。


 「ていうか雪合戦って…。小学生じゃないんだから…。」

 「いーからいーから!やろやろ!おねぇーちゃん命令ね!」

 「は、」


 千里ちさとくんが何か言い切る前に、彼もまた私と同じように手を引っ張られていく。


 「か、かえでも雪合戦やるの?こんな寒いのに…。」

 「あははっ。確かにそうだけど。でも、ちょっと楽しそうかもって。千里ちさとくんも食べてばっかりじゃ身体が鈍るよ。」

 「言っておくけど食べてばっかじゃないから!」


 千里ちさとくんはそう否定するが正直疑わしい。


 何せ、彼は私が見かける度に食べ物片手にしているのだ。

 いや、見かける度、というのは些か大袈裟な気もするが。


 「あっ!そーいえば、朝、ちさとっちがせんせーにお菓子貰ってんの見たよ!」

 「やっぱり餌付けされてる…。」

 「し、仕方なくだよ!仕方なく!先生がどうしてもって言うから、僕が仕方なく…。」

 「そーいうことにしとくよー。」

 「…………同じく。」


 そうして外へ出ると、雪は止んだらしく灰色の空がどんよりと広がっていた。


 校庭に足を踏み入れる。真新しい雪が私の靴の跡をくっきりと際立たせ、心地よい感触を足に与えた。


 冬は好きではないが、雪は好きだ。


 なんて思っていると、横顔に衝撃と冷たさが走る。


 「かえでっちー!うかうかしてたら、的にするかんね!」

 「す、純麗すみれちゃん…。よし。望むところ!」


 どうやら純麗すみれちゃんに雪玉をぶつけられたらしい。


 やられたままではいられないと思い、足元の雪を握る。

 そして、思い切り純麗すみれちゃん目掛け投げた。


 が、白い玉は狙い通りにいかず。投げ方が悪かったのか、突然カーブを描いて千里ちさとくんの方へとぶつかる。


 「っ!つめたっ!」

 「あっ。ごめんね。千里ちさとくん。手元が狂っちゃったみたい。」

 「……………いいよ別に。でも、僕、根に持つタイプだからね。」

 「全然良くないじゃん…!」  


 気付けば彼の手にも圧縮された雪が。


 瞬きする間に、ソレが私目掛けて飛んできていた。


 白い息をあげながら、私達は昼休みいっぱい雪合戦をして過ごすのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ