表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
忙し騒がし妖かし達  作者: とんぼ。


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
91/117

81.ハッピーバースデー

 1月にもなるとやはり雪は積もる。


 真っ白なソレは道路を埋め尽くし、行く人々の邪魔をしていた。

 車の通ったあとは黒ずみ、お世辞にも綺麗とは言えない。対して、何者にも踏み入れられていない雪は遠慮がちに顔を覗かせる太陽の光を吸い込んでいた。


 「うぅ。寒い…。」


 あまりの寒さにコンビニへ寄ることにした。


 学校からの帰り道。適当なホットスナックでも買おうかと店に入る。


 温かい店内。風に脅かされることのない建物に入った途端、目についたのは肉まんを宣伝するポップと見覚えのある人間だった。


 「あ…千里ちさとくんのお母さん…ですよね。こんにちは。」

 「……!どうも。」


 千里ちさとくんの母は缶コーヒーを手にしていた。

 パッケージはよく見えないが、色からしてブラックなのだろう。なんだか大人という感じだ。


 「千里ちさとのご友人よね。……お名前、聞いても?」

 「はい。山吹やまぶきかえでって言います。」

 「かえでちゃん…。そう。いつも千里ちさとと遊んでくれてありがとう。……それと、この間、あの子を助けてくれたことも改めてありがとう。」


 彼女は深々と頭を下げる。


 こんな風にかしこまった所は千里ちさとくんそっくりだ。


 「そ、そんなお礼を言われる程のことじゃありません!……私、千里ちさとくんとまだ一緒に居たいから…だから、助けただけです…。」

 「………ふふっ。そう。……あの子は良い友人を持ったわね。」


 話をしながら会計を済ませる。


 店員から注文したあんまんを受け取ると、再び風の強い外へと赴いた。


 「ねぇ山吹やまぶきさん。貴方、千里ちさとの欲しいものって知ってるかしら。」

 「え?い、いえ。」


 ザクザクと雪を踏みながら並んで歩く。


 「そう…。……実はね、もうすぐあの子の誕生日なのだけれど…。あの子、遠慮してるみたいで…。」

 「欲しいものを教えてくれないってことですか?」

 「いえ。教えてはくれたの…。それが、カーテンをプレゼントにって言われて。」

 「カ、カーテンですか…。」


 中々不思議なチョイスである。


 私だったら、少し高いスイーツとか、服とか靴とか、そんなものばかり挙げてしまいそうだ。


 「生活に必要なものはプレゼントとしてじゃなくて、普通に買い与えるつもりだもの。……だから、別に欲しいものが無いかって聞いたのだけれど…。無いらしいのよ。」

 「なるほど。」


 千里ちさとくんのことだ。母親の言う通りどこか一歩引いている可能性はある。


 ここは私の出番かもしれない。


 なんとかして彼の欲しいものを聞き出すのだ。そして、彼の母には安心してプレゼントを渡せるようにしよう。


 「任せて下さい!私、千里ちさとくんに何が欲しいか聞いてみます!」

 「!そう…!ありがとう山吹やまぶきさん。」


 早速明日にでも聞いてみよう。


 意気込みながら、あんまんを口へ放り込む。


 「あづっ!」


 熱々のあんこが口内を刺激し、危うく火傷するところだった。


 あんまんが包まれていた紙を少し睨んで、改めて明日への意気込みと共に帰宅するのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ