73.朝、目覚める。そして、
新聞配達をしているバイクの音が聞こえると共に、目を覚ます。
「ふ、わぁ…。」
早朝の寒気が布団から出るのを躊躇わせる。
しかし、今日は学校。いつまでもぬくぬくと暖まっているわけにはいかない。
思い切って布団から起きる。
そして、今日も1日が始まるのだ。
***
「おはよー!かえでっち!」
教室に着くなり、友人の純麗ちゃんが声をかけてきた。
彼女は朝であろうと夕方であろうとパワフルである。
「おはよう純麗ちゃん。今日も元気だね。」
「へへっ。まーね!あっ、そーいえば、そろそろ変な妖の狭間が出てくる頃じゃない?」
純麗ちゃんの言葉にハッとする。
私達ふたりはここ数ヶ月、妖の狭間という妖怪が出没する空間に出入りをしている。
そこで何をしているのかといえば、妖怪退治だ。
そうすれば妖怪の血を引く人以外が、妖の狭間に引きずり込まれる、なんてことも起こらない。
「確かに。そろそろだね。……うーん。放課後、銭柵市にでも行ってみない?」
「そこに妖の狭間が出そーなの?」
「うん。」
私は座敷わらしの血を引いている。
その為か、運が良く、根拠のない勘がよく当たるのだ。
「じゃっ、そーしよ!銭柵市のオフィス街って、そろそろイルミネーションされてるだろーし!デートだね!デート!」
「あははっ。いいね。」
そんな相槌を打っていると、純麗ちゃんが突然、にやりと笑い肘でつついてくる。
「あっ。でも、デートならうちとじゃなくて別の人かなぁ?かえでっちは。」
「え!?そ、そうなの…?」
「そーでしょ!だって、ほら!…………あれ。」
「?純麗ちゃん?どうしたの。」
先までの表情とは一変。
彼女は眉を下げて困ったような顔をする。
「あっ、いや。何でも。……うち、なんて言おーとしたか忘れちゃったみたい。」
「大丈夫?もしかして疲れてるんじゃないかな。」
「んー。そーかも。」
この寒さだ。風邪にかからないとも言えない。
彼女が何を言いかけたのかは気になるが、何はともあれ体調には気をつけなくては。
使い捨てのホッカイロを揉みながら、そんなことを思うのだった。




